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眼鏡はダサい?


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記者:ぬもさん(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「こちらのフレームはいかがでしょうか?」
店員さんに勧められた眼鏡を掛けてみた。
鏡に映った自分は、初めてメイクをしてもらった時と同じ感動があった。
新しい自分を発見できた時の感覚だ。
眼鏡はずっとダサいものだと思っていた。でもそれは間違いだったのかもしれない。
 
 
視力が悪くなり出したのは、小学4年生頃だった。
初めて視力検査に引っかかった時、自分の目が悪くなっているなんて信じられなかった。
一番後ろの席からでも黒板の字がはっきりと見えていたからだ。何かの間違だと思っていた。
しかし、母は深刻に捉えていた。
母自身も視力が悪く、眼鏡を掛けていた。
視力検査に引っかかってからは、毎週のように眼科に連れて行かれた。病院では、色々な検査をし、目薬をもらって帰るのが習慣となっていた。
しかし、視力は段々と悪くなっていった。小学校6年生になった頃には黒板の字が見えにくくなっていた。
 
初めて眼鏡を作ったのは家の近くにある小さな個人店だった。おじいちゃんが一人で営んでいた。
眼鏡は母が選んでくれた。目立ちにくいようにと、フレームのないタイプだった。
眼鏡は授業中だけしか掛けなかった。眼鏡を掛けていた方がはっきりと見えるし、楽だったが、当時友達の中で眼鏡を掛けている子はほとんどいなかった。
恥ずかしいものではないのに、周りの目が気になってしまい、必要な時以外は掛けないようにしていた。
 
 
私が生まれた頃から母は眼鏡を掛けていた。それが当たり前の母親像だった。
だから、幼稚園や学校の授業参観などで他のお母さんを見た時、眼鏡を掛けていないことに衝撃を受けた。
眼鏡がないと顔立ちが明るく見え、若々しい感じがあった。
どうして私の母は眼鏡を掛けているのだろう? コンタクトにした方が絶対美人に見えるのに。
母には直接聞くことはなかったが、この頃から「眼鏡=ダサい」という固定概念を持っていた。
 
 
母が眼鏡をずっと掛けている理由に気がついたのは、社会人になってからだ。
私は、高校生になってからずっとコンタクトを使用していた。
しかし、社会人8年目を迎えた頃、段々と目に違和感を感じるようになった。
コンタクトをつけていると、目がゴロゴロとする。目薬をさしても変わらない。目が真っ赤に充血してしまう日もあった。
この時になって初めて、母もコンタクトをつけづらい目になっていたということに気がついた。
見た目の美しさよりも、眼鏡を掛けることで目に負担のかからない方法を母は選択していたのかもしれない。
 
 
「ドライアイですね」
「目が乾燥しやすいのと、コンタクトのつけ過ぎで表面に傷がついています。しばらく眼鏡にしてください」
眼鏡にした方がいいのは薄々気がついていた。でも、周りから「ダサい」と思われるのが嫌だった。
「どうにかコンタクトをつけたまま直せないですか?」
「うーん。見た目も大事だけど、このままだと失明する可能性もあるよ? 最近はおしゃれな眼鏡も多いし、ファッション感覚で新しいのを買ってみなさい」
お医者さんの口から「おしゃれ」とか「ファッション」というワードが出るとは思っていなかった。
確かに、最近は眼鏡を掛けている芸能人やモデルも多い。
眼鏡=ダサいという時代はもう古いのかもしれない。
 
眼鏡を買うなら失敗をしたくない。あれこれとネットでリサーチをしながら気になるお店へと向かった。
お店に入ると、色々なフレームが並んでいる。この膨大な量から似合う眼鏡は見つかるのだろうか? そう思っていた時、店員さんが声を掛けてくれた。
「どのような眼鏡をお探しですか?」
「具体的なイメージはないのですが、私に似合う眼鏡はどのようなタイプでしょうか?」
店員さんに丸投げしてしまった。自分で選ぶよりもプロに選んでもらった方が間違いないと思ったからだ。
「そうですね。お客様の顔は幅が狭いので、レンズが小さいタイプがお似合いですよ」
パッと私の顔を見ただけで答えてくれた。しかも、4〜5つほどおすすめのフレームまで持ってきてくれた。
「これらのフレームがきっとお似合いだと思います。ぜひ掛けてみてください。色違いもありますので、なんでもお申し付けください」
フレームを掛けてみると、今までのダサいイメージではなく、今っぽさがあった。
本当に私なの? と思うほど眼鏡がしっくりと顔に合っていた。本当に似合う眼鏡というのはこういうものなのかもしれない。
『眼鏡=ダサい』という私の固定概念がやっと破壊できた瞬間だった。
 
 
今は、コンタクトよりも眼鏡の方が好きになった。
服や気分に合わせて眼鏡を変えて楽しんでいる。
眼鏡はダサいものではない。
もし、私と同じように眼鏡にコンプレックスを抱えているのならば、まだ自分にぴったりの眼鏡に出会えていないだけかもしれない。
眼鏡は、自分に似合うもの、好きなものを身につけていればそれだけで自信が持てるアイテムだと思えるようになった。
周りの言葉や見た目を気にする必要なんかない。堂々と生きていこう!
 
 
 
 
***
 
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