メディアグランプリ

恥かしさと情けなさに打ちひしがれる朝のひととき


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記事:野地美咲(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
月曜日。雲がほどよくぷかぷかと浮いている、きれいな青空が広がる朝。
街中の隙間から遠くの景色をみながら会社へ向かい、席に着いてしばらくすると、
今日も元気な挨拶とともに、隣の席の同僚が出社してきた。
全身黒っぽい服。今日もいい感じね、と思いながら挨拶を返し、ちらりと見えた背面。
その腰のあたりに、白っぽい布切れみたいなものが見えた。
 
あれは、なんだろうか。
 
フリルでもついているのかな。今日はラブリーだな。
と思い、洋服を褒めようとしたが、ちょっと待て。なにかがおかしい。
フリルにしては面積が少なすぎる。まるで鶏の尾っぽのようだ。
ちらちら見えるそれは、よくみたら四角い。うっすら柄もある。
明らかに洋服のテイストと合わないし、素材が布じゃないような気もする。
あ、そうか! 寒いから腰にカイロでも貼ってきたのかな。
だとしたら見えすぎじゃないか?
今どきは貼るカイロもあえて見せるのか? いやいやおしゃれ聞いたことないし。
本人に伝えた方がいいよな、と思ったものの、見てはいけないものをみてしまったような気になり、
指摘するのをためらった。
一日座って過ごしたら、背もたれで隠れるし。誰も気づかず終わるよな。
でもそれでやり過ごせるか? さすがに一日中座りっぱなしということはないだろう。
伝えるべきかそっとしておくべきか、どうしようどうしようどうするよと朝っぱらから一人会議が白熱するワタシ。
まだ朝だし。昼過ぎになって他の人に指摘されるより、早めに行った方がいいよな、と思い直し、彼女が私に背を向けたタイミングで背中のそれを指摘した。
 
「後ろになんかついてますよ」
 
「え、なんですか」
と言いながら自身で背後に手を伸ばし摘まみ上げたそれを見た彼女は突然、
「うわぁぁぁぁぁぁー」と叫びながら床に崩れ落ちた。
 
なにが起こったのか分からず、椅子に座りぽかんとする私。
その光景がまるで漫画を読んでいるようで、あまりにも面白すぎて大笑いしたかった。
けれど、事態の全容を理解できていなかったこと、マジで落ち込んでいる彼女を前に笑うことができなかった。
 
朝礼後。予告どおりトイレに行き状況確認してきた彼女。
腰についていたのはどうやらトイレットペーパーだったようだ。
 
え、そんなことある? なんでなんで?
と、それを聞いた私は吹き出しそうになったが、なんでそんなことになったのかを、彼女自身が消化しきれていない様子だったため、必死に笑いをこらえた。
 
どうしてそんなところにトイレットペーパーがいたのか。
どれだけ想像しても、同じことを再現するだけの妄想力が私には足りない。
 
その後も自分の起こした出来事がショックのあまり、ボケ老人化していて嫌だわ、と嘆く彼女。
と同時に、早く気づけてよかった、言ってくれてありがとうと感謝された。
思えば、彼女が家を出てから会社に到着するまでの間、どれだけの人の目にとまってしまったのだろう。
自分だったらと思うと恥ずかしすぎてゾッとする。
 
違和感を本人に伝えようか迷った私へ。
その違和感、伝えた方がいいよ。助けに繋がるから。
しかも今回に関しては、尋常じゃないくらい感謝されるだけでなく、
何度思い出しても、思い出し笑いがとまらないくらいの大爆笑がセットで付いてくるよ。
恐れず言ってね。
と、言うことを躊躇した私に伝えたい。
そして伝えた私、ナイスプレイ。グッジョブ!
 
人様のハプニングのおかげで、なんとも楽しい一週間の始まりとなりました。
 
身近に感じた違和感を誰かに伝えようかか迷った時、伝えたあとのことをあれこれ想像したりして
言うことをためらうことがあるかもしれない。
言ったあとどう転ぶかは正直分からない。
けれど、お互いの最善につながるきっかけとなるだろうと思えば、ちょっとしたことも言葉に出しやすくなるかもしれない。
せっかく気づいたのだから、言わずに消化不良となるより、外に出してしまった方が昇華されるだろう。
 
伝えたあとの世界は、きっと面白い展開が待っている。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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