fbpx
メディアグランプリ

ラジオで黒歴史がバレて夫婦円満になった顛末を話そう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:久慈桃子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私は毎日、夕方になるとラジオアプリを立ち上げる。
ラジオは我が家の夫婦円満に欠かせない要素なのだ。
 
私たち夫婦がラジオを共通の話題にし始めたきっかけは、私が黒歴史を暴かれたことに端を発する。
「♪煙草屋のおばあちゃん~」
「♪お世話になりました~」
夫が歌っていた鼻歌の続きを、つい私が引き受けてしまったのだ。
 
私たちが生まれる前に発売されたこの歌を、同年代で知っている人はなかなか珍しいだろう。
夫はとてもビックリして「なんで知ってるの!?」と私に食いついてきた。
私はそのとき、自分がミスを犯したと気づかなかった。
ゆえに、バカ正直に答えた。
「高校時代、勉強しながら聴いてた深夜ラジオのコーナーソングで……」
「それってもしかして……『ジャックあまののゴーゴーあまのじゃく』じゃない?」
「なぜそれを……!」
 
私たち夫婦は同県出身だけれど、学生時代に互いの接点はまったくのゼロだった。実家の場所も県内の端と端で、学年も部活も異なっていたため、地元の友人知人に共通の知り合いは一人もいない。
ゆえに、一般的な「学生あるある話」ならまだしも、学生時代の共通の話題というのがまったくなかったのだ。さらに私が会社を退職すると、仕事上での共通の話題も減っていってしまい、段々と夫婦の会話自体が少なくなりつつあった。
 
そこに突如降って湧いたのが『ジャックあまののゴーゴーあまのじゃく』である。
それは県内の端と端に住んでいた私たちが、同じように深夜の勉強部屋でラジオのアンテナを握りしめ(こうすると電波の入りが良い)こっそり楽しんでいたラジオ番組だった。
全く接点がないと思っていた高校時代の私たちの間に、ラジオという共通項が現れたのだ。
 
「俺、ジャックにハガキ送って採用されたことあるよ」
「あー私も。ラジオ局の粗品けっこう貰ったなぁ。カセットテープとか、ロゴ入りシャーペンとか」
「……もしかして君、あの番組のハガキ職人だった?」
「あっ……」
 
番組タイトルからも推測できるとおり『ジャックあまののゴーゴーあまのじゃく』は、深夜帯特有のノリでギャグと下ネタとリスナーいじりを絶妙にミックスした、10代の若気が至りきった番組だった。
そして番組の各コーナーでリスナーからの投稿ハガキを熱心に募集していたこともあり、当時の私はギャグと下ネタを駆使した文章を投稿するハガキ職人だったのだ。
 
元リスナーから言わせれば、あの番組のハガキ職人=ギャグと下ネタてんこ盛りの文章を夜な夜な書いて投稿していた変人に他ならない。
はっきり言って黒歴史である。
 
これまで夫の前で特段お上品ぶっていたわけでは決してないが、その日を境に夫の私を見る目が変わった……ような気がする。
 
一応番組の擁護をしておくが、『ジャックあまののゴーゴーあまのじゃく』は日本民間放送連盟賞のラジオ娯楽部門で優秀賞を受賞するほど人気の高い番組だったのも事実である。
普段は真面目にニュースを読んでいるTVアナウンサーが深夜にハイテンションでギャグと下ネタを連発していたので、いちリスナーとして「この人、会社での立場は大丈夫なんだろうか」と密かに心配していたのだが、きちんと社会的評価を貰えたので安堵したものだ。
 
さて、高校時代の共通の話題ができたことに夫は心なしか嬉しそうで、当時のコーナーソングをYouTubeで拾ってきては「これこれ! 懐かしい!」と嬉々としてスマホを差し出してくるようになった。ちょっと可愛い。
やがて彼が「今でも外回りの時に車でラジオを聞いていて、今のお気に入りは『Happy Hour Party!』なんだ」と言い出すに至って、私はスマホでラジオが聞けるアプリをダウンロードすることにした。
もちろん、夫との共通の話題を作るためだ。
 
普段それぞれの職場で働いている私たちは、共通の話題が子供のことしかない。それはなんだか味気ないなと思っていたところに、ラジオはちょうど良いコミュニケーションの触媒となった。
別々の場所で過ごしていても、同じ時間にラジオを聴いていれば、共通の話題ができる。帰宅した夫と「今日のラジオ聴いた?」と話すのは、学生時代の昼休みのようでけっこう楽しい。もちろん夫婦仲も上々になった。
 
ちなみに夫おすすめの『Happy Hour Party!』は、夕方4時からの放送にもかかわらず深夜番組並みのテンションを誇る番組で、夫が私に対する認識を改めた結果がこれかと妙に納得した。
 
いま巷では音声SNSのclubhouseが話題だが、ラジオ番組を介したコミュニケーションもやっぱり面白いなと再認識する出来事だった。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325


■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」

〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984


2021-02-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事