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メディアグランプリ

人生の山も谷も、芸術に落とせば最高に変わる。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:時田菜々子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
芸術はコンタクトレンズに似ている。
眼鏡ではない。
コンタクトの、眼に触れたら潤いと共に明瞭が広がっていく感覚が大切だと思うから。
視力の良いひと用に、洗面所かお風呂場の曇った鏡を磨いたあと――なんて、長ったらしいたとえも提示してみる。
これはコンタクトよりも時間を含んだ例だけれど、ガラスを磨いたときよりも「ビフォー」と「アフター」の差が大きくて、鮮明な世界の広がり方が近いんじゃないかと思う。
映る世界の輪郭を浮き上がらせる感覚が、芸術もコンタクトもよく似ている。
 
なぜ突然こんな話をしたかって。
それは、芸術の持つ力を伝えたいからである。
慣れ親しんでいる方には「言わなくても」と、
そうでない方には「一体お前は何者だ」と言われてしまいそうな理由である。
けれど私は、初めて書く記事で
芸術には人生を変える力がある――と声高に言いたい。
そうして誰かひとりにでも「芸術に触れよう」という選択肢が生まれたらと祈っている。
この記事で誰かのきっかけを生むために、
今日は芸術を学ぶひとりの声に、少しだけ耳を傾けてほしい。
 
そもそも芸術とは何だろうか。
学術的な響きがする一方で、爆発だと言った方もいる。
音楽なのか、絵画なのか、はたまた映画か、演劇か。
 
広辞苑を見てみると、
げい‐じゅつ【芸術】
①[後漢書孝安帝紀]技芸と学術。
②(art)一定の材料・技術・身体などを駆使して、観賞的価値を創出する人間の活動およびその所産。絵画・彫刻・工芸・建築・詩・音楽・舞踊などの総称。特に絵画・彫刻など視覚にまつわるもののみを指す場合もある。
と記載されている。
確かにそう。そうなんだけど、
何かとんでもない作品を前にしたときの殴られるような感覚が、ここにはないように思う。
岩波書店さんに物申したいわけではなくて、
ただ、「ここまでを芸術とする」と決めるのは似合わない気がするのだ。
 
切り口を変えて、よく揃いになる「人生に彩りが添えられる」ということばを挙げてみる。
けれどこれもしっくりこない。これでは何だか小さいものに思われる。
「添えられる」では足りない。
共に学ぶ友人たちは、良い意味で芸術に人生を狂わされているようである。
彼らを上げるのも落とすのも芸術で、「振り回されている」なんて表現が近いかもしれない。
弱点であり、生きる意味でもあるのだ。
彼らと私にとって芸術は、なくてはならない、ないと立っていられないものである。
奪われたらさらさらと崩れてしまう、脆い自分を支えてくれるもの。
好きだけれど、それ以上に
「ないと生きられないから」という理由が根幹にあるだろう。
 
心当たりはないだろうか。
 
たとえば続く曇天に囚われて
「自分ひとり消えようが構わないんじゃないか」と眠れない日を過ごしたとして、
目覚めた明日に久々の太陽が昇っていたら、
身体に纏った泥のようなものがすっかり洗い流されるような心地がしたり。
 
たとえば冴えない一日の終わりに
ふと目をやった、点けっぱなしの映像に飲み込まれて、
終わるころには叫びだしたいほど色づいた世界が自分を囲んでいたり。
 
そして何気なく目を向けた窓の外が、見上げた空が、涙が出るほど美しく、やさしいものに感じられたり。
 
触れたのち、世界の輪郭を鮮明にしてしまうものに出会った記憶はないだろうか。
それが今日を支え、明日を思う力になったことは。
 
私はそれが芸術だと思う。
明確な形はないけれど、一日を変える、途方もない力を持っているものを芸術と呼ぶのだと思う。
それは「人生に彩りが添えられる」どころの、やさしいものじゃない。
今日から明日へと繋いだ一日は、一ヶ月になり、一年になり、一生に変わる。
繋がれた時間が、人生に変わる。
芸術にはひとを変える力があって、人生を変え得ることがある。
生きたいと思う明日をつくる、そんな力がある。
 
生きていれば様々なことがある。
空も飛べると錯覚するほどの嬉しいことも、涙が枯れることはないと知ることも。
理由がなくとも浮き上がれない日や、ふと消えてしまいたくなるときがあるかもしれない。
 
苦しくて、でも意見を受け止められる気力なんて無くて他人には言えない、
そんなときに腕だけで良いから動かしてほしい。
手のひらに納まる世界には、一日を変えるものが溢れている。
他人のことばよりも温かいものが流れて来るかもしれないし、
思いがけないものが、じんわりと身体に滲んでいくかもしれない。
だから音楽でも、絵でも、映画でも、何でも良いから手を伸ばして掴んでほしい。
どんなひとも、人生より長くある芸術を前にしたら等しい存在である。
人生の山も谷も、芸術に落とし込めば最高に変わる。
そう信じて触れてみてほしい。
 
芸術は今日と明日を繋げる力があって、人生を変える力がある。
世界をもっと見ていたいと思わせる。
 
だから私は伝えたい。
優しいひとほど早く消えるような気がしてしまう、今この時代に、
「芸術に触れる」という選択肢を。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 


 
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2020-10-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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