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うなだれて歩いていた彼女へ宛てた手紙


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:武田依子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
最寄駅で下車して、自宅に急いで帰ろうとしていたある夕方のこと。目の前を歩いている、高校生くらいの女の子の姿が目に入った。その女の子は、今時のJKというイメージからは程遠く、ぱっつんと切りそろえた前髪に肩くらいの長さの黒い髪を無造作にゴムで束ね、紺色の制服のひだのスカート丈は膝くらい。足元は白いソックスとスニーカー。学校の紺色カバンの他に大きな手提げ袋を持ち、荷物を引きずるようにして歩いていた。
 
その姿が私の目を引いたのは、彼女がとてもうなだれて歩いているからだった。
うなだれるといっても、下向き加減くらいの軽いものではない。首が90度くらいは曲がっているのではないか、というくらいのうなだれ方。その上、胸から腹のあたりまでが「くの字」を描くように凹んだ姿勢になっている。なので、本当に尋常ではないくらい、うなだれているのである。私は彼女から目が離せなくなってしまった。その姿が、昔の自分に重なってしまったからだ。
 
私も高校生の頃、ずっと、うなだれて歩いていた。
その時は自分がうなだれているという自覚があまりなかったが、後になって、すごくうなだれていた事に気づいた。
あの時、私は生きづらかった。息をするのも苦しく、体を真っ直ぐに保てなかった。体を保てないくらい、胸が凹んでしまうくらいの生きづらさ。それはいっときも自分を解放してくれない、追い立てられるような苦しみだった。
だから、あの時の自分と同じようにうなだれている目の前の彼女が、気になって仕方なかったのだ。しかし、うなだれているからってだけで声をかけるのは、あまりに勇気がいる。私とは違う方向へ歩いていく彼女を、見送ることしか出来なかった。
 
帰宅してからも、彼女のことが気になった。気にしても、どうすることもできないけれど。
でも、そうだ。彼女に向けて、この気持ちを書こう。そう思い付いたら、少し軽い気分になった。それで私は、見知らぬ彼女に、渡すあてのない手紙を書いたのである。
 
「うなだれて歩いていたアナタへ」
 
突然の手紙、ビックリしないでくださいね。
偶然、駅前で見かけた時、アナタがとてもうなだれているように見えたのです。
それからアナタのことが、どうしても気になって仕方なく、こうしてお手紙を書くことにしたのです。
 
アナタのうなだれた姿が気になってしまったのは、私もアナタくらいの頃、ずっとうなだれて歩いていたからです。当時の私が、どのくらいうなだれていたかというと、学校へ通う通学路を、マンホールの位置を絡めて覚えていたくらい。私の道の覚え方は「あのマンホールが見えたから、次の角を右に曲がる」そんな感じだったのです。
あの時の私は、東京の目黒区と世田谷区のマンホール事情に誰よりも詳しい女子高生だったと、今でも自負しています。
 
私は、ひどい生きづらさを抱えていました。
その生きづらさで、私はうなだれていたのです。息もしづらく、真っ直ぐ立つのも疲れるくらいの生きづらさ、そんなものを抱えて、必死に生きていました。原因は、精神的に不安定な母親との葛藤でした。私にとって、生まれ育った家庭は、理不尽と混乱の場所だったのです。
 
今、アナタがうなだれている理由は、一体なんでしょうか。
親とのこと?友達?勉強?それとも、好きな人のこと?学校生活は、どうかな?
高校生の頃の私は、決して勉強が嫌いな方ではなかったけど、でも、あまり学校の勉強に興味が持てないでいたのです。
だってね、当時の私が考えていたのは、この生きづらさから来る苦しみをどうにかしたい、それだけだったから。国語にも数学にも英語にも、当時学校で習う勉強の中には、この苦しみを解決する直接的な答えがなかった。答えを渇望していた私は、目の前にあるほとんどの事が手につかないまま、彷徨っていました。
 
ところで話は変わりますが、アナタには好きなモノがありますか?
アニメ?アイドル?ゲーム?ドラマを見る事?歌を歌う事?好きな事が一つでもあれば、それはとても素晴らしいことだよ。是非、その好きなことの世界に没頭してね。なぜかと言うと、その世界は、安全な心の避難場所になるから。
でも、もし今、好きな事が何もないのだとしたら、私は本を読むことを勧めたいです。
生きづらさからくる苦しみをどうにかする解決法を知りたい、そんな私が、あの時、本の世界に答えを探し始めるのは、必然だったと思う。苦しみを解決する答えを求めて、ワラをもすがる思いで、必死に本を読み始めたのです。
 
けど、読み始めたものの、本の示す世界の広がりは膨大で深く、答えに辿り着くには何を手に取ればいいのか、最初は全く分からなかったんだ。これから本を読みはじめるとしたら、アナタも何を選べば良いのか分からないかもしれない。それでもとにかく、何でもいいから、気になるタイトルの本を読み始めることから始めて欲しい。なにか読み始めれば、そこからおのずと広がっていく。そして、そこに安らぎと居場所を、きっと感じるようになるよ。私にとっても本を読む事は、大切な心の拠り所になっていったから。
 
そうして読み始めた本の世界は、私に色々なものを与えてくれました。
実は、結婚した旦那さんも、本の話題から仲良くなった人なんだ。旦那さんとは今でもお互いに、読んだ本の感想を言い合ったりしているよ。
 
この手紙を読んでくれて、もし、よし本を読もう! と思ってくれたら、天狼院って言う本屋さんがあるから、どこにあるか調べてそこに行くといいよ。
何とカフェを併設してる店もあるらしいから、きっとそこでは、ゆっくり本を選べると思うよ(私はまだ行った事ないけど……)
バターチキンカレーっていうメニューが、評判らしいよ(私はまだ食べてないけど……)
 
カフェのない店舗でも、そこにいるお姉さんやお兄さんが、気さくに声をかけてくれるよ。
私は、池袋のエソラっていう場所にあるお店の、店員のお姉さんが勧めてくれた本を、3冊注文したよ。その後注文した本を取りに行った時にいた、店員のお兄さんがそのうちの一冊を見て「十二国記! 僕も好きなんです」って声をかけてくれたよ。心を開いて話すのは、時にとても勇気のいる事だけど、ここにいるお姉さんお兄さんは、更に開いた心で気持ちを返してくれたんだ。行ってみたら、アナタの世界が広がるかもしれないよ。
 
ここまで読んでくれてありがとう。これで手紙を終わりにします。
うなだれて歩いていたアナタが、かつての私がそうなったように、上を見て胸を張って歩けるようになることを祈ってる。
いつか必ず、アナタにそういう日が来ることを信じているよ。
 
 
 
 
***
 
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2021-03-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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