ガラスの魅力を教えてくれたお店
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:仲本 ひと美(ライティング・ゼミ超通信コース)
最近は、オンラインショップが便利で、実際にお店に出向いて買い物をする機会が減ってしまった。そんな私に、オンラインショップでは味わえない、買い物の楽しさを思い出させてくれたお店がある。
そのお店はガラス食器のお店。どの食器もシンプルだけれどデザイン性が高く、色も品が良く、どんな人にも合う贈り物が必ずみつかる。老若男女問わず喜んでもらえ、就職祝い、結婚祝い、退職祝いと様々なお祝い事で、私も利用した。プレゼントすると、みんな、どんなところが気に入ったかを、笑顔で伝えてくれる。贈った方の笑顔を引き出してくれることが嬉しくて、あえて、このガラス食器のお店を利用することもあった。
オンラインショップもある。とてもお洒落で見ているだけでワクワクするホームページ。だけれど、お値段がちょっと高価で、普段使いをするには贅沢かなと写真を見ただけでは、買うことを躊躇していた。
このお店との最初の出会いは、知人が地元の支店に連れて行ってくれたこと。実際にお店で見ると、窓から入る自然光がガラス食器に当たり、輝く様子など、写真以上に素敵だった。スタッフの皆さんも控えめだけれど、気配りが行き届いていて、ゆっくり商品を見られるように配慮してくれ、ついつい長居をしてしまう。ただ、購入するとなると少し考えてしまう。高価だし、ガラス製品は繊細で壊れやすい。日常使いを想像しにくく、私には贅沢かなと敷居の高さを感じ、自分のためには、なかなか買えなかった。
私のように感じている人に配慮してか、そのお店は、様々なイベントを通して、カラス食器の良さを体感させてくれた。
一年に一回ある新作発表会では、職人さんが店舗に来ており、デザインの意図や使い方などを直接教えてくれ、写真だけではわからない魅力を知れる機会だった。
一番楽しかったのは、街のカフェ数店舗とコラボしたスタンプラリー。実際にカフェに行き、ガラス食器に盛り付けられた特別メニューを食べると、スタンプをもらえる。スタンプの台紙をガラス食器のお店に持参すると、スタンプの数に応じて非売品のガラス製品をもらえた。
今まで行ったことのない、自分の街のカフェを新しく知ることができたし、メニューも気取ったものではなく、日常を想像しやすいもので、実際に使うと、食器の良さがわかり、自分が家で使う姿を想像することができた。
そんな色々なイベントを通して、ガラス食器を実際に使い、高いと思っていた敷居がとれ、すっかりそのお店のファンになり、贈り物だけではなく、自分用にも購入し、今では毎日使っている。ちょっと高価だけれど、気に入った食器とともに過ごせることは、嬉しい気持ちになることを知れた。
オンラインショップでも、実際にお店に足を運んでも、どんな風に買い物をしても自由だ。でも、実際にお店に行き、スタッフさんとの会話や、製品に手を触れ、五感を使って買い物をすると、買ったものに対して、より愛着がわくように思う。
ただ、そんな風に買い物を楽しめる機会が、私の地元ではなくなってしまった。
4月になり、ガラス食器のお店から一枚のはがきが届いた。
『5月31日を最後に、支店での営業を終えることになりました』と。
最近は、贈り物を控えてくださいと言われることもある。私も、昨年1年間は、友人と会えず、振り返ると贈り物をほとんどしていなかった。
テレビを見ると、旅行業界や飲食業界が大変だというニュースばかり目に付く。
でも、人の交流が少なくなると、ガラス食器の様なお店も、コロナの影響を受けていたのだと、閉店のお知らせのはがきが届き、はじめて気が付いた。
最近は、オンラインショッピングが楽で、何も考えず、ネットでばかり買い物をしていた。どのように買い物をするかは、それぞれの自由だと思う。でも、4月に入り、高校時代よく通っていたCDショップや思い出のお店が次々と閉店してしまった。そんな街の様子を見ていると、私一人の力では、どうにもならないことだけれど、楽だからとオンラインショッピングばかりしていてよかったのかなと思ってしまった。
あることが当たり前、いつでも行きたい時に行けると思っていたお店が閉店し、実際にお店に行けることが楽しいことだったと気付かされた。
地元からお気に入りのお店が無くることは、寂しく、とても残念だ。でも、他の地域には、まだ、お店がある。今度は、旅行へ行ったときに、好きなガラス食器のお店へ立ち寄ることを楽しみにしようと思う。
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