メディアグランプリ

ウ〇コのつまらない話


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記事:玉置裕香(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
大腸が好きで外科医になった。10年経って、ますます虜だ。
ウ〇コはメッセージだ!
この想いを伝えたいと思って、書いてみた。
どうか食事中の閲覧はやめてほしい。
 
 
初めて行ったバイト先の話である。
用を足しにトイレに行った。便座に座り、いきんだ後にフーと一息つく。
ふと、前を見た。張り紙がある。
『このトイレは、月に1回は詰まります。
普通に使えば詰まることが考えられません。
原因は、構造上の問題かもしれませんが、いずれにせよ詰まって便があふれ出すと掃除が大変です。
改善策として水は、最初から流しながら実施してください。……(以下省略)』
 
一瞬、フリーズした。便器に目をやる。
これ、流して大丈夫かなぁ。もしつまったら、どうしよう。
しばし悩んだあと、覚悟を決める。
レバーを下す。ゴゴゴゴゴゴッと音と共にブツは流れていった。
よかった。安堵とともに、また不安がよぎる。
明日朝まであと何回このトイレ使うのか。
 
つまる話はトイレだけではない。
外科医をしていると、ちょくちょく遭遇するのが腸閉塞。いわゆる腸づまり。
腸づまりは腸の動きが悪くなって起きたり、ねじれたり、できものや異物がつまることで起きたりと原因は様々である。
できものだけでなく、便秘がたたって、コチコチに硬くなったウ〇コがつまることがある。最悪の場合、腸が破れることもある。腸が破れたら、半端ない痛みだ。
救急車で駆け込んでくる。緊急手術である。術後も命に関わる状態が続いたりする。
実は当直をしていると、月に数回遭遇する。上記のトイレ並みだ。
意外と腸づまりは怖い病気なのだ。
 
 
こどもはウ〇コが好きである。
2歳の甥っ子(聡ちゃん)はとぐろを巻いた絵を見て、キャッキャッと喜ぶ。
オムツを替える時、普段はイヤーと暴れ回るのに、ウ〇コのときだけ側によってくる。
いつの間にか聡ちゃんのウ〇コ係りに任命されている。
 
ウ〇コを喜んでネタにしていたのは、おそらく小学生くらいまでだった気がする。
普段便について、話すことはどれくらいあるだろう。
大人になるにつれ、恥ずかしいこととしていつの間にか話さなくなってないか。
家族や親しい友人に聞いてみる。
快便の人は、今日もでたでた、と満足気。便秘で悩んだことがない人もいる。
一方で、不調の人は1週間もでないと言っている。
気になっても、いつかでるだろ、薬飲んだら、これ食べたらでるだろ。
いつのまにか、便秘が根付いていく。
便がでないと、気分も生活もすっきりしない。どこか意識にこびりついているのだ。
 
 
本屋に行って、美容・健康コーナーに立ち寄ってみる。
便や腸活に関する本がたくさんある。
便通によいという体操や、食事、ツボなどの情報が雑誌やテレビでよく紹介される。
便秘薬やガス止めもそう。
ドラッグストアに行くと、便秘薬コーナーは結構な幅を占めている。
いろいろ試しながら、日々の生活でなんとかウンウンと、うなりながら座っているのだろう。
トイレがつまることはめったにないが、意外と便秘やおなかの症状に悩んでいる人は多い。
 
 
医者になりたての頃、便秘の治療は便を柔らかくするマグネシウム剤か刺激の強い下剤、あとは漢方くらいしかなかった。便秘は病気、という意識はなかった。
余談であるが、平成30年までで医師国家試験で出題された便秘に関する問題はなんと6問! 医者が学生時代に便秘を勉強することはほぼないのである。
今でこそ、便秘にもガイドラインができた。が、しつこい便秘や薬の使い分けをどうしたらよいか、あまり知らなかったりする。
人びとが便秘だけでなかなか病院にはいかないのは、ここにも原因があるのだろう。
 
 
食べたものが腸で消化・吸収されて便がつくられる。皆が知っている。
では腸の働きとは何か?
腸はカラダの外とつながっている。体の中に入ってきた病原菌と闘う最初の場所である。
その腸の中は微生物でいっぱいだ。
微生物は悪いものだけではない。ヒトと共存し、影響しあっている。
最近、腸の中の微生物たちが注目されている。
生活習慣病や心の病気、悪性腫瘍などと大きな関りを持っていることがわかってきた。
そして腸はセロトニンという、幸せホルモンをつくっている。
腸で悩む人の顔が浮かないのはそのためなのか。
 
便秘や下痢、痛み、げっぷは腸からのSOSなのだ。
 
 
かばんには便に関する本を入れている。聡ちゃんが読めとせがんでくるためだ。
「聡ちゃん、今日はすっきりウ〇コでた?」
「うん(満足気)!!」
「よかったね。硬さはどうだった?」
「(本を指しながら)これー」
「バナナですか。さすがです。じゃあ、今日はどの絵を説明しようか。
ウ〇コをするときの姿勢が大事でね。考える人というね……」
 
手始めに、つまらないための普及活動をしている。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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