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メディアグランプリ

幸せを選び取る勇気


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:堀 紗章子(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
見る度に思う。「セックスアンドザシティ」は私に勇気を与えてくれる魔法だ。
 
夜中に見始めたらやはり途中でやめるなんて無理で、最後まで見てしまった。
映画版の「セックスアンドザシティ」を見るのは3回目だったが、話のテンポの良さと、とにかく明るい女達のパワーに圧倒され、見ていくにつれて元気をもらったり今の人生を見つめたりとどんどん自分自身とシンクロしていき、他人事とは思えないまま2時間半があっという間に過ぎた。
(ネタバレを含むので、見ていない人は要注意)
 
今更私が説明するまでも無いほどにファンが多い作品だが、これは仕事、恋愛、家族、どれにしてもあけすけに私たちに問いかけてくれる物語だ。
登場する女友達4人組は、セックス・コラムニスト、会社経営者、弁護士、主婦と、どれも私と重なる点はなく、彼女たちのあまりにもオープンな性格も共通する部分は少ない。
しかし、彼女達は常に年齢と共に自分に降りかかってくる人生の課題と直面し、悩み、励まし合い、時には喧嘩をして、見ている私達にリアルな感情を抱かせるのだ。
 
今回の映画版では、セックス・コラムニストであるキャリーの結婚を主軸に、それぞれが目の前の問題と向き合いストーリーが進んでいく。
 
キャリーは元々結婚式ではヴィンテージのシンプルな白いセットアップで臨むつもりだったが、周りからの祝福ムードや、有名ブランドの豪華なウェディングドレスをプレゼントされた事から、結婚式に向けて一層気合が入るようになる。
大勢の招待客、豪華な式場、そしてスペシャルなドレス、これらとともに最高の結婚式を迎えるはずだったが、当日にまさかの新郎からのドタキャン。
 
「考えさせてくれ」という言葉によってキャリーの思い描いていた華々しい結婚は散った。
 
けれど落ち込んだ友達を励ますべく、女友達4人でメキシコへ行ったり、本音を話して喧嘩になったり、そんな友達を見て自分は今本当にこれで幸せなのだろうかと考えたり、女4人それぞれが悩み、考え、前へ進もうとする。
 
ニューヨークという夢や希望や恋愛が溢れんばかりに煌めいている場所で悩んだりもがいている人達。
この物語の魅力は彼らが皆自分に正直に生きているところだ。
 
キャリーは最終的に、彼と一緒になれる事の本当の幸せに気付き、予定していた結婚式ではなく、最初に見つけたヴィンテージのシンプルなセットアップを着て市役所で愛を誓い合う。
 
友達のシャーロットは念願の子供を無事に出産したいあまりに自分の趣味である運動をやめてしまっていたが、キャリーに励まされ再び走り出し、自分らしさを見失わなかった。
 
性に奔放なサマンサは、一人の恋人に縛られる事で自分が自分ではなくなってしまう事に気付き、大切な恋人を手放しながらも自分を持って生きていく。
 
弁護士のミランダは、多忙によって見失いかけていた家族の大切さを改めて知る。
 
彼女達は自分で悩み、自分自身の答えを出しているから、見ている私たちは勇気をもらえるのだ。
 
「テンプレートの幸せ」が必ずしも全ての人の幸せになるわけではない。
そんなメッセージを送ってくれている気がする。
 
キャリーが迎える予定だった豪華な結婚式にスペシャルなドレスは、女性ならつい憧れてしまうようなもので、所謂幸せな結婚式そのものだっただろう。
けれど、幸せの尺度は人それぞれで、どんな形が自分にとっての幸せなのかを見つける事は、この4人が悩みもがいていたように難しい事なのだと思う。
 
一人の恋人とずっと一緒にいられる事が幸せだと考えてしまいがちだが、サマンサにとってそれは違った。
けれど「それは違う」と自分で気付く前にも葛藤があったり、本当にこれでいいのかと彼女も悩んだ。
 
現実の私たちだって、結婚にしても転職にしても、更に言えば毎日の小さな選択だって、何を選ぶのが正解なのかと悩み、つい「テンプレートの幸せ」に引き寄せられていってしまいがちだ。
 
20代で結婚するとか、大手企業で働くとか、一見するととても満たされているような状況でも、自分自身が幸せだと思えなければ意味がない。
 
誰かが「幸せ」と定義づけた事に乗っかるのは楽かもしれないが、皆がそうしているからという理由で自分の選択を決めてしまうと、ふと振り返った時に本当にこれで良かったのかと後悔してしまう気がする。
 
もちろん、奇を衒えということではなく、自分が満足しているならどんな形でも幸せと感じられる事は素晴らしいし、そこに至るまでに選択をしている事は誰しも同じなので、「テンプレートの幸せ」みたいな事をする人達はつまらんと偉そうな事を言うつもりもない。
 
ただ一つ言える事は、この「セックスアンドザシティ」を見て私は自分が幸せだと感じる事を選び取っていく勇気をもらったという事だ。
 
彼女達4人のように、自分の将来に恐れず、いつまでも自分らしくいられる選択をしていきたいと思った。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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