人間関係を保つ深呼吸の秘密。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:蛯原篤史(ライティング・ゼミ日曜コース)
「いやあ、あやうく部下を、感情まかせに怒鳴り散らすところだった。深呼吸に救われたよ。」
タイで会社を経営している友人から、メッセージが届いた。感情的になって、タイ人から信頼を失った過去の失敗談を、彼に、話をしたことがあった。絶対に、感情的になって、怒鳴ったりすることはあってはならないよ。 そう伝えていた。
感情的になって、つい余計な一言を相手にあびせてしまい、気まずい雰囲気になったことはないだろうか? もしくは、メールの内容にイラっとして、強い口調で返信して、後悔したことはないだろうか?
私は、そんな痛い経験を異国の地、タイで経験した。9年前、タイで駐在員として働き始めた頃、私は、常にイライラしていた。予定通りに物事が進まない、思い通りに事が運ばない。さらには、現地のそんな事情を知らない本社の理不尽な要求が、私の感情をさらに、逆撫でした。
そんなある日、関連会社のタイ人スタッフたちと打ち合わせをしていた時、私はやらかした。
約束したこともやらず、言い訳ばかりするだけの会議にうんざりし、私の堪忍袋の緒は切れた。感情にまかせて、タイ人スタッフたちを怒鳴ったのだ。会議室は、シーンと静まり返り、気まずい雰囲気の中、会議は終わった。後味の悪さを抱えたまま、その場を去った。
数日後、彼らにメールをして、仕事を依頼した。しかし、数日たっても返事はない。電話をしても、返答もない。あまりに反応がないので、事務所を訪問し、直接話をしようとした。しかし、私を見るや否や、タイ人スタッフはみんな私とは目をそらし、そそくさとどこかに消えていった。
タイ人は、日本人以上に、感情的になることを非常に嫌う人たちである。特に、人前で怒鳴るなんてあってはならないと、後日、先輩から教えてもらった。
結局、彼らとの信頼関係を回復させるのに、1年以上はかかってしまった。実のところ、タイ人スタッフは、さぼっていたのではなく、複雑な事情があって、業務の進捗が遅れていたのだ。あの時、感情的にならず、話をきちんと聴いていればよかったと後悔した。
この痛い体験を二度と繰り返すまいと、私は、怒りという感情のコントロールに真剣に取り組むようになった。
私が、試した方法は、とてもシンプルな方法、深呼吸だった。タイのお坊さんが書いた本をどこかで読んで、それを覚えていたのだ。感情のコントロールには、深呼吸がいいということを。
とにかくイラっとしたら、深呼吸をするという一連の動きができるようになるまで何度も練習を繰り返した。幸いにもイラっとする出来事は絶えず起きるのである。
やってみると、これがなかなかむずかしい。イラっとする発言をされたら、深呼吸よりも、口が先に反応してしまいそうになる。それを我慢して、とにかく深呼吸するのみ。我慢できない時は、トイレにこもって、イライラが収まるまで、呼吸をひたすらつづけたこともあった。
しかし、深呼吸を3~5回繰り返すと、不思議とイライラがおさまってくるのである。そして、すぐに反応しないことがいかに、得策であることかにも気づきはじめた。
感情がおさまってから、冷静になってくると、相手の事情も考えることができるようになってくる。そうすると、感情にまかせて、反応しなくて済んだ。
なぜ、深呼吸が怒りを抑える効果があるのだろうか。その秘密は、脳の仕組みと関係している。怒りをはじめ、不安や恐怖といった感情が起きている時、2つの脳が働く。ひとつは、大脳辺縁系。もうひとつは、前頭葉だ。
大辺縁系は、怒りなどの感情や情動を生じさせ、前頭葉は、大脳辺縁系で生じた感情をコントロールする。感情的な状態から冷静さを取り戻すことができるのは、前頭葉が働くからだ。
ただ、問題なのは、前頭葉の発動には時間がかかることだ。大脳辺縁系で怒りが生じてから、前頭葉がはたらくまで、5秒かかる。5秒待てば、冷静さを取り戻せる可能性があるのだ。
タイのお坊さんがおすすめする深呼吸で怒りをやりすごす方法は、脳科学的にみても理にかなっていたのだ。深呼吸をしながら待てば、おのずと冷静になれる。冷静になれば、反応も変わるというわけだ。
結局、通算8年間タイで仕事をさせてもらった。その間、ずっと「イラっとしたら深呼吸」を失敗しながらも、実践しつづけた。おかげで、感情まかせに発言することも少なくなり、タイ人と、互いに尊重しあいながら、仕事に取り組むことができた。
いつでも、どこでも、誰といても、とにかく、イラっとしたら、即座に深呼吸。反応するのは、気分が落ち着いてからにする。たったそれだけで、不要なトラブルの大半は避けられる。
深呼吸。それは、人間関係のトラブルをさけるための、とっておきの秘策なのだ。
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