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メディアグランプリ

積読に負けない、武器をくれる本

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:射手座右聴き(リーディング&ライティング講座)
 
 
「本を読む時間がない」
つくづくそう思う。
とにかく、仕事の拘束時間が長すぎるのだ。
朝は8時から夜は翌日2時くらいまで。
それが私の仕事時間だ。
 
私はフリーランスで広告制作の仕事をしている。
「明日まで」
「今日中」
「時間がないんです」
という仕事が多い。
とにかく、予定というものが立ちにくい。
クライアントさんの動向次第で、その日のスケジュールが変わりすぎるのだ。
しかし、そこに対応していかなくては前に進まない。
そういった生活をしていると、タイムマネジメントができなくなる。
映画も行けない、配信も途切れ途切れに見ていくことになる。
一番困るのは、本だ。
「今、どこを読んでたんだっけ」
「どういう話だっtけ」
「そもそも、最初どうだっけ」
途切れ途切れの時間に読もうとしても、こうなるのがオチだ。
 
だから私は、知らず知らず、本から遠ざかっていた。
読んだとしても、仕事の資料として読むべきものだったりした。
 
書店に行くと、思う。
「あれも読みたい。これが気になる」
「あ、この本、SNSで誰かが薦めていたものだ」
そう思って一冊手にすると、そこからがもう大変だ。
何冊も買い込んでしまう。
知らず知らず、本棚だけは埋まっていくのだ。
とりあえず、kindleにしてみた。
しかし、現象は同じだった。
埋まっていく場所がkindleの画面になっただけだ。
 
どうしたらいいのだろうか。
書店に行っては、積読を増やして行く生活。
年末の大掃除をすれば、5,6年前のベストセラーが並んでいた。
「みんなが読んでる本は読まないと」
と思って買った本が結局読まずに残っている。
これでは世の中から取り残されているのと一緒だ。
 
危機感を感じ、
意を決して読み始めると、そこに電話が鳴ったり、メールがきたりするのもお約束。
 
また、仕事の世界に引き戻されるのだ。
そんな生活を繰り返していた時、SNSでつながっている方が本をだした。
どんな本だろうか。
年間700冊の書評を書いている方だ。
ビジネス書からノウハウ本、小説まで読み尽くしている方が何を書くのか。
 
SNSの投稿を読み進めたら、タイトルが書いてあった。
私は目を疑った。なんというタイトルなのだ。
700冊を読む人のタイトルとは思えなかった。
 
「遅読家のための読書術」 と書いてある。
え? 遅読? 速読じゃなくて、遅読ですか。
どういうことだろう。年間700冊といったら1日2冊ペースじゃないか。
いや、3,4冊読む日もあるだろう。
そんな人が書いた本が「遅読家のための読書術」 だという。
 
これはもしかして、速読術ではないだろうか。
1ページを文章で読むのではなく、イメージとしてとらえる、みたいなやつか。
でもそんなの書くかなあ。書評家の方が。
今度の書評にも影響しそうだから、速読術ではないんじゃないかな。
サブタイトルをみると、こう書いてある。
 
情報洪水でも疲れない
「フロー・リーディング」 の習慣
 
情報洪水でも疲れない、というところに魅かれた。
疲れない、ということは速読術ではなさそうだ。
 
SNSで繋がっている方、ということもあり購入してみた。
 
まず、驚いた。ページをめくるたび、驚いた。
読むたびに、思った。
もっと早くこの本と出会いたかったと。
 
なんでもっと早く読めなかったんだろうと。
まあ、発売からそんなに時間の経っていないときに読んだのではあるが
それでも、残念に思った。
 
本、というものの存在を根底から変えるものだった。
本と自分の関係を変えてしまうものだった。
子供の頃から、本は嫌いではなかった。
どちらかというとよく読んでいたし、読書感想文を書くのは得意だった。
何度も何度も読んで、意味や隠された作者の意図を読み解くのが嫌いではなかった。
 
が、これが悪かったのだ。
読書とは、熟読するもの。私はいつの間にか決めつけていた。
何度も何度も読み、全部理解し、全部を感じとらなければいけない。
 
いわば熟読が強迫観念になっていたのだ。本を真面目に読みすぎていたのだ。
作者は言うのだ。
音楽を聴くときを例にして。
「よし、音楽を聴くぞ! まずはイントロ、次にAメロ」
と意気込んで聴く人は少ないのではないでしょうか。
と書いているのだ。
どんなに聴き流しても、残る音は必ずある、と。
 
なるほど。私はこの一文で強迫観念から解放された。
そうか。読書のルールを決めすぎていた。
聞いた音楽をすべて覚えていないように、みたドラマをすべて覚えていないように
本だって忘れたっていいんだ。
 
そう思ったら、自由になれた。時間がなくても本を読めると思った。
読みたいところを読めばいいのだ。
 
「今、どこを読んでたんだっけ」
「どういう話だっけ」
「そもそも、最初どうだっけ」
 
そんなのかんけねえ。
忙しくて、本を読まない理由になっていたことをすべて
関係ないものとして読んだ。
 
そしたら、ほんとに気持ちが楽になったのです。
 
身勝手に聞こえるかもしれないが、僕が言ってるだけじゃないんですよ。
年間700冊を書く、書評家が書いていることなんです。
無駄がなく、わかりやすく、それでいて文章を音楽に例えるような印象的なこの本に
書いてあるから説得力を感じるんです。
 
今まで私は、本から何かを教わろうとしていた。無意識に、すべての本を
何かを与えてくれるもの、と思っていた。
しかし、そうではないかもしれない。
 
与えれもらうのではない、受け取るのだ。自分のペースで。
選択権は自分にあるのだ。
 
そしてこの態度は、情報洪水である現代を生きるための知恵でもある、と言えそうだ。
 
この本を読んで私は、本を不真面目に読むことができるようになった。
残った音だけ覚えていればいい。つまり、残った文だけ覚えていればいい。
 
積読は減った。一時的に激減した。20冊くらいは減っただろうか。
働くペースは変わらないのに。
 
がしかし、読むスピードがあがれば、また本も増える。でも、減る。今度は減るのだ。
 
なにしろ、不真面目な読書術という強い武器があるのだから。
 
この武器はこの一冊を読むことで、知らず知らずに入ってくる。
書評家の選び抜かれた言葉によって、知らず知らずに入ってくる。
さあ、あなたも積読に対抗する武器を持ちましょうよ。
 
 
 
 
***
 
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2020-11-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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