松岡修造氏と読んで熱く語りたい、親子関係のぎくしゃくを改善する一冊
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記事：石川サチ子（ライティング・ゼミ日曜コース）
先日、Yahooニュースで松岡修造さんの記事を読んで衝撃を受けた。
松岡修造さんと言えば、泣く子も黙る、熱血男。プロのテニスプレイヤーだった。
その熱い語録は日めくりカレンダーになり、毎年飛ぶように売れている。
世界的に活躍する錦織圭を発掘し、育てた実績もある。そして娘さんはタカラジェンヌ。現在活躍中だ。
実績もさることながら、育ちも申し分ない。
阪急電鉄の創業者である、小林十三を曾祖父にもち、お父様は東宝の社長で、お母様は元タカラジェンヌ。奥様はテレビ東京のアナウンサーだった経歴を持つ。
実績良し、人気良し、毛並み良し。
クラクラするほど、まばゆいばかりの存在。
私とは、全く接点のない別世界に生きる人だと思っていた。
しかし、私はYahooニュースを読んで、ググググーと松岡修造さんとの距離が一気に縮まったような気がした。松岡さん、息子さんとの関係がギクシャクしてしまっているらしい。
もし、どこかで、松岡さんにばったり合ったら、この本を差し出し、一緒に読んで熱く語り合いたい、と思った。
この本とは、トマス・ゴートン博士の「親業」という本だ。
子育て本は、世の中にゴマンとある。無料の情報も、わんさかと出てくる。
しかし、そのほとんどが、個人的に上手くいった子育て方法だ。
そして、上手くいった子育て方法は、法則性がなく、褒めた方が良いとか、叱った方が良いとか、甘やかすとか甘やかしてはいけないとか、提唱している人によってバラバラ。
子育てに悩み、子育て情報を追えば追うほど、いったい何をしたら良いのか、どんどん分からなくなってしまう。
更に、子供全員を東大に合格させた、ハーバード大学に合格させたとかと言う記事は、ほとんど毎日のように目にする。
一般庶民のわが家にとっては、全く縁のない話で、調子の悪い時に読んでしまうと、子どもの優劣の差を突きつけられているようで辛かった。
うちの子は、小学６年生でいじめに遭い、中学からは、全く何もやる気がない状態になってしまった。
かろうじて学校には行っていたけど、授業中寝ていて、全く勉強について行けなかった。
部活も友だち関係も上手くいかず、不登校になってもおかしくないくらい、無気力だった。
中三になって、周りは高校受験の勉強をし始めているのに、休日は寝てばかり。起きているときは、スマホ三昧。取り上げると激怒し暴れた。
入試直前の冬休みも、やる気がない状態は続いていた。
勉強も部活も友だち関係も、やる気がない子どもを見るのが辛く、私はいつもイライラして子どもを怒鳴り散らしていた。
親子関係も、どんどん最悪になっていった。
そんなとき、あるブログから「親業」の本の存在を知った。藁をもすがる思いで取り寄せて読んでみたところ、ズトンと頭にピストルの弾を撃たれたくらいの衝撃を受けた。
ゴートン博士の、ひと言ひと言は、連続射撃を受けているようだった。一行読むごとに、猛省し、考え、時には号泣し、なかなか前に進めなかった。
読み進むにつれて、私が、これまで良かれと思ってやってきたことが、実は子どもをダメにするやり方だったということに気づいた。
子どものやる気を奪った犯人は私で、その証拠を次々に突きつけられているようで読み進めるほど苦しくなって行った。
多分、子どもとの関係がぎくしゃくしてしまった、ほとんどの親は、知らず知らずのうちにやっていることばかりだ。
これまで、子どもとの関係が上手くいかないのは、思春期で難しい年頃になってしまったからとか、反抗期だからと、自分に都合の良い言い訳をしていた。
やる気のないのは、いじめにあったせいだ、とどこか他人のせいで子どもがおかしくなったのだと、人のせいにしていた。
しかし、全部、私のやり方が酷かったのだった。子どものやる気を削ぐような方法で接していた。
だから、「親業」を読んだ後、一度死んだつもりになって、子どもへの接し方を１８０度変えた。
最初はぎこちなかったけれど、続けた結果、子どもとの関係が驚くほど改善した。そして子どものやる気が出てきた。
「親業」は、５０年以上前に出版され、世界中で実践されている。フィンランドでは、高校の教科書にも使われている。
子育ては家庭の一大プロジェクトであると同時に、未来を作る壮大な事業だ。
なのに、これまで風習や経験則でしか行われておらず、手探りで行われている。その結果、不登校や引きこもりなどが社会問題化している。
これまで、この問題には答えはないと思っていた。
しかし、違う。
子育ての答えは、５０年以上前に出ていた。
このやり方を知らずに、子育てしてしまう危うさを知った。
だから、親子関係をこじらしてしまった松岡修三さんにも読んでもらい。そして熱く語り合いたい。
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