メディアグランプリ

仕事のパフォーマンスをあげる植栽、五感が作用する働く環境


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:永島 美与子(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
仕事で、先進的なオフィスを見せてくれるというので、知人と丸の内にあるビルの一室に向かった。比較的大きく、また多くの企業が入居するオフィスビルのエレベータを上がると、何十もの部屋がぎっしりと並ぶホテルのようなフロア案内があった。
 
 
「今日はイベントのはずだけれど、ここなのかな?」
 
 
案内状にある部屋番号の前に立ち、私たちは顔を見合わせた。隣の事務所のドアと近接しているので、おそらく広いスペースではないだろう。ショールームにしては小さいように思ったが、入口のドアをノックして開けてみた。
 
するとたちまち、先ほどのビルの廊下とは異なるすっきりとした空気が漂っているのを感じた。想像していた空間とは全く違う、植栽が配置された応接スペース、その奥にすっきりとした会議テーブル、チェア、スクリーン等が整備されたガラス張りの会議室がある。想像していたよりも、広く感じる気持ちの良い空間だった。
 
 
「ここでオフィス空間のプレゼンテーションをすると、負けなしです。今日は、通常よりグリーンを多く配置し、バイオフィリックデザインを取り入れたオフィスにしています」
 
 
ショールームの責任者の方が、にこやかに説明してくださった。
 
 
バイオフィリックデザインは、自然の植栽や日光といった自然の要素を取り入れたデザインの考え方の一つだ。植物を取り入れると、葉が持つ蒸散作用により適度な湿度が保たれ、目に優しい緑等がオフィスワーカーのパフォーマンスを上げる、という説がかなり前から欧米では提唱されてきた。ある数値的な実証実験では、「幸福度が15%」、「生産性が16%」、「創造性が15%」アップするという結果がある。人は人財であり、コストを占める人件費もまた人であることから、できるだけ快適に働けるよう、植物は日本でも多くの企業や公共のビルで、オフィス空間に使われている。殺伐とした中で働くよりも、自然との触れ合いながら仕事を行なった方が、リラックスして能力を発揮できるという説は、すでに私たちの生活にかなり浸透している。
 
 
「あと2つソリューションをご案内します」
 
 
その日のプレゼンテーションは和やかに行われ、私たちの自己紹介などもさせていただき、オフィス空間、植栽等の話でスムーズに進んでいた。思ったよりも時間が経つのが早く感じると思った時であった。そして、ほぼ同時に、部屋が無音になった。
 
 
「あれあれ?あれ?」
 
 
知人とびっくりして顔を見合わせた。その瞬間、私はあらためてそう広くない会議室で、複数の人たちと共に居ることにはっとした。今までほどよい雑音の中にいたことを、あらためて気付かされた。いや、正直にいえば、自然の中にいるような音が聞こえていたような気はする。しかし、それが、完全に聞こえなくなったとき、言いようのない緊張感と違和感を全身で感じ、音が作り出していた空間の広がりが急に狭くなった感覚にとらわれたのだ。
 
音の正体は、季節ごとに自然の中で録音した山の音なのだとか。葉がなびくような音、鳥のかすかな鳴き声、川の音など、日中の時間の流れにも合わせて、より心地よく感じる音が流れるようにコントロールしているそうだ。しかも、鳥の音は「上から」、川の音は「下から」と、聞こえてくる方向までも制御し、人の脳が違和感を感じないようにしているらしい。
 
 
「この音が無かったら、私は初対面の皆さんとこんなにリラックスしてお話ができなかったかもしれません」
 
 
正直な感想であった。展示会と言われて気楽に訪れた場所で、いきなり仰々しい会議室に通され、初対面の人からそこそこの時間、プレゼンテーションを聞くように促されたのだ。もう少し、ストレスがかかっていてもおかしくない。
 
 
「お気づきかとは思いますが、もう一つ、この会議室はアロマも使っています。ほどよくリラックスしながらもすっきりとできる香りになります」
 
 
フランスの有名な調香師と開発しているそうだ。香りによって、交感神経と副交感神経のバランスを、ゆったりの方向へも、目を覚ます方向にもコントロールできるらしい。確かに、柑橘系、ウッディ、そして頭をすっきりとさせるようなミントのようなアクセントのある香りが効いている。
 
いやはや、音と香りによって、私と知人は会議室の中で、穏やかにかつ活き活きと談笑させていただいたということになる。今回はそのトリックを実にうまく体感させて頂いた。もちろん日常生活でも十分に活かすこともできる。しかし、企業にとって、お客様との対面にも、仕事の場でも、毎日のことであるから環境を変えることで得られる成果はなおさら大きいだろう。
 
訪れた空間の中で、「いつの間にか」、意図的に、自分の人としての能力を引き出されているのは実に不思議な気持ちであり、少々踊らされているような気もしないではないが、「のった方がいいな」、と感じた日であった。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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