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健康を手にするための戦いに敗れて


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記事:mihana(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あれ……?」
走っていたら、急に、左足の感覚が無くなった。
 
 
2021年、私が今年の年始に立てた抱負は、「健康になる」であった。前年から流行した新型コロナウイルスにより、すっかり運動不足になっていたからである。
 
ほぼ毎日、在宅勤務になり、通勤が無くなるのは嬉しいことだった。ただ同時に、外に出るきっかけを失い、「今日は日光を浴びていないな……」という日が、確実に増えた。休日も、自粛で遠出できないとなると、いよいよ運動不足に拍車がかかる。
 
肩こりや腰痛も、ひどくなっていた。たまに気が向いた時に、ヨガ教室に行ったり、近所の銭湯で体を休めたりしていたけれど、それだけでは疲れは取れなかった。
 
そんなとき、友人から「1日の歩数、8000歩を目指すと、体に良いらしいよ」と聞いたので、その数値を目標に、行動してみることにした。
 
とはいえ、8000歩がどの程度のものなのか、全く分からなかった。自分自身という敵を知らなければ、戦えない。健康も手に入らない。まずは歩数計を購入し、1日中身につけて、自分の歩数を測定することにした。
 
部屋の中での歩数と、家から歩いて10分かかるスーパーへの往復の歩数を足しても、4000歩。簡単に達成できそうな気がしていたのだが、在宅勤務をしている私にとって、1日8000歩は、かなり高いハードルだった。
 
「もっと歩数を稼がなくちゃ……」
そんな時、ふと頭に浮かんだのがランニングだった。
 
「歩くよりも走る方が、時間が短く済むかも。朝起きてからの時間をランニングに充てれば、有効活用することもできるし……」
 
私は、毎朝仕事が始まる前に、家の周りを、10分間走ることにした。眠い体にムチを打ちながら、服を何重にも着込んで、2月の寒空へと飛び出していった。
 
最初は、かなりきつかった。1分間走っただけでも息が上がり、ちょっと歩いて、また少し走っては、歩いて……という繰り返しだった。
 
諦めそうになることもあったが、これは自分との戦いだ。
そう思って続けると、次第に10分間止まらず、走れるようになってきた。
 
歩数も、1日8000歩を越えるようになった。
体調がすこぶる良いと言うわけではないが、日々目標は達成している。
戦況は良い方向に向かっていると、私は確信していた。
 
しかし、走り始めて3ヶ月経ったある日、事件が起こった。
ランニング中に、左足の感覚が無くなったのである。
 
病院で診てもらうと、捻挫だった。
2ヶ月は走らない方が良いと、医者に忠告された。
 
健康になろうと、歩数を測って、必死でランニングをして、自分と戦ったのに、
戦いに敗れて、なんだか不健康になってしまったようで、悲しかった。
 
その後、足は順調に回復したのだが、「また怪我したら嫌だな」と、なかなかランニングをする気になれなかった。歩数を計測するのも、「毎日は達成できないだろうし……」と及び腰になった。
 
その代わり、たまに利用していたヨガ教室に行く頻度を、上げてみることにした。
近所だけでなく、少し遠くの銭湯にも、散歩がてら、足を伸ばしてみることにした。
 
すると、不思議なことに、体のコリや疲れが取れた。
肩の力を抜いた瞬間、体調が良くなったのだ。
 
思えば、私は頑張りすぎていた。
「1日8000歩、歩かなきゃ」
「毎日10分、ランニングしなきゃ」
自分を縛り付けて、苦しめていた。
 
「毎日歩数を計測するのは、それ自体がストレスになりそう」
「寒いのも、朝も苦手だし、そもそも走るのは向いてないかも」
そんな心の声を、私は全て、無視していた。
 
体の健康のために、戦っていたつもりだったけれど、正直、無理をしていた。
それによってすり減っていたのは、私の心の健康だ。
 
自分は敵ではない。
そう思って、自分と仲良くなることにした。
 
すると、
「ヨガ教室に、毎週に行くのはどう?」
「遠くの銭湯に行けば、体も休められるし、散歩も出来る。一石二鳥じゃない?」
こんな風に、心の声が聞こえてきた。
 
その声に従うと、そこには楽しい世界が待っていた。
ヨガ教室に定期的に通ったことで、友人にも恵まれた。
遠くの銭湯に行くのは、小旅行みたいで、毎回ワクワクした。
楽しいからこそ、続けることが出来て、同時に健康にもなれた。
 
何事も無理をせず、肩の力を抜くこと。
そして、自分が楽しめるかどうかを、大切にすること。
そんなことを学んだ、2021年であった。
 
2022年も、自分と戦わず、仲良くありたいと思う。
抱負は、「肩の力を抜いて、楽しむ」に決めた。
 
今年も、もう師走。来年も、良い年になるといいな。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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