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英語学習はスポーツだ


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ほーりー(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
736.4時間。
 
これは小学校から大学までに
英語教育に当てられている時間数のことだそうだ。
文部科学省のデータである。
 
正直言って、これが多いのか少ないのか
わからない。
だがちょっと調べてみると、
面白いデータが見つかった。
 
カナダで行われたバイリンガル教育の実践研究においては、5000時間位かけると、聞く力・読む力が母語話者レベルかそれ以上に達し、
話す力・書く力は母国語レベルに近づくとの結果が得られているとのことだ。
 
冒頭の736.4時間はあくまで
授業時間数であるから、
自分たちで机に向かって勉強している
時間を含めれば、我々が英語学習に
当てている時間は相当なものになる。
 
だが私も英語教育を
受けてきた1人の人間として、
ネイティブレベルを
目指して英語を勉強してきたわけではない。
 
このまま一概に比較するのは難しいのかもしれない。
 
大学受験を終えるまで英語を学んできた
にもかかわらず、かつての私は、
日常英会話程度しかできないし、
ましてや外国人を目の前にしただけで
緊張してしまう。
 
ましてや道を聞かれた日には逃げ出したくなってしまう。
こんな人が多いのではないだろうか。
 
それでも英語を学びたい日本人
 
 
 
大人の習い事ランキングといった類の
調査結果を見ていると、
大人が学びたい上位3以内に
英会話が必ずと言っていいほど入っている。
 
最近はこのご時世もあり、
英会話教室に通うことなく
オンラインで外国に住んでいるネイティブ講師のレッスンを
受けている方も増えているようだ。
 
ちなみにオンライン英会話の市場規模は125億円で、大きく成長しているそうだ。
 
大人になってから英語に
チャレンジしたいと言うマインドは
素晴らしいし、実際にお金を使って
自己投資すると言う姿勢も
今の社会に求められているものだろう。
 
だがほとんどの方が、
本来の英語や英会話を学ぶ目的を途中で見失い、
挫折してしまうことが多いのが現実だ。
 
株式会社DMM.comが2017年に行った調査によると、
「英語学習に挫折した経験がありますか」と言う質問に対し、
約85%の方が「ある」と回答したそうだ。
 
挫折した理由はお金やモチベーションなど様々とされるが、なかなか
本来の学習目的が果たせないことが多いことがわかる。
 
そこで小学校5年生から30年近く英語を学び続けている
筆者がその挫折経験を文章にすることで、
これから英語学習を再開する機会があるかもしれない
大人の読者にお役立てしたい。
 
きっと最後まで読んでいただければ、
「英語に挫折しない」15%の層に
入るためのヒントが手に入ると思う。
 
「わかっている」「知っている」のに使えない
 
 
 
皆さんも日本語字幕をつけて
映画を見る機会があるだろう。
 
DVDでも日本語の字幕を削除して英語だけを聞き取って映画を鑑賞することもできるし、ネットにもそのような類の教材は溢れている。
 
たとえば中学校から大学受験までで、それなりに英語を勉強してきた人は、
映画の中の英語は、さほど難しいやりとりをしているわけではないと気づくだろう。
 
具体的に言えば、日本の中学校で習う英文法の
レベルでほぼこと足りているケースも多々ある。
 
ボキャブラリーのレベルも含め、我々が受験英語で学んだ英語が
飛び交っているにもかかわらず、英語だけを聞き取ろうとすると
全くわからない。
 
私も英語を勉強し、
自分自身に自信がつき始めてから
字幕なしで映画を見ようとして、
この現実に愕然とした。
 
さらに大学に行けば、帰国子女と呼ばれる人たちが
すらすら英語を話す場面に出くわし、海外での経験があるとは言え
ここまで差がつくと言う事実に
大きく学習継続のモチベーションを削がれたものだ。
 
帰国子女に対抗できることがあるとすれば、
ある程度の英文読解や英文法の問題なら
負けないぞと内心燃えていたこともあった。
 
しかし残念ながら、いわゆるビジネスや
キャリアで求められる英語力はそこではない。
 
きちんと仕事を円滑に進めるためのコミュニケーションとしての英語。
 
それこそが求められている英語力であると残念ながら
そこに気づかずにはいられなかった。
 
4択の英文法の問題や大きな文献の部分を切り取った英文読解ができたところで、
受験の偏差値は上がっても、グローバル社会で求められる英語力は身に付かない。
大学時代に身をもって知った。
 
受験英語で身に付けた英語力は、
当時の私には受験英語のための英語だった。
 
このような英語の関わり方をしてきた人は少なくとも
30代後半以上の方は多いのではないだろうか。
 
そんな受験英語から脱却する事を私は決意した。
 
机に黙々と向かう受験英語の勉強から脱却しなければならない。
私はそう思っていた。
 
最も欠けていたのは「話す」だった。
一方で「読む」「書く」「聞く」これらの力はそれなりに
ついていると実感していた。
 
英語をアウトプットする経験と言うのは、
英検の面接対策といった類のごく一部に限られていて、
ほとんど経験がないと言ってよかった。
 
そこで、強制的に話す機会をたくさん作れば
自分は爆発的に英語力が伸びるのではないか、そんな仮説を立てるに至った。
 
強制的に話す機会を作ること。
それは週2回60分のグループレッスンといった形式のものを送り返しても、
飛躍的な成長をとげられないと思った。
 
やはり1日中英語しか使えない、
日本語は使わないといった極端な環境に
強制的に身を置きたいと思った。
 
これはおそらく海外経験豊富なすらすら話す
帰国子女の皆さんに少しでも対抗したいという思いがあったのかもしれない。
 
そこで私は行動を起こす。
 
費用の面で苦労をしたものの、必死にアルバイトを通じて
何とか約4週間の短期留学を
夏休みを使っていくことにしたのだ。
 
場所はイギリスの首都ロンドンから車で1時間ほど
かけたヘイスティングスと言う街だった。
 
この街に
こだわりがあったわけではない。
 
あくまで英語しか使えない環境におきたいと言う気持ちを優先し、日本人留学生が
いないエリアをピックアップしたのだ。
 
そこで私はこの街で、
かけがえのない挫折経験をすることになる。
 
私の英語を強制的に使う作戦は、
序盤はうまくいっていたかこのように思えた。
 
ホストファミリーとの会話も
スムーズにできていたし、
自分が期待していた
英語のアウトプット量をここで
実現できると手ごたえを感じていた。
 
しかしながら、
現地の英会話学校に行く途中で
立ち寄ったカフェで、
私は挫折のきっかけとなる
先制パンチを食うことになる。
 
そこで自信満々でコーヒーを
オーダーしようとした。
 
「coffee,please」
 
私は異国にきた独特の感情の高ぶりも
あり、堂々とした発音を披露した。
 
ウェイトレスは
一瞬怪訝そうな表情を
浮かべたが、
すぐに合点がいったようで
去っていった。
 
1分ほど経っただろうか。
彼女は黒い缶を私のテーブルの前に置いた。
 
あれ、イギリスにも缶コーヒーがあるのか。
でもアイスで飲む習慣はないはずだ。
 
不思議な気持ちで缶を手に取った。
 
そこで卒倒しそうになる。
そこには、「Diet cola」と書かれていた。
 
あの屈辱のコーラの味を飲み込みながら、
学校に向かったのを昨日のことのように
思い出す。
 
学校に行っても、私はさらに自分の力不足を
痛感することになる。
 
レベル分けテストを終え、ジョインした
クラスは、アジア系よりもドイツ•フランス語圏からきた学生がメインだった。
 
私のような二十歳そこそこから30歳前後のメンバーまでバラエティに富んでいた。
 
正直彼らとボキャブラリーや文法や読解力といった力は負けていなかったように思う。
 
ただ決定的に彼らにあって、
私になかったもの。
 
それは積極性である。
 
ディベートのテーマが与えられると、
彼らは辿々しい英語でも、
結論からきちんと述べる。
 
そして自国の文化や
慣習を例示しながら伝えようとする。
 
話のコンテンツは、非常にロジカルであった。
 
英語の発音は、
イマイチでも彼らは失敗を
恐れずにどんどん発言していた。
 
積極的に意見を述べる。
アウトプットする。
間違いを恐れずに。
 
海外に来たからには、
それなりのレベルで
発音しなくてはならないといった私の
偏見と強迫観念を持った私は瞬く間に
クラスの落ちこぼれと化した。
 
このとき学んだこと。
語学はルールを知っているだけでは
何も役に立たないということ。
 
英字新聞を読むといった自身のインプットに役立つようなものは
話は別だが、相互にコミュニケーションを図る英会話ではルールだけでなく、
「積極的な実践」が重要であると。
 
野球の初心者がどんなにルールブックをはじめから終わりまで完璧に理解したと
しても、絶対に上達しないように。
 
そしてもう一つ注意書きを加えたい。
間違いを恐れないこと。
 
トライ&エラーで前に進もうとする。
 
「一定のレベルになるまで待ってから実践
してみよう」
 
よく言えば、慎重ということなのだろう。
 
だがそれではビジネスにおいて世界で戦うスピードとは言い難い。
 
今までの英語学習のやり方を根本から見直す。
さもないとこれ以上の上達はないと、短期留学から教わったのである。
 
語学はスポーツであると断言したい理由
 
 
 
極端に言うと、英語はスポーツと同じように、
身体感覚を養うことが大事なのだと気づく。
 
野球で言えば、飛んできたボールを瞬時に
反応して捕球のフォームに入る。
 
短期留学後、私の英語の勉強方法を
大きく変えた。
徹底的にアウトプットの割合を
とにかく高める勉強方法にシフトした。
 
まずCDでダイアローグを
繰り返し聴き込む。
そこで、終わらせない。
 
基本的な文法書の文章含め、
音読して頭に刷り込ませるまで繰り返した。
 
基本的な文章の型を徹底的に自分に
染み込ませる。
それは瞬時に反応できるレベルまでに。
 
これを繰り返しやるうちに、私は語学の
上達はスポーツと同じだと確信するに至る。
 
ルールだけわかっても、
アマチュアの評論家にしかなれない。
 
基本という型が大事。
しかも正しいフォームで。
 
どんなスポーツも基本的な反復練習が
上達には避けられない。
 
野球で言えば、バットの素振り。
サッカーで言えば、リフティングといった
ところか。
 
この基本練習を正しいやり方で
愚直に続けられるかが、上達できるかを
左右すると思う。
 
基本の反復練習はしんどいし、飽きも
来やすい。これが好きで好きでたまらない
という人は少ないように思われる。
 
私もひたすら中学レベルの文章を
暗記するくらい、本のページが
擦り切れるくらいの音読は
しんどいこと、この上なかった。
 
とにかく動くこと。
失敗を恐れないこと。
 
異国の地で果敢に母国語でない言語で、
自分の意見を語る語学学校の仲間が
教えてくれた。
 
そこからテストや外国人のマンツーマン
レッスン含め、少しずつ成功体験を
積み重ねることができた。
 
愚直にやり続ければ、
少しおおげさだが
大きかれ、小さかれブレイクスルー
というものは必ずやってくる。
 
大人になってから学び直したいものと
して、必ずと言っていいほど出てくる
英会話。
 
ちょっと大きい本屋に行けば、
英会話本のコーナーは大きなスペースを
占めているし、オンラインの英会話
学習も盛んだ。
学び始める心理的ハードルはぐっと
低くなった。
 
ぜひ趣味として英語を学ぶのも悪くない
と思う。どんどんチャレンジして
頂きたいと思う。
 
ただ私の経験から、挫折しない心がけを
最後に伝えたい。
 
それは英語を学科ではなく、
実技科目として捉えるのだ。
 
学問として知識をインプットすることは重要だ。基本的な英文法は最低限抑えておかないと、上達は遅れるだろう。
 
しかし、実践することを忘れてはいけない。
 
体育の授業でプールで泳いだり、
跳び箱を飛んでみたり実践する。
そこで実際にわかること、学ぶことが多いのだ。
 
失敗したっていいじゃないか。
発音が不恰好でも、ミスを恐れず
恥を恐れずチャレンジする姿勢。
 
そんないい大人がたくさん
増えてほしいと思う。
 
きっと見てくれる仲間にも
恵まれるだろうし、必ず光はある。
 
楽しくなる。
スポーツのように、正しい
基本の反復練習を怠らなければ、
必ず上達の楽しみを見出せると
信じている。
 
できない•続けられない理由を探す前に
将来の小さなブレイクスルーのために
愚直に実践していこう。
 
 
 
 
***
 
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2021-09-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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