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憂鬱な月曜日のアレへの処方箋


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:寺野 智和(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
嗚呼、また新たな週がきて、アレがやってくる。
そのことを考えると、日常に少し灰色の霧がたちこめるような憂鬱な気持ちが湧いてくる。
 
アレとは、私が12月より参加している天狼院ライティング・ゼミの課題投稿。
日曜開講のゼミだからか、講座開講中は毎週月曜日中への投稿が提出期限になっている。テーマは自由で、2000文字程度で綴って、かつ、最後まで読み通してもらえそうな記事を書くことが課題として設定されている。
この課題のことを考えると、サザエさん症候群になる人の気持ちがよくわかる。なんとなく憂鬱。
 
何が私を憂鬱にさせるのか?
 
私は、書くネタとしては哲学をベースとして、読んでいただける方に何かしら気づきや学びを得ていただけることを意図しつつ、今後、取り組もうとしている哲学を学び合う場作りに向けて、自分の頭の整理も兼ねて書くと決めているから、題材に困っているわけではない。
 
ゼミが提唱する“最後まで読んでもらえる文章”を書くためのエッセンスやスキルもいただいているから、書くための道具もないわけでもない。エッセンスなどを書く文章の中に活かしていけばいいから、学びも身について一石二鳥だ。
 
そして、課題を投稿することは課せられた義務ではなく文章が上手くなるために与えていただいた機会だ。出さなきゃ出さなくてもいい。
ただ、講師の三浦崇典さんも、サポートしてくださっているスタッフの方も言われているように「学んだだけではダメ、書いてフィードバックをもらわないと文章は上手くならない」ことは、自分の中でも理解していて取り組む意義の納得度も高いので課題投稿はしたいと思っている。
 
書くネタもあり、道具もあり、取り組む意義にも納得している。
 
それなのになぜ憂鬱になるのか?
 
自分でも不思議におもい、自分に問うてみると、自分の中がざわざわして、そしてその奥の方で蓋をしていたはずの承認欲求のようなものが頭をもたげてくる。
「あなたの記事、面白いね」と言われたい、そんな子供じみた欲求だ。
三浦さんからも「面白いものを書こうとしないこと」と戒めていただいているのに‥‥‥
 
そして、その承認欲求だけなら、それを満たせるように頑張ればいい話だが、それと一緒にセットでついてくるのが、失敗したくない「怖れ」の気持ち。これが核心かもしれない。
投稿して、フィードバックを頂きつつも、採用してもらえなかった時、つまり面白くなかったという事実に対して、自己否定し、自己批判して落胆する感情を味わうのが嫌なのだ。怖いのだ。
投稿することは必要とわかりつつ、でも、嫌な感情を味わいたくない気持ちを憂鬱にさせるというわけだ。
 
認められたいから、面白いものを書きたい。
だけど、面白いと言われるものを書くのは難しい(と思っている)し、落胆したくない。
だから、書かない。書かなければ、落胆することはない。認められることもないけど。
 
はて?
 
このような感情は哲学の書にあったはず。
 
そう、あれだ。
 
『ルサンチマン』
 
1800年代を生きて、それまでの西洋思想を徹底批判したドイツの哲学者 ニーチェが主張した心理状態のことである。
 
ニーチェが言うには、
 
・“強者”は自分の行為が絶対に良いと考え、欲望のままに生きて積極的に楽しむことができる
・“弱者”は自分の行為が良いとは思えないので、“強者”を恨み批判して価値を下げようとして、それにより自分の価値を上げて満足する
・端的に言えば、弱者の逆恨み。それが“ルサンチマン”。
 
今回の例で言えば、自由自在に面白い記事を書く人が強者だろう。
そして、面白いと言われる記事を書いて認められたいけど、書くのは難しいと思っている弱者な私。
“ルサンチマン”にハマり込んでいくとするなれば、「課題投稿することなんて意、なんの意味があるのか?」「そもそも講座で文章は上手くならない!」などを声高に批判して、自分勝手にゼミから脱落していくことだろうか。
 
そして、得られるものは、課題投稿から目を逸らして、文章力が身についていない自分。
 
文章力を高めようとゼミに参加しているのに、こんな残念なことがあるだろうか‥‥‥
 
では、どうすればいいのか?
ニーチェの主張を読んで、解決策を探りたい。
 
“強者”と“弱者”が存在するとしたら、ニーチェはどうすればいいと言っているのか?
 
『“強者”が“弱者”を利用して支配する世界以外にはどんな世界も存在しないという事実を認めること』
を勧めている。つまり、現実を見ずに、お花畑のような理想に逃げるなということだろう。
 
今回で言えば、面白い記事のために、面白くない記事が引き立て役として存在しているのが現実ということだろう。
自分が書くものは面白くない記事と言われるかもしれないが、それがこの世で起きる現実だと受け入れよ、と。
 
その上で、ニーチェはこうも言っている。
 
『人生は自分の思うままに自由に生き、自己実現を図るべきであり、貪欲に生きることを肯定する』
 
そして、この肯定することを、
 
『力への意志』
 
と表現している。
 
自分なりに解釈すると、
・強者が弱者を支配する世界は現実であり、受け入れるしかない
・その上で、強者になること、強者であることを意思を持って貪欲に求めよ
と言っているのだろうと思う。
 
今回の例で言えば、
 
・面白い記事も、面白くない記事も存在する
・その上で、人の評価を恐れずに、ただ、自分が欲する面白い記事を書くことだけに注力せよ
 
自分の各記事は面白くないかも? なんて、そんな憂いの気持ちは捨ててしまえ! ということだろうか。
 
なるほど、確かに面白いかどうかなんて書いてみないとわからないのだ。
そして、面白いものを追求しないことには、面白くもなっていかないだろう。
面白いかどうかなんて、書かずに悩んでいる時間など無駄でしかない。
 
こうやって、ニーチェの主張から記事を書くことを眺めてみると、私の中にこんな言葉が浮かんだ。
 
記事を書くことは、セルフマッサージである。
 
人はニーチェの言う通り、何かを欲する動物であり、それを“強者”のようにストレートに求めるか、“弱者”のようにその気持ちを自らねじ曲げて手にいれられないようにするかの違いはあるが、欲していることに変わりはない。
 
自分が欲しいものを得るためには、今回のような“ルサンチマン”におちているならば、そんな自分と向き合って、言葉にし、その気持ちや感情を解きほぐして、欲しいものを得ることに向かわせる必要があるだろう。
そのために、文章を書くことは重要かつ有効な方法だと思う。
 
その様が、自分のためにコリや痛みを自らほぐしていくセルフマッサージのように思った。
自らを癒し気持ちを回復しながら、次なる取り組むべき取り組みに向かわせていく。
 
ライティング・ゼミもまだ3合目というところ。課題投稿も先が長い。
記事を書くことで自分を癒し、時には鼓舞しながら文章力を高められるように取り組んでいこうと思う。
 
ニーチェも応援の言葉を与えてくれている。
 
『世界には、きみ以外には誰も歩むことのできない唯一の道がある。その道はどこに行き着くのか、と問うてはならない。ひたすら進め』
 
 
 
 
***
 
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2022-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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