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名古屋で一番、転勤族の集まるヨガ教室


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:児島桜(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「家で一人じゃ運動ができないのよ」
「夫と話す生活で外の人と会わないと呆けちゃうわよね」
そんな会話が飛び交う、いつものヨガ教室。
ここでは30代~70代の女性が集まってヨガに勤しんでいる。
 
私はもう5年ほどお世話になっているヨガ教室だ。
ちなみに伝えておくと、5年も通っている割に、私はヨガの専門用語もわからないし、体も柔らかくは決してない。本を読んだりして深堀りをしたこともない。
何ならストレッチとの区別もついていない。
でも、そんな私でも、いそいそと足を運びたくなるヨガ教室なのでその魅力を紹介したい。
もしも、あなたが転勤することになった時、全く知らない土地で生活を始めるときに居場所づくりのヒントになるかもしれない。
 
ここは、名古屋市の真ん中よりやや北東のエリアにある千種区。
市営の動植物園や区民スポーツセンター、区民図書館がある東山というエリアで、
少し前までは別荘地として使われていたという、街中なのに区画の大きい土地やお屋敷があったりする地価がお高いエリアである。
愛知県出身の著名人が多く住むエリアでもある。
 
現在、ここはたくさんの賃貸マンションがあり、転勤族が集まる街である。
街中や中心部へのアクセスや文教地区といった落ち着いた雰囲気があるからだろう。
近くに名古屋大学もあるのだが実際に住んでいるのは転勤族のファミリー層と単身赴任のサラリーマンが特に目立つ。
昔からここに住んでいるいわゆる地元の人とうのは、比較的少ないのではないかという気さえする印象だ。
 
そんな場所に、とあるマダムが営む老舗のヨガ教室がある。
この地で暮らしている主婦たちが集まり平日の午前を過ごしている。1時間のヨガでは、もくもくと体を伸ばしたりポーズをとって呼吸をしながら止まる動きで心身の代謝を促していく。途中で何度か水分を補給するための休息時間がある。
 
そんな時、誰からともなくこんな会話がはじまる。
「そういえばあの方、コロナでお亡くなりになったって」
「77歳だったそうよ、お若いのに」
「77歳っていったらあと私、数年であの世ってことじゃないの」
「あら、そういえばトランプさんおいくつだった?」
「バイデンさんこそおいくつ?」
「あのお歳で始められるなんて任期終了の頃はおいくつなのかしら」
 
このような会話のあとは、必ず健康の話へと続く。
「別の曜日に来られている、遠藤さん、自力で老眼を治されたそうよ、それもご夫婦で!」
「まぁどうやって?」
ヨガに来られているだけあって健康の話題には皆、敏感なのか非常に話が盛り上がる。
そして実際の体験談がぞくぞくと挙がる。
これのどこに凄みがあるのかと言えば、ヨガ講師であるマダムが話しているのではなく、参加者が勝手に、全体に話し始めることなのである。マダムはうなずいたりして、にこやかに過ごして聴いている。
リーダーは居ない。順番に話さなければならないというルールもない。皆があうんの呼吸で世間話をするのだ。共感したり驚いて質問している間に距離が近くなって非常に親しみを感じる。
 
またこんな話
「こどものおむつがなかなか外れなくて、夜いつからお姉さんパンツにすればいいかわからないのよ」
「こどもの言葉が遅くて発達は大丈夫かしら」
「義母にこんなこといわれちゃって、これってモラハラかしら」
「今月、異動通達なかったからまた今期もお願いします」
「名古屋に限って10年コースの企業が多いわよねぇ」
こんなに話題のふり幅があるヨガ教室ってあるのだろうか。
もう一度言うが、講師のマダムではなく参加者が勝手に話しをはじめるのである。
 
実は、9割が地元以外から来た転勤族の主婦たちなのだ。
そんな、境遇が成せる技なのか、皆話したくてしょうがない。
転勤族とは定期的に土地勘や知り合いの全くない場所で生活を始めなければならないから孤独を感じやすいのだろうと思う。実家も必然的に遠いことが多いのでなおさら心細い。
ラインやフェイスブックの時代とはいえ、結局リアルに勝るものは無いのだと思う。
 
私自身、実家が宮城県で新幹線を乗り継ぐか飛行機を使わなければ帰省できないので気軽に頼れる親がいないが名古屋で出産と子育てをしているので気持ちがよくわかる。
顔を合わせて人と話したいのだ。
 
問題が解決されるのをすぐに望んでいるのではなく、ただ話を聞いてほしい気持ちがたまっていて、ヨガ教室なのだが、時にはカウンセリングルームになったり、マナー講座になったり、子育て教室になったりする。そんな休息時間の一瞬が私を含めた参観者の満足度を上げているような気がする。
 
もちろん、さらにヨガの効果も相まって体を動かしていると前向きな気持ちになる。
 
地元に残っていたらきっと
子育てのちょっとした工夫、年上の義母との付き合い方、転勤予定などいろんな話は、
自分の親や祖父母、学生の頃からの友人としていたのだろうな。
 
マダムがそっと相手が70代であろうが、参加者に対して母親のような見守る目線でいてくれるおかげで、私たちは世間話を超えた関係になれるのだ。
 
そう、まるで母親がいる家庭の茶の間に集まる、きょうだいのような関係性に近い。
運命共同体のようで、たまにじゃれたりなぐさめあったり、すこしの競争心もある。
毎週、顔を合わせているだけなのにお互いの顔色や、変化にも気づけるようになってくるので、心の調子の悪い時などは、なんと自分よりも先に自分の状態にお互いが気がつく、そんな事もある。
 
女性は特に、何気ない会話ができる相手が欲しいし、心が安定すれば体も整うことをなんとなくわかっているもの。家族以外の居場所の存在は絶大である。それがヨガ教室だなんて、体と心が同時に整う最高の場所と時間だ。
 
もし転勤や異動があったらスポーツクラブではなく、
その地元に昔からあるヨガ教室に足を運んでみてほしい。
心の家族や友人を見つけて、孤独から脱出できるはず。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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