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「きっと大丈夫」から「絶対大丈夫」に


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:渡辺諒(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
「一生のお願い」
「これさえやっておけば全て上手くいく」
「必ずやるべき10のポイント」
 
このような強めのキーワードが入った言葉を聞くと、逆に勘ぐってしまったり、盛り上がっていた気持ちがサーっと一気に冷めてしまったりするのは私だけだろうか。
 
一生のお願いってそんなに軽く使っていいの?
どうしてもあなたに頼みたいと普通の言葉で言ってくれれば全然引き受けるのに。
 
全て上手くいくっていうけど、上手くいかなかった時どうするの?
全て上手くいく”かも”とか、可能性が上がる”かも”くらいにしておいてくれればいいのに。
 
必ずやるべきっていうけど、あなたの主観が入りすぎてない?
興味があったら試してみて、くらいの言い方ではだめだったのか。
 
こんなことを考えてしまう私はきっとひねくれものなのだろう。
 
ただ、どんなにひねくれものだとか、上げ足をとるなとか言われても、きっとこの先もずっと相手が選んだ言葉には注目してしまい、また自分が使う時にも注意していきたいなと思う。
 
私はこの自分の考え方を「言葉選びセンサー」と名付けているのだが、このセンサーが不審者の侵入を発見した防犯アラートのように鳴り響く最警戒ワードがある。
 
それは、『絶対』という言葉だ。
 
自分でも不思議なくらいこの言葉には反応してしまう。
大学受験の時期に、センター試験の選択肢の中に「絶対」とはいっている場合はたいてい間違っているから選ぶな、と予備校講師が言っていたことがきっかけだろうか。
いや、おそらくこれまでに自分で絶対大丈夫だと自分に言い聞かせてやってきたことや、絶対に起こらないと確信していたことばかりが実際には起きたり、大きな失敗につながったりする記憶が積み重なって、まるでタブーのような言葉になってしまったのだ。
 
そのおかげで今や「絶対」というワードが入るだけで体の芯がピリっと反応するアレルギーのような体質になり、とたんに懐疑心が生まれてしまう。
 
学生時代に、担任の先生に「あとで職員室にこい」と呼び出され、何も悪いことはしていないのに時に襲い掛かってくる恐怖感。
仲良く付き合っていたはずの彼女から突然LINEに「大事な話があるんだけど時間作れる?」と言われたときの絶望感。
ちょうどそんなときの感覚をもたらしてくれるのが私にとっての、「絶対」という言葉の威力。
 
そんなわけで自分が口にするのもためらってしまう言葉なのだが、別に聞いただけで体調が悪くなったり、期限がすこぶる悪くなったりするわけではもちろんないので生活自体には全く影響はない。
 
ただ、最近になって少し不安を感じるようになっているのも事実だ。
 
私はアルバイトで塾の講師をしているのだが、受験生にとって年の瀬のこの時期はラストスパートの時期にあたる。
友だちと遊びたい盛りの年頃に毎日塾に通い頑張っている受験生の姿を見ていると本当に志望校に合格してほしいという想いも一層強くなってくる。
たとえ模試の結果が悪くても、なんとか慰めて前向きに取り組んでもらえるようとするのだが、どうしても「○○さんなら絶対大丈夫だよ」の言葉が伝えられないのだ。
 
「絶対」と自分が言えない代わりに「きっと大丈夫」と言葉を変えて伝えることもあるのだが、なんだかしっくりこない。そう伝えた生徒の表情にも自信が芽生えるような変化はみられない。
講師が「絶対大丈夫」と言ってくれるだけで生徒は安心するし、もう少し頑張ってみようと思ってくれるだろうというのも知っている。でも、どうしても「100%大丈夫といえないのにそんな無責任なことを言ってしまっても大丈夫なのか……」と、そんなことばかりが頭によぎってしまうのだ。
 
そんな私が悩みに悩んでいる時に、「絶対大丈夫」と連呼する人物が現れた。
今年のプロ野球で20年ぶりに日本一を成し遂げた東京ヤクルトスワローズの高津監督である。監督に就任してたったの2年でチームを日本一に導いた戦略だったり、チームの方針だったりはもちろん素晴らしいものだったが、それ以上に日本一になった後の選手たちのインタビューで度々登場するキーワードがあった。それが「絶対大丈夫」である。
 
監督はチームの前で話をする際に、ことあるごとに選手たちに向けて「絶対大丈夫だ」と言い聞かせてきたのだという。
そして、日本一が決まった試合のVTRを見返してみると大事な場面ではヤクルトの選手たちが必ずと言っていいほど「絶対大丈夫」と口を動かして自分自身に言い聞かせているのが分かった。
 
 
言霊という言葉があるように、言葉には夢を実現させるほどの力が宿っているとも言われている。自分で呟けば身体の中に眠っている力を引きだすということだ。
一方、高津監督が選手にしてきたことは、誰かから伝えてもらった言葉は、つらい時や本当に必要な時に自信をくれ、支えてくれる力を与えてくれるものなのだと教えてくれた。
 
受験とは勉強している段階では周りに仲間がいて集団競技のような雰囲気もあるが、当日はどうしても個人競技のようになって不安にもあると思う。
そんな時に、受験生たちが思い出して自分の力を発揮してもらえるような言葉を今から受験当日までの間はたくさん伝えていきたいと思った。
 
そして「自分の想いは生徒にも絶対伝わる」と自分自身にも言い聞かせて、生徒と一緒に頑張っていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2021-12-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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