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2つの選択肢のどちらを選ぶか迷ったら

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岡田ゆかこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
朝からずっと泣き止まない……。
ずっと聞いていると頭がおかしくなりそうだ。
 
生後すぐから息子はよく泣く子だった。ご機嫌なのは朝の30分くらいで、夕方までほとんど泣いている。それに泣く時の声が物凄く大きい。大人がビックリしてしまうくらい激しく泣く。「この世の終わりだ!」と叫んでいるようにギャー! と泣く。他の赤ちゃんを見て、なんてかわいらしい声で泣くのだろうと羨ましく思っていたくらいだ。
 
なぜこんなに泣くのか分からなかったが、その理由をある助産院で知ることになる。
 
その助産院は、出産後母乳がなかなか出ないことに悩み、ネットで検索して通うようになった。育児を始めてまもない精神的に不安定だった私にとってはありがたい場所だった。
 
ある時、「今からお話することを落ち着いて聞いてね」と助産師さんに言われた。
 
どんな話だろう、と不安な気持ちを抱きながら耳を傾ける。
内容は、息子は舌癒着症の可能性があるということだった。
舌癒着症とは舌の裏側の筋が短いために舌が自由に動かせない状態を指す。治すには、舌の裏側の筋と上唇の裏側の筋の2か所をメスで切る手術が必要になると告げられた。
 
息子の場合は、空気が肺よりも胃に入るためお腹が膨らんでいること、泣き続けていること、舌が上手く使えず母乳が上手く吸えないという症状が当てはまっていた。
 
話を聞いて、思い出してみる。そういえば、息子は朝起きてから1時間以上泣き続けることがある。お腹が空いているのかと思い、ミルクをあげるのだがその後でも泣き続けるのだ。そして泣いている間に、時々ゲップやおならが出る。ゲップやおならが出ると少し楽そうな顔をする。
 
そうか! 肺ではなく胃に空気が入るから、空気が上へ行けばゲップ、下にいけばおならが出るのか。そうだったのか……。泣く原因が分かってそれまでモヤモヤしていた私の気持ちが晴れていった。
 
ただ、必ず手術しなければならない疾患ではないし、検討してくださいと言われ、その場で決めることはせず考えることにした。
 
帰宅してから、早速ネットで舌癒着症について調べてみた。
手術をしたお子さんの術後経過が書かれているブログを見つけた。助産師さんが言うように、手術をすると呼吸が楽になるので泣く時間が減り、睡眠時間も長くなることが書いてあった。
 
反対に小児科学会の調査結果で「手術は推奨しない」と書かれているページも見つけた。
推奨しないのは、年齢とともに舌の裏側の筋の長さが変わるため手術を必要とする患者が稀であること、手術により乳幼児突然死症候群や呼吸障害を減らすことができないなどの理由からだった。だから保険適用外の手術なのだ。
 
これは困ったと思った。この手術は賛否両論なのか……。子供の呼吸が楽になって、ゲップやおならが出るまで苦しむこともなくなることはメリットだと感じる。でも、まだ生後2か月だし、手術しなくても今後成長段階で自然と改善していくかもしれない。メスを入れるのも抵抗があるし。どうしよう。保険適用外なのは手術として一般的でないからだろう。そんな手術をする必要があるのだろうか。子育て自体が初めてで、赤ちゃんとの毎日の生活に慣れるだけで私は精一杯なのに、どちらかを選択するのは難しい……。
 
何度も何度も考えて、結局手術を受ける事にした。やはり息子は、苦しくて泣いている気がするし、泣きすぎると皮膚の色が一瞬だけ青紫色に変わることがあるのでそれも気になっていた。そして、手術をしてくれる病院は1歳未満であれば麻酔なしで手術ができるところも私にとっては安心材料になった。アレルギーがあるかどうか分からないからだ。
 
そして、先生に診て頂き息子は舌癒着症と診断され手術をした。手術後、部屋から出てきた息子はギャンギャン泣いていた。(親は手術の立ち会いは不可だった。)でも、以前の泣き声と少し違うし、抱き心地も柔らかくなった。数日後には息子はよく寝るようになり、泣いても皮膚の色は青紫色にはならなくなった。
 
生活が落ち着いてきて、息子の寝顔を見ながら、ふと助産師さんに手術を勧められてから息子の手術が終わるまでのことを振り返る。
 
手術は相反する意見があるため、手術をやるかどうかとても悩んだ。
例えば、誰かが「AとBなら、Aが良いよ」と勧めてくれて、Aを選ぶのは簡単だ。だが、Aを選んで後悔することがあっても責任を取るのは自分だ。責任の重さを考えると私は自分で選択することに一種の怖さを感じていた。その怖さの分、舌癒着症の知識を得ながら、自分は親としてどうしたいのか自分と会話をたくさんした。そして、手術を決断して良かったと思っている。もし、手術を選択しなかったらどうなっていたのかと考えることはあるが、きっとどちらを選択しても間違いではないだろう。一番大事なのは、誰かが勧めたから選ぶのではなく、知識を得ながらどちらが子供にとっては最善か考えて決断することだと思うからだ。
 
これは、最近話題のコロナワクチンにも当てはまると思う。ワクチン接種が進み、イスラエルは生活規制がなくなっているという良いニュースもあれば、ワクチンの副反応が若い世代ほど起きやすいなど接種をためらうニュースも流れてきている。それらを見て打ちたい人、打ちたくない人、しばらくは様子を見たい人様々な意見がある。個人により事情は異なるし、どんな考え方があっても良いと思う。
 
ワクチン接種はメリットもあればリスクも伴う。もし打つ、打たないで迷うのであれば迷うことがなくなるくらい色んな情報を集める。そして、自分はどうしたいか、自分の子供はどうするのが良いのか。考え抜いて自ら選択すること、決断することが必要なのだと私は思っている。
 
 
 
 
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2021-06-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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