メディアグランプリ

パソコン詐欺にあった話


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記事:ねむりじぞう(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
『パソコンのリプレースに関するお知らせです。以下のリンクをご確認ください』
 
先日、職場の女子社員からこんなメールが届いた。
 
私の職場では画像解析などを行っているので、サイズが大きなファイルをメールでやり取りすることが多い。にもかかわらず、使用しているパソコンは年式が古いため、よくフリーズするのだ! 日に2,3回パソコンを再起動するのは日常茶飯事だ。同僚もみんな同じ悩みを抱えている。
 
(やったー!! ようやくこの超重たいパソコンとサヨナラできる!)
私はウキウキしながら先のメールに記されたリンクをクリックした。
 
YAHOO! JAPAN
 
新たに開いたのは、皆さんおなじみ、見覚えのあるYahooのトップページだった。
 
おかしいじゃないか! リプレースのスケジュールを教えてくれるんじゃないの? いつ新しいパソコンになるんだよ! 来月じゃないのか!!
 
きっと何かの間違いだろう。冷静に再びメールの画面に戻ってもう一度リンクをクリックした。
 
YAHOO! JAPAN
……。
 
結果は同じだった。何がヤッホー! だ。
 
「なんだよこれーーー!」、「やられたーーー!!」
時を同じくして、後ろの席で同僚たちの悲鳴が聞こえてきた。
 
そう、私は騙されたのだ。悪質な詐欺メールだ! 20代女性社員からのメールにウキウキし、パソコンリプレースの知らせに心おどらせてしまい、まんまと詐欺に引っかかったのだ!
ハニートラップみたいのものだった。
いやいや、そりゃあコンピューター関連業務を担当する人からパソコンリプレースの案内が来たら迷わずリンクをクリックするやろぅがぃ~~~!!!
 
犠牲者が多数いたことがせめてもの救いではあった。
私は、声もあげずに何食わぬ顔をして業務を続けることにした……。
 
 
皆さんはもうお気づきだと思う。これは特定のターゲットに絞ってメールなどでサイバー攻撃を仕掛ける「標的型攻撃メール」に対する回避訓練のメールだったのだ。
 
実はこの標的型攻撃メールというのは、私にとっては切実な問題でもあった。
私の母は、80歳を超えて一人暮らしをしている。これまで携帯電話を持ったことすらないのだが、最近スマホに興味を持ち始めたのだ。80歳を過ぎてから新しいものにチャレンジしようという心意気は、息子としては大変喜ばしい。全力で後押ししたいという気持ちもある。
ところが、このような悪質なメールがあるので私は心配でならないのだ。攻撃型メールのような新種の詐欺にうまく対応できるとは想像しがたい。
万が一、母が持っている某銀行系のクレジットカードに関するメールが来た場合、母は簡単に引っかかってしまうのではないだろうか?
 
ただ、望みがないわけではない。
母は子供の頃に太平洋戦争の空襲の中を生き延びた勇者だ。そのためか、今でもたまに逞しい一面を見せる時がある。
東日本大震災の時、母は新横浜に出かけていた。電車は完全に止まり帰宅できなくなったのだが、母は上手に人を頼ってバスを3本乗り継ぎ、さらに1時間近く歩いて家に帰ってきた。
また、3年前に父が亡くなった時には、母は九州に住む兄の近くに移住したのだが、移住したあと、一人で勝手に飛行機のチケットを予約して40年住んでいた前の家の片付けに行ってしまった。何も知らなかった兄は大騒ぎだった。
 
だから、標的型攻撃メールに対しても、見抜くことは困難であっても、奇跡的に最悪の事態を回避してしまうのかもしれない。
だが、そんな大博打を打つことは私にはできそうもない……。
 
 
話を戻そう。
先の訓練メールには実は続きがあった。15行程度の空白の下には以下のコメントが記載されていた。
 
『これは標的型攻撃メールへの注意喚起のために送信しました。
リンクにマウスオーバーすると、仮面の左下にアクセス先のURLが表示されます。
リンクをクリックする際は、その前にできるだけ左下に表示されるURLを確認するようお願いします』
 
なるほど、なるほど。そういうことか。そんなポップアップが出ていることなんて知らなかった。
試してみると、Crome、Edge、Firefox、Internet Explorerと、いずれのブラウザでも同様のポップアップが出ることが確認できた。
たしかにこういう訓練によって攻撃型標的メールへの対処法を周知することは必要だろう。
 
・見知らぬメールアドレスからのメール
・.exeの拡張子がついた添付ファイル
・メール本文に日本で使われない漢字(っぽい文字)が使われているメール
などには注意が必要と言うことは以前から知っていたつもりなのだが、今回新たなチェック方法を知ることができたのはメリットだったかもしれない。
 
しかし、それにしたって、ここまで私をがっかりさせなくてもいいじゃないか。みんなの仕事のモチベーションガタ落ちじゃんか~、……と思ってしまう。
 
あーそうか!
まさにこれが詐欺被害にあった人の気持ちなのかもしれない。
いや、もちろん、数百万円をだまし取られた人の悔しさはこんなものではないだろう。けれども、プチ・詐欺被害にあった悔しさ、悲しさ、情けなさ、恥ずかしさ、などなど複雑な気持ちを知ることはできた。
そういう意味でも良い経験だったのかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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