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メディアグランプリ

言葉のスノーマジックにかけられて


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記事:十川蒼来(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は日本語が好きだ。
 
一つ一つに意味があって、それを組み合わせると似たような、でも違う意味になる。音にした時の響き、全体の輪郭。なんといっても、複雑な感情の機微にぴったり当てはまる言葉がたくさんある。これが最大の魅力だろう。昔の人はこのことを「いとおかし」と言っていたのだろうか。
 
けれど日本語、総じて言うなら言葉は、鋭い刃にもなる。
 
良い一例がある。これは一年前の事、一人の男子に言われた言葉だ。
 
「十川さんって、見た目より頭悪いよね」
 
はい。そんなこと自分が一番知ってますけど。と正直思ってしまった。普段、自分にとって利益がないことは流す主義だが、今回ばかりはそうはいかない。
 
「まあ、意識は東大級だから」
 
訳も分からないことを言って反抗したが、これも頭の悪い一つの判断材料になってしまった。だが、それにしても本人の前でいうのはいかがなものか。と、下校時に自転車に乗りながら考えていた。
 
「十川さんって、見た目より頭が悪いよね」
 
リフレインする言葉を噛み砕いてみる。
 
『見た目〝よりも〟』
 
ということは、見た目は頭がよさそうに見えるということだろうか? もし彼が私の事を、本当は頭がいいと思っていたということを伝えたかったのなら、こう言い換える事もできる。
 
「十川さんって、頭がよさそうな容姿をしてるね」
 
これなら相手を称賛しているように聞こえる。深堀りをすれば言いたいことは変わらないけれど「物は言いよう」とはこのことだろう。
 
言葉はものすごい力を持つ。励ましたり、元気づけたりする事だって可能だし、その気になれば人だって殺せる。言葉は人間にとって最大の武器になる。もしかしたら原子爆弾と同じぐらい言葉というものは恐ろしいものかもしれない。
 
そのことに気づいた時から気を付けていることがある。それは、自分の発した言葉は相手からどう捉えられるかを、相手の目線で考えるということだ。
 
人の間で起こる、いざこざや喧嘩、仲間割れ……。これらはだいたい、意思疎通がうまくいかなかったときに起こることが多い。そんなことを未然に防ぐためには自分自身を俯瞰して見る必要がある。言葉を発する前に一度、その発言は相手を傷つけることはないか、自分はその言葉に責任を持つことができるのかを考える。もし、言ってしまったら、その時は素直に謝ることも忘れてはいけない。これをすることで、相手と気持ちがよいコミュニケーションをとれるようになるし、自分を守る事にも繋がる。お互いウィンウィンの関係だ。
 
だけど、これはこちらが一方的に考えるだけなので、疲労を感じることもある。その時は文字を書いたりつぶやいてみたりして自分の気持ちを消化している。今度は自分が楽にする為だけに言葉を使うのだ。
 
これができるようになると、言葉が味方になってくれる。
 
また、言葉かけ1つで相手の能力を上げることも下げることもできる。
 
先輩から何か任された時、いくら目上の人だからといって「これやっといて」の一言だけ言われても、やりはするがいい気持ちはしないだろう。だから私は上の立場になった時から一番下だった時よりもさらに、言葉遣いに気を付けるようにしている。小さな案件1つでも、お願いをする立場であるのは変わらないのだから、相手への感謝は怠ってはいけないと思っている。
 
こういうと軽く聞こえるかもしれないが、感謝の気持ちだけは言ったもの勝ちである。なぜならその〝幸福ポイント〟は巡り巡って自分のポイントに還元されるからだ。
 
言葉を選ぶことは自分が幸せになれるかの分岐点である。
 
言葉を言い表した言葉とはなんだろうと考えれば、「雪」だという気がした。
 
暗闇に舞う雪は美しいが、豪雪になればただの脅威になる。暖かくなれば水になり、それが凍ると氷柱にもなる。死があるからこそ生があるように、自然は表裏一体だ。時と場合に応じて姿・形を変え、私たちに感動や恐怖を与える。そう思うと、言葉は生きているんだと実感させられる。
 
美しいものには毒がある。そう言うように、美しい言葉や真理は時に残酷だ。だけど、だからと言って偽りの言葉は厚みも重さも温かみもない。けれど私たちは言葉を選ぶことができる。
 
私たちは言葉という魔法をかけることができる魔法使いだ。
 
その人がシンデレラに魔法をかけたように、私がスノーマジックをかけるとしたら、心があたたまるようなものがいい。
 
 
 
 
***
 
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2021-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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