16歳メンタルが、結果をぶち上げる。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:古山有則(ライティング・ゼミ10月コース)
「やべっ」
気づいた頃には、ボールがフェンスの方に転がっていった。
記憶が途切れた。そのくらい私は茫然としたのだ。
その舞台は、国民体育大会の2回戦、この相手に勝てば優勝も狙えるくらい大切な試合である。記憶にあるのは、以下の通りだ。
相手の4番バッターが大きなセンターフライを打ち、センターを守っている私の上にボールがきた。余裕でキャッチできると思っていると、打球がグングン伸びていき、私のグローブを弾いてフェンスの方にボールが転がっていったのである。
シンプルに、エラーしたのだ。
「やっちまったな」
国体に高校1年生で出場していた私はそう思った。
チェンジのときにベンチに帰りたくなかった。だって、怒られるから。
でも、チェンジになってベンチに帰っても、まったく怒られなかった。
それどころか、先輩方に励まされた。
「大丈夫だよ。まったく気にしなくていいからね。元気出していこう!」
この言葉を言われたとき、強烈な違和感を持った。
なぜかというと、まったく引きずっていなかったからだ。
「え? 国体でエラーしたのに、落ち込まないの?」
今の私であれば、落ち込む。間違いなく寝込む。先輩に迷惑をかけてしまったプレッシャーで震えたり、野球そのものをやめてしまったりするかもしれない。
信じられないが、当時の私はこう思っていた。
「ボールが伸びたんだから、あれは誰も取れないよ」
1mmも自分自身を責めていなかった。もちろん「やっちまった」や「ごめんなさい」とは思ってはいる。しかし、自分を責めるどころか、
「相手の4番打者すごい。あんな風になりたい」
なんて思っていたのである。呑気なものだ。
試合に勝利した後、さんざんバカにされたり、笑われたりしたが、あまり気にならなかった。
なぜなら、当事者の私は、ボールが直前で伸びたことを知っているからだ。
当事者ではない人に何を言われても、心にまったく響かなかった。
雰囲気でヤイヤイ言われても困る。
思い返してみれば、国体に出場する前、全国大会の初戦でも、似たようなことがあった。センターライナーを紙一重でスライングキャッチしてアウトにしたのだ。
ハイリスクのプレーをしたことで、試合後に新聞記者がきてインタビューされた。
「失敗することが怖くないんですか?」
はっきり私は答えた。
「キャッチできると思ったので飛び込みました。失敗することなんて1mmも考えてなかったです」
16歳の私は最強のメンタルを持っていたのである。
しかし、そんなメンタルをどこかに置いてきたように20代の私はダメダメだった。
「うまくいかなかったら、どうしよう」
「嫌われたらどうしよう」
「失敗するのが怖い」
という思考に囚われてしまい、口だけ「やります」と言っているだけで何も行動に移すことができなかった。そんな有言不実行の自分が余計に大嫌いになっていった。
たまたま野球部時代の友人とご飯を食べにいき、過去の栄光に花を咲かせていると、友人の言葉にハッとした。
「野球をやっているときの古山は、無敵だったよな」
と言われたからだ。まさにそうだった。野球をやっているときの私は無敵だった。
野球をしていない私は、何もなかった。周りからどう見られているか常にビクビクしていた。
このとき、直感が閃いた。人生を変える運命的な直感である。
「野球をやっているときの気持ちで普段を過ごしてみるのかどうだろうか?」
そう思ったら、心の底から不思議とエネルギーが湧いてきた。
「うまくいくに決まっているよ」
自然とそう思えた。体中の細胞が生きているように、根拠のない自信が溢れてきたのである。
それから運気がガラリと変わったように、チャレンジしやすくなった。
どんどんSNSの発信も継続していると、ご縁からチャンスをいただき、講演会をすることになった。
今までの私であれば、断っていたと思う。
野球マインドを取り入れてみた私は、こう思った。
「やってみないとわからないよね」
不思議である。外見は変わっていない。
私が変えたのは、何かの夢中だったときのメンタルを普段も取り入れてみただけだ。
現在30歳になった私は、16歳のメンタルの状態を取り入れている。
先日も、イベントを開催したのだが、正直、人を集められるか不安だった。
でも、16歳の私ならどうするだろうと考えたところ、一人一人に気持ちをきちんとぶつけるだろうなと思った。実際にメッセージを送ってみると、30名も集めることができた。
16歳のメンタルを持つと、最強になれるのだ。最強でぶつかるから、結果もよくなる。
数年前の私は失敗をとにかくびびっていた。
今は違う。
「過去の自分のように、いけるチャンスに飛びついているのか?」
これをモットーとして生きている。
***
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