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メディアグランプリ

イケメンスペイン人とのラブロマンスは東へ沈む


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あやこ(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「バカボンは最高のマンガだ!」
 
そう熱く語ったのはマドリード出身のスペイン人、ルベンだった。
24歳、イケメン。いつもデヴィ夫人の家のリビングにありそうなカーテン柄のブルゾンを着ていた。独特のファッションセンスを持つ彼は、いつも無口なイタリア人と2人でいるか、1人でいることが多かった。いわゆる「陰キャ」
 
彼とは国際ボランティア団体のキャンプで一緒になった。
夕食後のフリータイムにパリピグループが湖のほとりで酒を飲みながら大音量で音楽を流しパーティーをしている間、私たち「陰キャ」グループは共有スペースでトランプをしたり会話をして過ごすことが多かった。
 
その日も肉、魚なしのベジタリアンフードの夕食を食べ終え、台湾人の友達と私はまったりしていた。
 
いい加減肉が食べたい
何が食べたい?
小籠包? ケンタッキー? 焼肉?
と愚痴りながらダラダラとスマホでマンガを読んでいた。
彼女は日本の少女漫画が好きで中国語でセリフの書かれた違法サイトを見ていた。私は少年ジャンプをアプリで読んでいた。海外でもスマホさえあればジャンプが読めるなんてありがたい時代だ。
 
「日本人だよね?」
 
その時、初めてルベンが話しかけてきたのだった。
 
「うん、そうだよ」
「マンガ読んでるの? うわ! ワンピースじゃん!」
 
ちょうどワンピースのページを読んでいて画面を見た彼は興奮したように好きなマンガの名前を挙げた。ワンピースが大好きだ!NARUTOもクールだよね! BLEACHも好きだ、と好きなマンガのタイトルを挙げていく。いつもの静かな印象から想像できないくらいよくしゃべる。
 
「ねぇ! バカボン知ってる?」
 
ん……?
 
思いがけない単語に一瞬フリーズする。
バカボンって、あのバカボン?
腹巻にハチマキ、ヒゲのあのキャラクターが浮かんだ
 
「え? バカボンだよね?」
「そう! バカボン!」
 
聞き間違いではないらしい
 
「知ってるけど……」
「バカボンは最高のマンガだ! 一番クールだよ!」
 
バカボンが!?
まさかの名前に私はかなり驚いたが、彼は独特のセンスを持っている。きっと常人ではわからない何かを感じたのだろう
 
「日本でもバカボンは人気なの?」
 
知っている人も多い名作といえば名作だが、それが一番クールというのがよくわからない。スペインでは人気なんだろうか?
 
「知ってる人は多いけど、スペインでは人気なの?」
「うん! 結構人気だよ」
 
より謎が深まる。
いや……。
何かがおかしい。
 
スマホを出してGoogleの画像検索で「バカボン」と入力する。私が知っている茶色の腹巻に白いハチマキ、特徴的なヒゲのキャラクター
 
「これだよね?」とルベンに見せた。
彼はブハッと息を吐き出し「NO!!」と言った。
「何これ?」
「バカボンだよ」
「これはバカボンじゃない!」
 
あ!
そうだった!
 
彼は「バカボンのパパ」だ!
バカボンは青い着物にうずまき柄、うずまきのほっぺの彼の息子だ。
 
「ごめん! 間違えた。これだ!」
と再度画像を検索して彼に見せる
 
その瞬間、彼が膝から崩れ落ち、つむじが見えた。
片膝をつき、左肘を机に乗せて支えながら手のひらで顔を覆い右手で私のスマホを持って画面を凝視する。
 
「これが日本のバカボンなの?」
「そうだよ。バカボンはこれしかない」
 
呆然と画面を見つめる彼が自分のスマホを出して操作する。ずいっと画面をこちらに見せると着物を着たサムライの画像が出てきた。
 
「あぁーーー!!!」
 
と思わず大きな声が出た。
 
正解は「バガボンド」だった。
スラムダンクの作者が描いた宮本武蔵を題材にしたサムライ漫画だ。
彼が発音すると「バカボン」に聞こえるのだ。
そして運悪くバカボンというキャラクターが存在した。
 
「「 あははははは!!!!!! 」」
 
二人で涙が出るほど笑ってから「バガボンド」の正しい発音を練習した。
まるでお笑い芸人のすれ違いコントのような出来事は、陰キャな2人が仲良くなるきっかけになったのだった。
 
ルベンが去った後、ずっと側で様子を見ていた台湾人の彼女から意味深な目で見られ「いいカンジじゃん?」と茶化され、イケメンスペイン人との恋愛が始まったりして? という期待が正直ちょっとだけあった。
キャンプの後も、彼とはよく連絡をとっていたし、異国の地で外国人の彼氏ができるなんてちょっと憧れたりする。
 
そんなある日「今度そっちに遊びに行くから美術館に行こうよ」と連絡がきた。
「OK! いつ?」とメッセージを返しても連絡がこない。数日後どうするのか再度メッセージをすると「もう行ったよ」と返事がきた。
 
ん? よくわからない。きっとまたすれ違いが起きたんだと思って考えるのをやめた。
 
そしてまた忘れた頃に「友達とパーティーするからおいでよ!」と言われ「OK! 何時くらいから? どこに行けばいい?」と返すと「大体20時くらいに集まる予定。場所は当日連絡する」と言われ当日に連絡がこない。
待機していた時間、準備していた時間がむなしい。
今回はすれ違いではない。ちょっと誰かに聞いてほしいと思って彼の親友に相談してみた。するとルベンはいつもそうだという。
 
その時に気づいた。私は勝手に期待しただけなのだ。
ルベンの感覚を理解しようとしてもダメだ。受け入れるか諦めるしかない。
 
これでいいのだ。
これがルベンなのだ。
 
私にとって彼は西から昇ったおひさま
違う次元の人だっただけなのだ。
 
バカボンのパパも言っていた
 
これで、いいのだ。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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