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メディアグランプリ

社会人の私が玄関で催したから分かった事


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:西片 あさひ(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
「うわー。やっちゃったよ……」
こんなところでやってしまうとは。
血の気が引いていくのが分かった。
 
今まで頑張ってきただけなのに。
こんなはずじゃなかったのに。
 
いろいろな思いが交錯する。
気付いたら社会人になった4年前の事を振り返っていた。
 
その年、大学を卒業し、就職をした私。
就職先として選んだのは関東地方のある会社だった。
 
きっかけは、大学3年生の時のサークルメンバーとの旅行。
旅行先として行った地域の事を気に入った私は、その地域に関わる仕事をしたいと思い立って、様々な会社を探した。
その中で、地域に関わる事業を多く手がけている会社を見つけて、そこに入社したのだ。
 
入社して始めに配属されたのは、会計の部署。
会社内の支払や収入に関する業務を行なっていた。
希望していた渉外関係の部署ではなかったが、当時私はこう思った。
「せっかく入社できたんだ。縁の下の力持ちとして、頑張ろう」と。
そんな気持ちで業務をこなした。
しかし、しばらく経つとだんだん分からなくなってきたのだ。
別に部署の人間関係が悪かったわけでも、職場環境が悪かったわけでもない。
むしろ、上司も先輩も仕事を手取り足取り教えてくれるなど、とてもよくしてくれた。
しかし、ある思いを抱くようになっていったのだ。
「このままでいいのか」
「もっといろいろ事をしたい。自分を試したい」
 
そんな気持ちを抱えながら、3年ほど仕事に取り組んでいたある日。
ある情報が私のもとに飛び込んできた。
 
『一年間、東京に出向する社員を募集する』というものだった。
そもそも私が就職したのは、東京に本社がある会社の支社にあたる会社だった。
私も当然その事は知っていたが、今までは人事交流したという話はほとんど聞いたことがなかった。
それが今回、若干名ではあるが、全国の各支社から人材を募集すると言う。
 
「これはチャンスだ」
私は心の中で叫んだ。
「自分の力の試したい」と悶々していた日々からおさらばできる。
それに、一年後、支社に戻ったら本社で学んだことを活かすことができるのではないか。
 
そこからの動きは速かった。
上司への相談、人事部との面接。
熱意が通じたのか、晴れて出向者に選ばれた。
「よし、頑張るぞ」
とても誇らしい気持ちだったことを今でもよく覚えている。
 
そして、本社への出向生活が始まった。
私が担当したのは、本社が決めた方針を各支社に伝え、調整をする業務だった。
しかも、ただ機械的に伝えればいい訳ではなかった。
各支社の状況を踏まえつつ、本社の方針を上手く伝えることがこの業務の肝だった。
 
事前に話は聞いていたが、予想以上に大変な業務。
定時で上がれることはまずなかったし、むしろ終電で帰れればいい方だった。
身体がしんどくなかったと言ったら嘘になる。
でも、気持ちは少しも萎えていなかった。それどころか、やる気に満ちていた。
会社のために働いていると実感できたし、何より「好きな地域に貢献できている」。
その気持ちを持てていたからだ。
 
だから、まさかあんなことになるは思わなかったのだ。
出向して半年ほど経ったある日のこと。
 
その日は、朝9時半に出勤して、退勤時間は定時の18時15分は遙かに過ぎていた。
結局家に着いたのは、深夜1時半頃。
最近は深夜2時とか3時とかに帰るときも多かったから、むしろ今日は早く帰れたな。
たしか、当時そんなことを思ったっけ。
家の鍵を開け、玄関で靴を脱ごうとした時だった。
「ん、お腹が痛いな」
急に下腹部に違和感を覚えたのだ。
その頃、胃腸の不調な日々が続いていた。でも、大して気にも留めなかった。
トイレで用を足して、安静にすれば次の日には良くなっていたからだ。
「近頃、胃もたれ気味だったもんな」
「いつものように、すぐトイレに行って、休めば良くなるだろう」
しかし、その期待はすぐ裏切られる事になる。
 
いつもと違って、さらにお腹が痛くなってきたのだ。
「え、やばい。このままじゃ間に合わない!」
そう思ったが、後の祭りだった。
よりによって、玄関で催してしまったのだ。
 
「うわー。やっちゃったよ……」
血の気が引いていくのが分かった。
当時、27歳。子どもなら分かるが、大人になってやらかしてしまうとは。
絶望というか、情けないような気持ちで片付けをしたことが今でも忘れられない。
 
次の週。大学時代の友人と飲む約束をしていた。
彼とは私が現役の大学生の時から、いろいろな馬鹿をやってきた気の置けない友人だ。
グラスを傾けながら、彼に私の恥ずかしい経験を話した。
「何、馬鹿やってんだよ」
いつものようにそんな調子で返されるかと思いきや、意外な反応が返ってきた。
「それ、明らかに過労が原因でしょ。休んだ方がいいんじゃない」
その言葉を聞いて、はっとした。
今まで、仕事で忙しくても、やりがいある仕事なら良い。それしか考えていなかった。
身体の事など、みじんも大事にしていなかったのだ。
しかし、それは間違っていた。
どんなにやる気に満ちていても、身体が基礎。
身体を壊してしまっては元も子もないのだ。
 
それからは、私は身体に気を遣うようになった。
どんなに仕事で気分が乗っていても、なるべく早めに切り上げるようにした。
その甲斐もあってか、体調も良くなり、無事に残りの出向期間を終えることができた。
 
あれから、7年が経つ。
部署も数カ所異動し、結婚もした。
当時とは、環境が異なるが、あの経験が今でも生きている。
 
どんな時も無理はしすぎないこと。
あの時の玄関での出来事が私の今後の人生の糧になる。
そう思えてならないのだ。
 
 
 
 
***

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2021-07-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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