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冴えないヤツらの居場所はどこだ


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冴えないヤツらの居場所はどこだ
 
記事:武内大輔(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
自分はよく詐欺に引っかかる。
大学生の時、池袋駅の近くを歩いていたら、
若いスーツ姿の男の人に
「手相の勉強をしているのですが」
と声をかけられた。
急いでいたし、気づかないフリをして通り過ぎた。
そうしたら1分後全く違う人に声をかけられた。
「手相の勉強をしているのですが」
人は違うが全く同じセリフだ。
「お時間かかりませんので手相を見せてください!」
ちょっとしつこい。
急いでいたので無視して通り過ぎた。
 
その時は分からなかったが、あれは詐欺だったらしい。
テレビで手相を見る人についていったらどうなるか検証していた。
街頭からビルに連れていかれ、手相を見るすごい先生が出てくる。
「あなたの手相は大変です。この魔除けの札を買わないと大変なことになります」
と高額商品を買わされる。
そんな悪徳商法の人に2連続で声をかけられてしまった。
 
また別の日には知り合いの女の子に
「社会人の知り合いから就活のアドバイスが聞ける」
と誘われた。
就活の話も聞けるし、女の子に誘われたし、ついていった。
社会人と待ち合わせた喫茶店に入る。
「こんにちは!」
明るい社会人がいた。
コーヒーを頼み話が始まる。
女の子との関係、就活の話を聞き、ひと段落ついたところで
「ところで君、夢はあるかい?」
と聞かれた。
「実はね、夢を叶える方法があるんだ」
マルチの勧誘だった。
 
自分は詐欺によく引っかかる。
それは自分が「冴えないヤツ」だからだ。
手相を見る人たちの視点に立ってみる。
「今日は池袋で騙すぞ〜」
「騙しやすそうな人に声をかけよう」
「あっ、冴えないヤツが来た。気弱そうだし楽に騙せるな」
そして自分に声をかけるのだ。
知り合いの女の子の視点に立ってみる。
「こいつ冴えなくてモテなそうだし女子の誘いにホイホイついてくるだろう」
そして自分に声をかけるのだ。
 
世の中は2つに分けられると思う。
冴えないヤツらとそうでない人たち。
学校の教室、職場のフロア。
違う人が集まればそこに差が生まれる。
相対的に、冴えないヤツらが生まれる。
これは差別ではない。区別だ。
 
冴えないヤツだと自分では分かっているつもりだった。
「元気がないね」「大人しいよね」
よく言われる。
手相の件とマルチの件はショックであった。
怒りがわくのではなく、残念な気持ちになる。
「自分が冴えないヤツだから軽んじられるんだ」
 
軽んじられる存在であることにショックを受けた。
沈んだ気持ちでいたくなかった。
なんでもいいから笑いたかった。
お笑いDVDを借りて引きこもった。
借りてきたのはアメトーーク。
笑わせてもらった。
辛い時にはやっぱり笑いだ。
アメトーークには特徴がある。
「僕たち、○○芸人です」
同じ属性をもつ芸人が同じくくりとしてトークする。
何でも面白く見られるが、
ひとつだけ真剣に見る企画があった。
それは「中学の時イケてないグループ芸人」だ。
 
「あーこれ自分だわ」
とんでもないあだ名。奇妙すぎる趣味。
 
笑えるけども素直に笑えなかった。
どこか冴えない自分に結びつく気がしたからだ。
たしかに中学の時からこんな感じだった。
冴えないから勉強だけは頑張って東京の大学に行った。
勉強はしたけど、相変わらず冴えないヤツだった。
だから悪いひと2人に手相を見られたがるし、夢を叶えようと勧誘された。
 
入学式、夏休み、運動会。
それぞれのイベントでイケてない芸人はイケてない生活を過ごす。
でもみんな笑いながら話している。
もしかすると「イケてないグループ芸人」というくくりだから笑えるのかもしれない。
この芸人たちも中学生当時は笑えなかった、辛かったんじゃないか。
イケてないグループとして客観的に自分を見ることはできなかった。
でも大人になったら「イケてない」くくりとして自分を見られる。
普通の人とは違う経験をしてるから面白おかしく語れる。
芸人は人を救う存在だ。
辛いことも面白おかしくしてしまう。
 
自分も今では芸人ほどではないが面白おかしく話せるようになった。
それは芸人が自分のラベルを貼り替えてくれたからだ。
「冴えないヤツ」というラベルを剥がして、
「イケてないグループ」というラベルを貼ってくれた。
自分は「冴えないヤツ」というラベルを貼って上からガムテープで頑丈に重ねて剥がれないようにしていた。
でも自分で貼ったラベルにこだわる必要はない。
そんなラベルなんて簡単に剥がせる。ポストイットを剥がすように簡単に。
そして「イケてないグループ」という面白おかしい名前に貼り替えてしまえばいい。
どんなラベルを貼るかは自分の自由だ。
自分が苦しいものではなく自分が楽しいものに貼り替えてしまおう。
 
イケてないグループ芸人は最後に過去の自分へメッセージを送る。
辛かった自分を励ます。
将来に希望があると諭す。
全員がメッセージを述べた後のテロップが1番好きだ。
 
「いつか、笑って話そう」
 
自分も、笑って、話したい。
 
 
 
 
***
 
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2020-09-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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