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メディアグランプリ

やらかし屋


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:ともぞう(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
アップルパイの中からとろとろのアップルたちのがあふれ出し、持っていた左手についた。
「あっ、ヤバい」と思ったが何もできないまま、とろとろのアップルたちは、手から
椅子に座っている私のズボンに上ボタボタと落ちた。こぼれた量が多かったのだろう。それらは、太ももの前から後ろの方に移動し、床にベッタリ着いた。
 
まさに今、マクドナルドでやらかした出来事である。パソコンを開いて、何を書こうかぼんやり考えながら、食べていたのだ。
 
こんなことをやらかしても、私は冷静だ。紙ナプキンで、まずはズボンでまったりしているアップルたちを拭き取った。意外ときれいに汚れが取れた。紺のスーツなので、そう見えているだけだと思うが……。そんなことは気にしない。
 
床も紙ナプキンできれいに掃除した。後処理をすべて終え、一息しようとトレーの上にあるコーヒーに手を伸ばした。コーヒーの横には、クシャクシャでベタベタした紙ナプキンが山のようになっていた。思わず、クスッと笑ってしまった。何やってんだ、俺。
 
ご存じの通り、マクドナルドでは、注文するとトレーの上に商品と一緒に紙ナプキンがついてくる。今回、私はアップルパイとコーヒーを注文しただけだった。なのに、紙ナプキンは4枚もあった。1枚を広げるとかなり大きいのがわかる。私は、「4枚もいらんやろ。もったいないなぁ」と心の中でつぶやいた。
 
そして、食べ始めてすぐ、この惨事が起きた。ちょうど4枚で、きれいに拭き取ることができたのだ。「なるほど、こういうアクシデントを予測して、店員さんはアップルパイを注文する客には多めに紙ナプキンをつけているのかもしれない。いずれにしても、店員さんには感謝しないとな」となどと考えて一人でニヤニヤした。
 
私はよく食べ物や飲み物をこぼしたり、倒したりする。そう、やらかす人なのだ。なので、こんなことがあっても動じることなく、冷静に対処し、そして、笑って済ませる。
 
家でもそうだ。仕事から帰宅して、Yシャツのまま食事をすると結構な確率で、Yシャツに染みが付くのだ。そのたびに妻から、「なんで着替えんで食べるん。こうなるの、わかっとろーが!」と怒られる。
夫がYシャツ姿で食事をするのを禁止する妻はそうないだろう。だが本当によくやらかすので言うことを聞くしかない。
 
ただ、外では着替えるわけにもいかない。Yシャツには、いろいろ付けてしまう。そしてスーツの上下にも。
 
こういったやらかしで、たまに周りにもとんでもない迷惑をかけることがある。
以前、○屋でランチをしていた時にドレッシングをぶちまけたたことがある。
 
容器を上下に振ったらキャップが外れ、先端からドレッシングが天井めがけて1メートル以上飛びだし、放物線を描いて、向かいの男性他、数名に飛び散った。
 
私は真っ青になった。向かいの男性の顔は真っ赤になった。ただひたすらに謝るしかなかった。それ以来、蓋が小さな球状になっていて、容器の首の部分とつながっているあのドレッシングの容器が怖い。
 
あと、飲み物をよく倒しがちだ。飲み会でドリンクを倒す分には笑って済ませられるのだが、仕事の打ち合わせ中に出てくるコーヒーやお茶を倒すと大変だ。PCは大丈夫か? 床には落ちていないか? と大慌てになる。
 
あまりにもよくやるので、今では周りにいる人が私の目の前の飲み物を、そっと、遠くに除けてくれる。また、客先で飲み物出されたら、「ともぞうさん、先に飲みましょう」と言ってくれ、大惨事にならないようにサポートしてれる。
 
新しく入社した人に、「ともぞうさんは何かやらかすから、近くにいるときは注意してね」とアドバイスする人もいる。
 
なんてドジな社員なんだ、と思われることだろう。
私自身も50歳を過ぎてこんなことでいいのか? とさすがに思ったりはする。でも半面、こんなことをやらかす自分が嫌いではない。
 
「なんて自分は不注意でダメなんだ」と少しは思ってもよさそうなものだが、その感情は全く湧いてこない。「なんでこんなにやらかすのかなぁ~」と不思議に思っている。
そして、「何してんねん!」と面白がって、自分で自分を突っ込んで、楽しんでいるのだ。
 
私の周りの人が聞いたら、あきれるかも知れない。「いい加減にしろ、いい迷惑だ!」と言うかもしれない。でも、「ごめんね、てへぺろ」と、いたずらっ子のように気持ち悪く答えるだろう。
 
こんな私だが、仕事自体でやらかすことはあまりない。どちらかと言えば、ちゃんとしているほうだ。ちなみに社内で最年長、一番のお年寄りである。ここ数年、毎年新卒の入社があり、息子の年齢と変わらない社員が多い。
 
そんな若手社員に対して、私は優しく接しているつもりだ。しかし、そう思っているのは私だけだと知った。
先日、入社3年目の女性社員とランチをしながら、新入社員教育について話をしていた。
女性社員が、自身の入社当時を振り返ってこう言った。
「私も1年目は、電話の取り方や文章の書き方でたくさん指導されて、鍛えられました」
「へぇ~、そうなんや」私は彼女にもそんなことがあったんだ、と思いながら応えた。
 
すると、女性社員は目を大きく見開いた。
「覚えてないんですか! ともぞうさんから指導されたんですよ。あの頃は、ともぞうさんが私の名前を呼ぶたびに、『また、怒られる。今度は何をしたんだろう』と、ドキドキしていたんですよ」
 
まさかである。私はこれっぽっちも覚えていない。いや、確かにアドバイスはしていた。でも、丁寧に優しくしていたつもりだった。
 
「あの当時は、本当に怖かった。おかげで成長できました」と笑って言われた。
私は普通に注意やアドバイスをしているつもりだが、若い人からすると、厳しい頑固おやじに見えるらしい。
 
自分でも彼女の話を聞くまで全く気づかなかった。これは、気をつけて関わらないといけないと反省した。
 
その反面、こぼしたり、倒したりしている私の姿をみて、「このおっちゃん、ドジだな」という生暖かい目で、若い人たちは思いっきり笑っている。時には、いじってくる。
これは、若手達に安心感を与えているのではないだろうか。
 
そうだ、私は彼らに敢えて隙をみせているのだ。そうすることで、厳しいけど、おっちょこちょいで憎めないおっちゃんを演じているのだ。
だから、これからも私は、こぼし、倒し続けないといけない。そう思うと、逆にプレッシャーを感じて、やらかす回数が減るのではないかと不安になってきた。
 
妄想が過ぎるが、いずれにしても、私がやらかすことで、笑う人、喜ぶ人がいるのは事実だ。だから私は、無意識に繰り返すのではないだろうか。たぶんこれからも。
 
しかし、人に迷惑をかけるのはよくない。このあたりのやらかし加減を無意識にコントロールできるようになったら、人を喜ばす、プロのやらかし屋になれるのかもしれない。
 
 
 
 
***
 
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2022-01-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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