ダイエットの真の効果
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記事:ktana(ライティング・ゼミ平日コース)
「ジーンズが履けなくなった……」
うすうす気がついてはいた。最近ゆるめのジーンズを買ってそればかり履いていた。衣替えをしようとタンスの中を整理していたら5年くらい前に購入したジーンズが出てきたので試しに履いてみようとしたが履けなかった。
何故か?わずか2年で約20キロほど体重が増えてしまったからである。もともと体重が72キロだったのが気がついたら91キロ。見た目も体型もだいぶ変わってしまった。もともと定期的に運動をしていたが、ある時を境にやめてしまった。食生活は仕事の忙しさもあったので外食の頻度が格段にあがっていたので、体重だけが成長していってしまったのである。
「ウエストもだいぶ増えてきたのでメタボですね。生活を見直した方がよいかもしれないですね」
年に1回の健康診断のとき、医師からこう告げられたショックだった。そして体重が90キロを超えたのを見て驚愕した。90キロは不健康のラインを超えている。100キロになるわけにはいかない。体重を戻すためにダイエットをすることを決心した。
体重を戻すのにどうすれば良いのだろうか? 運動をするというのはもちろんあるが、根本的な原因は食生活、特に外食であることには間違いなかった。ほぼ毎日のように外食をして自分が食べたいものばかりを食べていた。
外食をしないようにするにはどうすれば良いか。会社へは電車通勤をしていたが乗り換えが2回ほどあり、その途中でついついよる遅くにご飯を食べてしまうということが多いことに気がついた。
「家と会社の間に店がなければ良いんじゃないの?」
と、同僚から絶妙なアドバイスをもらい会社の近くに引っ越したのである。徒歩20分でその途中にはコンビニが2つしかない。外食ができるところにいたっては1つしかない。当時仕事で21時くらいまで会社にいることが多かった身としては、無理やり選択肢を狭めた形になる。コンビニで買うものも制限した。例えば炭水化物を買わないようにして、サラダチキンとゆでたまご、サラダ(しかもドレッシングは買わない)のみを買うようにしたのである。
「今日飲みに行くか!」
そういう上司の誘いも今まで惰性で誘われたら行っていたが全て断るようにした。これも健康のためである。なんとなく断りにくいと思い込んでいたが慣れればなんということはなかった。
外食という選択肢をかなり絞るようにしたが、今度は自炊をどうするのか考えなくてはいけない。外食回数を減らすということは自炊する必要がある。ここはあまりインスタント食品やカップラーメンに頼るわけにはいかなかった。当時ほとんど自炊したことがなかったのが、いろいろと探してみたところつくりおきレシピというものに辿り着いたのである。
このつくりおきレシピは多数のお惣菜をつくりおきしておいて何日かにわけて食べるというものである。一度に大量に作るので何度も作らなくて良くて時短にもなる。当時の家にはコンロはひとつと安いレンジひとつしかなかった(炊飯器はなかった)ので計画的に調理をすすめるようにする必要があった。何をどういう順番で切って熱を入れるのか、計画を立てていかに短い時間で多くのおかずを作えるかを考えるようになり、それがだんだんと楽しくなってきたのである。家の近くには某格安スーパーもあったので、最初のうちは3日間に1回は鶏むね肉とブロッコリーともやしを購入していた。その副次的効果としてお金節約にもなっていた。その内つくりおきしたおかずをお弁当として持っていくようにもなると、
「弁当持ってきてるの?弁当男子じゃん」
と、同僚から弁当男子という称号を得ることになった。全く似合わない称号である。しばらくつくりおきを続けていると次第に他の食材に手を出すようになり、家の中の調味料も増え、ご飯も玄米を炊くようになってきた。新しく趣味ができたのである。
そんな生活を続けていると体重もだんだん戻ってきて、3年もすると体重が戻りついに素の70キロに戻ったのである。3年ぶりに昔買った服も着られるようになった。痩せるという目的を達成するために歩んできた道を振り返ってみたら、料理をすることが趣味になり、炊飯器や電気圧力鍋も買い冷蔵庫も大きくなった。外食もたまにするように戻ったが、たまに外食をするようになったことで、「外食を楽しむ」ことができているようにもなった。
ダイエットというとなんだか難しいものというイメージがあったが、なんということはない。ただ粛々と続ければ良かったのである。粛々を続けるということが難しいのかもしれないが、意志力を鍛えるチャンスだと思ってチャレンジしてみるのも良いかもしれない。意志力が鍛えられることこそが、ダイエットの真の効果なのかもしれない。
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