メディアグランプリ

情熱を燃やすぎょうざの味


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記事:吉良健一(ライティング・ライブ大阪会場)
 
 
「ぎょうざ二人前と大ビンをお願いします」
「はい、かしこまりました」
私は、いつものオーダーをする。
出された大ビンからビールをグラスに注ぎ、私は小皿にみそだれを入れ、しょうゆ、お酢、ラー油をかける。
そして、耳を傾けた。
 
炎に熱せられた鉄板にぎょうざを並べお湯をかけると、
ジューと音がする。
ぎょうざが焼ける音、この音だけで私の喉がごくりと鳴る。
 
「お待たせしました、ぎょうざ二人前です」
7個が2列ならんだ焦げ目の香ばしいぎょうざが目の前に。
手前のひとつをみそだれにつけて口の中へ。
「あつっ、うまっ!」
思わず声がもれる。
あぁ、この味だ。
 
ふと、記憶がよみがえる。
 
「ぎょうざの店 ひょうたん」
私にとってこのぎょうざの味は、青春の味だ。
 
神戸三宮、JR三ノ宮駅西口から高架下を西に徒歩5分、高架下にその店はある。
私は、高校時代、浪人時代、大学時代と、「ひょうたん」の周辺の飲食店で数年ごとに店舗を変えながらアルバイト生活を送ってきた。
決まって「ひょうたん」の近くだった。
 
高校時代にフラれた時、浪人時代に予備校をサボっていた時、大学に通わずアルバイト先に直行直帰していた時、大学を中退した時、アルバイトを辞めて就職活動をした時、そこに「ひょうたん」があった。
 
なかでも大学を中退した時は、「学歴なんて関係ない」と強がった。しかし、「もう世の中から必要とされていないのではないか」と不安になった。
「ひょうたん」でみそだれを口にしながら、どんな人生になるのだろうかとぼんやりと思っていた。
 
大学を辞めたからといって時は止まってくれない。
私は動き出した。
あるときは、居酒屋でお客さんのためにどんなサービスができるかを考え、リーダーとしてアルバイトをまとめ、店長を支えた。
あるときは、ハローワークに通って、自己分析を繰り返し、自分に何ができるのだろうかとノートに書き綴った。
あるときは、ビジネスマナーの本を読み、どうすれば社会人になれるのかを考えた。
そしてあるとき、第二新卒向けの支援サービスにより、私は社会人に
なることができた。
 
実は、1957年創業の「ひょうたん」は閉店したのだ。
2020年6月、コロナ禍に伴う緊急事態宣言による休業、そしてぎょうざを製造していた親族が病気になり、家族経営で運営が立ちゆかず、設備の老朽化もあり閉店したのだ。
 
閉店のニュースは常連客、地元の人たちは落胆した。そして、再開を望む声が多く寄せられた。地元の愛情があったのだ。
結局、店のファンでもある、飲食店経営を手掛ける大阪市の会社が「神戸からひょうたんをなくしてはいけない。店と味を守りたかった」と熱意をもって経営に参画した。
2021年2月、8か月あまりで再開に至った。
 
まさに劇的な復活劇だ。
復活した「ひょうたん」は、もともとの三宮店、元町店に加え、さんプラザ店、東山商店街店、板宿店、ミント神戸店と、2022年2月現在、神戸市内に6店舗を構えるまでに情熱が広がっている。
 
この復活劇を私が住む大阪で知った時、思わず自分に重ねてしまった。
 
私は大学を中退したからこそ、「学び」を一度辞めてしまったからこそ、ライティングを学んでいるのかもしれない。
家族の愛情に支えられ、第二新卒支援サービスによる風を送り、社会人生活を満喫できているのは、あのときの「ひょうたん」の日々があったからではないか。
ブラック企業に勤め、ダメ営業マンになりながらも、「学び」があったから、職を変え、営業マンとして結果を出せるようになったのではないか。
書籍から学び、コミュニティに参加するようになり、天狼院書店に出会えたのではないか。
「学び」への情熱があるからこそ、学べているのかもしれない。
 
私は「ひょうたん」のように、情熱が広がっているのだろうか?
ライティング課題を前にして考える。
またいつもの「ぎょうざ二人前と大ビン」が必要なようだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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