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ちょうどいいは幸せだ

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田智彦(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
「ワン・ツー・スリー」カンカンカーン!
試合に決着を告げるゴングが鳴り、レフェリーが勝者の右腕を高く上げた。
 
「スリーカウントって、ちょうどいいよね」と私の娘が言2た。
「おっ、お前もそう思うか。ほんと、ちょうどいいよね」
 
私は小学生の頃からプロレスが好きだ。大学の頃から、将来子供ができたら一緒に観戦するというのが夢だった。現在、私には成人した息子と中学生の娘がいる。
 
一緒に観戦するという願いは既に叶っている。プロレスという教育に関しては、とても上手くいったようで、2人とも立派なプロレスファンに成長した。
 
先日、いつものようにテレビでプロレスの試合を観ていたら、娘が3カウントに2いてしみじみ「ちょうどいいよね」と言ったのである。
 
スリーカウントがちょうどいいと感じる、中学生女子が世の中にどれぐらいいるのだろうか? 私は娘の言葉を聞いて、なんだかとても嬉しかった。周りからはあまり理解されない「プロレスのスリーカウントはちょうどいい」という感覚を、娘と共有できていることに幸せすら感じた。
 
プロレスを知らない人にスリーカウントについて簡単に説明すると、
相手を抑え込み、両肩を付けた状態になると、レフリーがカウントを片手でリングのマットを叩きながら、数を数える。
 
レフリーが、3回マットを叩く(スリーカウント)までに、抑え込まれた選手はどちらか、若しくは両方の肩を上げないといけない。肩を上げることができず、スリーカウントを取られると、ピンフォール負けとなる。ちなみにピンフォールとは、日本語で「抑え込み」という意味である。
 
なぜ、ピンフォール負けが、スリーカウントになったのかは定かではない。過去、ツーカウントフォールマッチという試合をした団体があった。抑え込まれた選手が慌てて肩を上げないといけないので、スリリングな試合展開になる。
 
しかし、これが定着することはなかった。また、5カウントでやった団体もあったが、試合が間延びしてしまい、まったく盛り上がらなかった。
 
なぜ、3カウントになったのか? それは「ちょうどいいから」という理由ではないかと、勝手に思っている。それぐらい本当に「ちょうどいい」のである。
 
他にもプロレスにはカウントされるものがいくつかある。例えば、場外で乱闘になった場合は、20カウントで戻らないと負ける、一定の反則は5カウントまで許される、などあるの
だが、いずれも「ちょうどいい」のだ。
 
この「ちょうどいい」という感覚は、私をとても幸せにしてくれる。お風呂の温度、食べ物の塩加減や量、会計時のお支払い、椅子の高さ、タクシー、など、「ちょうどいい」と思える場面を想像してほしい。きっと誰もが幸せな気持ちになるだろう。
 
逆に言えば、幸せな気持ちになるには、「ちょどいい」と感じることができればいいのかもしれない。幸せになる条件として、「ちょうどいい」と感じる能力があるかどうか、ということなのだ。
 
そう考えると、日々の生活で「ちょうどいい」を探せば、見つけた分だけ幸せになれるわけだ。先のプロレスの話でも、「スリーカウントはちょうどいい」というのに気づくと、それだけで心地よくなり、さらにプロレスの奥深さを感じることができ、ますますプロレスが好きになるのだ。これを幸せと呼ばずになんと呼ぶ。
 
こうも考えられないだろうか。嫌なことが、目の前に起きた時に「ちょうどいい」と思ってみる。例えばこうだ。仕事でミスをしてお客様からクレームが来た瞬間、「ちょうどいい」とつぶやくのだ。
 
すると脳は、何がちょうどいいのか? と答えを探しはじめる。
 
「最近、仕事が雑になっているというのに気づかせてくれた。このまま仕事を続けていたら、もっと大きなミスをしていたかもしれない。ちょうどいいタイミングでこのクレームがきてくれた。ピンチはチャンスだ! しっかり対応しよう」
 
こんな風に答えを導きだしたりするのだ。これは、使えるかもしれない。
そういえば、いつ誰から聞いたのか覚えていないが、「解決できない問題や悩みは、その人の目の前には現れない」という言葉がある。
 
例えば、どうしたら人類がウィルスに打ち勝つことができるか、という悩みは、私の目の前には現れない。でも、今日のランチは何を食べようか、とは悩む。つまり、その人にあったちょうどいい、問題や悩みしか現れないということだ。
 
とは言え、様々な問題や悩みが目の前に現れてくると苦しいものだ。できることなら逃げたい、そう思う時もあるだろう。そんな時に、これは自分にちょうどいい問題だ、と思ってみたらいいのではないか。そう言うと、苦しんでいるのにそんなこと思えるか、という声が聞こえてきそうだ。
 
でも、これは自分にちょうどいい問題だ、と考えるだけならできるのではないだろうか。実は、脳は簡単に騙されるらしい。思っていなくても、考えたり、言葉にしたりするだけで、そうだと理解するらしい。
 
「ちょうどいい」、と思えるものを探す。また自分に都合よく、何が起きても「ちょうどいい」と考える。そして更に自分が感じている、「ちょうどいい」を共感してくれる人がいたら、ささやかもしれないが、ちょうどいい幸せな人生になるんじゃないだろうか。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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