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騒音を聴く

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鶴聡太郎(ライティング・ゼミ集中コース)
 
 
今に始まった事ではないが、街中でイヤホンをしながら歩いている人が増えている。
高性能なイヤホンが安価で入手できるようになったことや、スマホを音楽プレーヤーとして使えるようになったことが主な原因だろう。
サブスクリプションにより、安価で大量の楽曲が聴き放題となったことも大きく影響していそうだ。
これを読んでいるあなたは、街中でイヤホンをして音楽を聴いているだろうか。
もししているとしたら、何を聴いているのだろう。
逆に、していない人は、イヤホンをしている人に対して何を感じているのだろうか。
 
私はイヤホンをして音楽を聴く側の人間なので、その立場で話を進めていく。
私が音楽を聴いているのは、好きな音楽を聴くことで、ストレス発散だったり、テンションをあげたりするためだ。
 
また、余計な騒音を耳に入れたくないからという理由もある。
街中ではないが、騒音に不寛容になっていると感じる出来事が何度かあった。
昨年、自宅の付近で規模の大きな工事が行われていたのだが、その音がかなり大きく、ずっとストレスを貯めていた。
他にも、妹が家でピアノの練習をしているときも、その音が騒音に感じることがあった。
こういう音はイヤホンをしても聞こえてくるくらいには大きいので、完全にシャットアウトするのは難しい。
そのため、なかなかこのストレスを溜めないようにする方法を見つけるのは困難であった。
 
似たような悩みがある人は多いのではないか。
特に、街中でもイヤホンをしているような若者の中には、こういった聞きたくない騒音に敏感な人もいるだろう。
イヤホンを貫通して聞こえてくる工事現場や車のエンジンの音にうんざりしている人は少なからずいるはずだ。
ノイズキャンセリング機能のついたイヤホンが人気なのもこのためだろう。
私はあまり使っていないが、この機能を使えば本当に外界の音をほぼ完全にシャットアウトできるので、あまりの静寂にもはや恐怖すら覚える。
 
こういった悩みは非常によくわかる。
やはり、耳に入る音は可能な限り聞きたい音、心地よい音であって欲しい。
だからこそ、イヤホンで音楽を聴くし、外界の音をシャットアウトする機能が重宝される。
だが、どうしてもイヤホンを外さなくてはならないときも確かに存在する。
うるさい工事現場の音を耳に入れざるを得ないときもある。
特に、ずっとイヤホンをし続けるのは耳の健康上よくない。
 
そういうときに必要なのが発想の転換だ。
例えば、工事現場の音が聴きたい音であれば、家の周りで工事が始まったとしてもそれは好きな音楽をイヤホンをつけて聴いているのと同じである。
車のエンジンが心地よい効果音になれば、イヤホンに頼らずともストレスを溜めずに済む。
要するに、普段騒音として感じている音を音楽として楽しめるようになれば良いということだ。
そんなことできるの? という疑問はもっともである。
もちろん、これは全ての人ができることではないだろう。
しかし、可能性の一つとして知っておいてほしい。
それが、ノイズミュージックの世界である。
 
ノイズミュージックはその名の通りノイズ、つまり騒音を音楽として芸術に昇華させたものだ。
雑踏や、ホワイトノイズを中心に構成されており、メロディーやリズムを感じることが困難な前衛的な音楽だ。
ものによっては非常に大きな音をただ鳴らし続けているようなものも存在する。
音楽ジャンルとしてはNoise、Experimental、Industrial、Extratoneなどが近いと思う。
興味を持った人は、この辺りのワードで検索をかけてみてほしい。
 
歌詞はおろか、メロディーすら存在せず、ときにはさらにリズムも無いので、かなり人を選ぶ音楽であることは確かだ。
人によっては、こんなの音楽じゃない! と感じることもあるだろう。
というか、多くの人がそう感じると思う。
しかしながら、私はこのノイズミュージックに出会って、世の中に溢れる騒音を楽しめるようになったと思う。
 
ノイズミュージックに出会ってから、私がイヤホンで聴く音楽は非常にうるさい工事現場のような音になった。
聴くに耐えないような騒音の中に散りばめられたリズムやメロディー、ギミックなどから作曲者のメッセージを考えてみるというのはなかなか楽しい。
そういった側面に惹かれて、私はノイズミュージックのファンになった。
それでずっと聴いているうちに、街中に溢れている音がこういった音楽と音色に差がないことに気づいた。
当たり前のような感じもするが、ともかくそれのおかげか、私はイヤホンをせずに街中を歩くことも多くなった。
普段であれば気にも留めない雑音をより深く聴くようになった。
すると、ただの雑音にも、ある一定の音楽的なグルーヴやメロディーを感じられたのだ。
面白い!
そう思うと同時に、今まで聴いていなかったことに、もったいないとも思った。
 
騒音も、注意深く聞けば面白い発見がいくつかあるだろう。
それに気づかず、ただ聞かず嫌いをしているのはもったいない。
私のきっかけはノイズミュージックであったが、別にきっかけはなんでも良いだろう。
一度、世界に溢れる騒音にも耳を傾けてほしい。
もちろん、心身の健康を害するのであれば、やめた方がいいけれど。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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