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私の人生を変えた沼


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:majyo(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
こんな重くて、値段の張る鍋の何がいい?
初めてストウブ鍋を知った時の私の感想である。
 
鍋なんてどれでも同じ。扱い易さこそ機能性だと思っていた私は、ストウブを使い始めるまで、フライパンや鍋はティファール一択だった。
焦げ付きにくく、内側の「お知らせマーク」で、調理開始の適温を視覚的に確認できる。
何よりも、取っ手が外せて重ね収納できることがお気に入りだ。
 
ファーストストウブのラウンド22㎝を購入したのは、完全なる一目ぼれ。
その頃の私は、母が介護状態になり、改めて調理の仕方を見直す必要に迫られていた。
料理は得意ではない。得意なのは食べるほうだ。
圧力鍋、シャトルシェフ、時短できて楽になれそうなものは何でも揃えた。
 
時短にはなったが、美味しくできたかというとそう簡単にはいかない。
モチベーションが下がりきって、鍋の見た目で気分を上げようとしたのだ。
説明書とレシピブックは英語表記、読めるわけもなく、正しい使い方もわからないまま、普通に煮炊きをしていた。
 
とにかく重い。すぐに買ったことを後悔する。
自分史上最高額の鍋、さすがに諦めがつかず、使いこなそうと本を買う。
 
ストウブは、世界中の様々な料理人に愛された鍋だ。
本を読んで、ずっしりとした重さは、鋳鉄に3重のブラックエマイユ(エナメル質ホーロー)加工が施されているからで、耐久性、保湿性の証だと知った。
ココット・デ・ゴハンは、土鍋を超える美味しさが科学的にも証明されていた。
 
ネット検索を始めると、大橋由香さんの「ずぼら料理教室」にたどり着く。
YouTubeの動画で初めて無水調理が出来ることを知る。
料理家というと、きっちりした印象だったが、大橋さんは本当にずぼらだった。
「無水調理じゃなくたっていいじゃないですか。水入れたっていいんですよ……」
 
シーズニングもしていないという。なんだか安心した。ずぼらでもいいんだ。
 
初めての無水調理はカレーを試した。
玉ねぎからびっくりするほど水が出て、水を一滴も使わずにまろやかで美味しくなった。
 
気のせいじゃない?
疑い深い私は、あまり好きではない味噌汁を作ってみる。
鍋が大きすぎて無水にできず、少量の水で煮込んでから水を足した。
 
あきらかに味が違う。野菜から何とも言えない優しい旨味がにじみ出る。
自分の作ったみそ汁をこんなに美味しいと思ったのは初めてだ。
凄いぞ、ストウブ‼
 
気をよくして、大橋さんレシピを順番に試してみる。
材料はシンプル素材とオリーブオイルに塩のみ。
 
本当に?
調理工程も驚くほど少なく、鍋に入れたらほぼほったらかしである。
半信半疑でYouTube通りに、無水ポトフを作ってみる。
え、嘘でしょう?
もう、もとの作り方には戻れない美味しさなのだ。
味見のつもりが、鍋の半分が無くなって自分にひいた。
 
そして、ストウブは「大は小を兼ねない鍋」ということを知る。
無水調理をするためには、鍋の半分以上3分の2くらいの材料を調理する。
高齢で食の細い母と二人暮らしの我が家には、22㎝のラウンドは大きすぎた。
 
セカンドストウブは14㎝の赤いラウンドを購入。
初めてストウブでご飯を炊いた。
美味しい!初めての炊飯は1合炊いたが、あっという間に一人で食べきった。
久しぶりのおこげが最高で、炊飯ジャーには戻れないことを悟った。
 
もっと、ストウブを極めたい‼
そう思っていきついたのが、フェイスブックの「ストウ部」。
 
14,000人のメンバーを擁するこのコミュニティはストウブに関する知識の宝庫だ。
利害関係なく、ただただストウブを愛してやまない人達の集まり。
 
毎日の投稿はレストランのような洒落た写真から、ほのぼの美味しそうな投稿、ストウブの相談事で賑わっている。
わからないことを質問すれば、誰かがすぐにレスを返してくれる。
 
ストウ部の投稿をみるたび、ストウブが欲しくなる。
ストウブにはまっていく様を「ストウブ沼」というらしい。
ストウブ沼の住人達はとても優しく、みんな親切だった。
気が付いたら料理も好きになっていた。
 
ストウブ沼にはまり始めた私は、そんな中ネット詐欺にあった。
たくさんストウブが欲しい‼ そんな欲が裏目に出た。
販売元であるツヴィリングの公式HPと全く同じ作りのサイトに引っかかり、7万円以上の金額がカード決済される。
ご丁寧に海外からの荷物の追跡番号まで知らされて、楽しみにしていた荷物は、レイバンの偽物のサングラスだった。
 
あまりのショックにコミュニティに投稿したところ、
「安すぎる値段に安易に飛びつかない!」
と厳しい指摘を貰い、正直かなり凹む。
でもそれだけで終わらないのが、ストウ部の凄いところだ。
カード会社に連絡した?
警察に届けを出した?
顔すら知らない私の災難に、びっくりするほど沢山の人が寄り添ってくれた。
 
同じように詐欺にあった人も複数いた。
安すぎる金額は怪しいこと、会社の確かめ方や偽物の見分け方、沢山のことをここで共有した。怪しいサイトを見つけては、何人かのメンバーが一緒Googleに通報を試みてくれた。
 
詐欺にあった事実を最初から、最後まで包み隠さずコミュティへ投稿した。
実名登録の私にとって、己の恥部を晒すことは勇気がいることだった。
でもそれ以上に、二度と同じような被害者を出したくないと思ったのだ。
 
カード会社が交渉を重ねて、全額返金が確定するまでの数ヶ月、私は毎日笑って過した。
詐欺被害をネタにできるまでに消化できたのも、逢ったこともない沢山のメンバーのおかげだ。
 
気が付けば、必ず「ストウ部」の投稿を覗くことが習慣になり、母に料理を食べてもらえなかった日も、皆の励ましに前向きになれた。
 
ストウブのおかげで、友達も手に入れた。
 
介護一色でモノクロになった生活が、みるみる色を取り戻した。
食べることは生きることだ。美味しい食事は人を元気にする力がある。
 
アウトレットの商品情報、焦げ付いた鍋の落とし方もストウ部で習った。
アドバイスをもとに我が家に最適なサイズのワナベS等、小さなサイズの鍋が増えた。
小さい鍋にしたら一人分ずつ作れるので、自分の好きなものも作るようになった。
簡単に美味しく健康的に。
炊飯も、炊飯ジャーより早いのだ。
 
一人分の器にもなる。
夏はそうめんや冷やし中華を冷たいまま。
冬は一人用の鍋も熱々で最高だ‼
鍋焼きうどんや石焼ビビンバにも最適サイズ、二人暮らしのシチューや煮物にも最適だ。オーブンにも入るし、キャンプにも連れていける。夢は果てしなく広がる。
料理をしたことが無くても大丈夫、大橋さんと「ストウ部」がついている。
 
そうそう、デメリットもちゃんと伝えておかなくてはならない。
大事なことなので繰り返すが、とにかく重い。
使い始めるには1日も早いほうがいい。
長く使続けることで、介護予防の筋トレにもなることを保証する。
そして、使う前には戻れなくなる(笑)
 
ストウブを手に入れた私はいまだに、なんでもっと早く買わなかったのかと後悔している。
騙されたと思って、YouTubeを覗いて、ストウ部に遊びに来て欲しい。
きっとストウブが欲しくなる。
ちょっとしたことで食生活が変わると人生が豊かになる。
 
鍋友になってくれたら嬉しい。
 
 
 
 
***
 
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