身体のインスタ映え時代から、身体の内側の声を聞く時代へ
＊この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか？賞を取れるのか？プロも通うのか？〜
記事：長嶺一紀（ライティング・ゼミ平日コース）
この10年ほどで健康に対しての情報が増え、多くの人が自身の健康を気にする様になった様に感じます。
昔と比べると健康に対しての情報は増え、スポーツジムも各所に増えトレーニングをする人が増えています。健康や美容に良いという触れ込みでヨガスタジオも増えています。10年ほど前と比べると健康に対して意識している人は確実に増えている様に感じています。
しかし、健康に対しての情報や関心が高まっているのにも関わらず、実際に健康になった人が増えたかと言われると正直微妙なところがあるかと思います。
僕はセラピストをしているのですが、「健康のために筋トレやランニングを始めたが、身体を痛めてしまった」という訴えを聞く事が少なくありません。ヨガに関しても、ヨガの資格を取得するために講座を受けた際、多くのヨガインストラクターが身体の不調や痛みを抱えている事がわかり唖然とした記憶があります。ヨガをすると健康になるはずなのに、インストラクターが不健康だったのです。
なぜ健康になるために運動をしているはずなのに逆に不調になってしまうのか、本で学んだり自分の身体で色々試したりしながら自分なりに試行錯誤していきました。そして分かったのが、現在健康とされている身体は、言ってしまえば「インスタ映え」する身体の事で、その観点から脱却しない限りは身体の不調に悩まされ続けてしまうという事です。
「インスタ映え」する身体とはどういう事か。結論から述べてしまうと、「見た目を重要視する」身体の状態です。
インスタグラムで筋トレやヨガを検索すると、男性女性とわず自分の整ったスタイルを投稿していたり、キツそうな筋トレチャレンジや、難しそうなヨガのポーズがインスタ映えする様に投稿されています。昨今ジム通いやヨガを始めた方も、目的を聞いてみると「腹筋を6つに割りたい」「痩せて美しい体になりたい」といった「見た目」を最優先にして運動を始める方が多いと感じます。
最初に運動に取り組むにあたっては見た目を変えるために初めても全然良いと思います。運動しないよりも良いですし、見た目が変わる事で自信がついたり日常に良い影響を与えてくれるかもしれません。実際インスタグラム等のSNSで鍛え抜かれた身体や難しいポーズの投稿を見ていると、ここに至るまでの努力が感じられ、本当に凄いと感じます。
しかし、見た目だけ意識して運動をした時、身体を痛める原因がそこにあります。外見、外を意識するあまりに、自分の体の内観を捉える事が難しくなってしまうのです。
私達の体の特徴として、自分の脳内の中に身体地図というボディーマップを持っています。この身体地図は身体を動かそうとした際にここを動かすといった脳から指令を送る場所です。この身体地図があるからこそ僕たちはある程度思い通りに身体を動かす事ができているのです。
この身体地図、正確に自分の身体の体の位置を把握しているわけではなく、結構曖昧になっています。明確になっているところもあれば曖昧になっているところもあるのです。
身体地図の曖昧さを感じる具体的な方法があります。立って両手をあげて目を閉じてください。
その両手を10数えながら均等に下ろしていってみてください。両手は揃って下せているでしょうか？ そもそも均等に手を下ろす事ができているでしょうか？
2人でやるとわかりやすいのですが、両手が揃っていなかったり、均等におろせなかったりしているのがわかります。それだけ身体地図というのは曖昧なものだし、的確におろせる様になるにはしっかりとした練習が必要になるのです。
この様に、人の体はコントロールするのが難しく、人によっては身体の中でも使いやすいところと使いにくいところがはっきりと生じてきます。
その状態で負荷の強い筋トレをしたり、ヨガの複雑で難しいポーズをとってしまうとどの様な問題が生じるでしょうか？
手を上げて下ろすだけでも中々制御できない僕らの身体。重いものを持ち上げたり無理なポーズを取ろうとすれば尚更コントロールが難しくなります。
そうなってくると自分の身体地図の中でも明確な部分、使いやすいところをメインにして運動を継続しようとしてしまうのです。
使いやすいところだけ身体を使っていると、そこに負担が生じてしまい、最終的には壊れてしまいます。見た目だけでこだわりすぎて運動をしてしまうと、最終的に身体の頑張っている場所に限界が来てしまい、痛みなどの症状に繋がってしまうのです。
なので僕たちがすべき運動は、腹筋を硬くしたりヨガのポーズを極めたりといった見た目を目標にするべきではないのです。しっかりとやるべきことは、「自分の体を内面から見ながら、身体のコントロールができる様になる」ことを優先的にしていかないといけないのです。
ではどうやれば自分の身体のコントロールをうまくする事ができるのか？一番してほしいのは「身体のコントロールの重要性を理解している専門家と一緒に運動を行う」事です。
自分の手すらうまくコントロールできない状態でいきなり一人でやろうとしても上手くいきません。まずは身体の事を深く知っている専門家の人に自分の身体を診てもらいながら運動を行っていく事が自分の身体を守るためにも非常に大事になります。
ジムトレーナーやヨガインストラクターに話を聞きながら、身体をコントロールする事の重要さを語れる方がいたら確実にあなたの身体は健康的に変われると思います。探すのが大変なのが難点ですがそれでも探してみる価値はあると思います。
どうしても身近に教えてくれるトレーナーがいない。そんな場合は、動くときに自分の身体に無理が生じていないかをまずは確認しながら行ってください。
筋トレやヨガのポーズをするときにどこか頑張りすぎているところはないか、頑張りすぎるあまりに呼吸は止まってしまっていないか……。
自分の身体の状態を知ろうとするだけでも痛めないための予防につながります。もしがんばりすぎていたり呼吸が止まっていたりしたら、その運動はあなたにとって無理してしまっている運動です。負荷量ややり方を変えていく必要があります。
その様に身体に意識を向け続けていくと前述した身体地図がより明確化され、動きのコントロールが上手くなってきます。コントロールが上手くなると、面白いことに身体パホーマンスが向上してきます。実際僕は身体に意識を持ちながら運動を行っているのですが、この運動をしてからかなりパフォーマンスが上がりました。今では10kg差があるラグビー経験者が全力で押してきても逆に押し返せるぐらいはできる様になりました。自分の身体に意識を向けながらの運動はただ負荷量を上げるよりも効果的になるのです。
SNS等の視覚に働きかけるものが増え、昔以上に見た目を意識して運動を行っている人が多くなっている様に感じます。
しかしそれだからこそ、元々自分の身体は他人に見せるものではなく、自分自身が生きるために必要不可欠なものだという事を再度思い出す必要がある様に思います。
もし運動をする際は、外見だけではなく身体の声も聞いてみる様にしてみてください。面白い気づきがたくさんあると思いますよ。
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