メディアグランプリ

ぽっちゃり、貧乳、デカ尻……コンプレックス女子は銭湯に行け


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:レティシア(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
■ 女性を悩ませる体型コンプレックス
 
第二次性徴を迎える思春期あたりから、大半の女子は体型を気にしはじめる。胸や尻のデカさがどうの、形がどうの。ウエストの太さも高さも、全てがコンプレックスにつながっていく。
 
貧乳族は巨乳に憧れ、日々、寄せては上げる。そもそも資本主義は「ない」より「ある」に価値を置く社会である。しかし、ない袖は振れない。ない胸は揺れない。
 
一方、揺れる胸を持つ巨乳女子たちも、ひそかにコンプレックスを抱えている。揺れるものは関心を引きやすい。猫じゃらしのように。はためく旗のように。チラ見されるたび「自分はどこか変なのではないか」と不安になる。見知らぬ男の舐めるような視線に恐怖を感じる。しかし、その悩みを友達に打ち明けると「贅沢すぎ」「は? 嫌み?」と総スカンを食らう。巨乳に猫背が多いのは、乳の重量のみならず、揺らさず目立たず生きていくためだ。
 
ブラジャーのカップ、アンダーバストのサイズ、乳輪の色や大きさ、外向きか内向きか、お椀型か釣り鐘型か、肌はきめ細やかか。乳だけでざっとこれだけの評価項目がある。エロければいいというものでもない。顔やスタイル、全体の雰囲気とマッチしているかどうかも重要なポイントだ。
 
美の基準に普遍的な「正解」があるわけではない。「平安美人」を例に出すまでもなく、時代や文化に加え、好み、というのもあるからだ。「ミロのヴィーナス」でさえ、コンプレックスを抱えていた可能性は高い。腹筋を割るためにジムに通い、外向きの乳首を気にしてサラシで寄せていたかもしれない。
 
容姿に過度の価値を置き、外見で人を判断する「ルッキズム」は差別的だとして近年批判の対象となっている。イケメンや美人が優遇される「顔採用」や、容姿による差別や偏見は、社会からなくしていく必要がある。同時に私たちは、自分の容姿を自分で評価し批判する「内なるルッキズム」にも向き合っていかなければならないのではないか。
 
なぜなら、コンプレックスは、自分自身を蝕むから。
 
■ サウナブームに乗っかれ
 
サウナが空前のブームである。多幸感に満ちた深いリラックス状態を指す「ととのう」という言葉は2021年の新語・流行語大賞にノミネートされた。サウナを扱うテレビ番組も増え、筆者のホームサウナでも若い女子たちが増えてきた。
 
体型にコンプレックスを持つ女性たちは、ぜひこのブームに乗っかり、銭湯通いを習慣化させてほしい。銭湯は、自己肯定感を高めるのに最適なスポットだから。
 
「いやいや、体型にコンプレックスがあるのに、人前で裸になれって、逆効果でしょ」
 
そう思ったあなた、まずは10回通ってみるといい。内面の変化を感じるはずだ。サウナが苦手なら、風呂に入って周りを見渡すだけでいい。
 
■ 銭湯通いで自己肯定感が高まる?
 
「物心ついてから今まで、女性の裸をどれだけ見ただろう?」
 
そう考えたとき、ほんのわずかであることに気づかないだろうか。私たちが目にしてきた女性の裸は、絵画だったり写真だったりがほとんどだ。あるいはグラビアやエロ動画。
 
つまりは「ヌード」である。見られることを前提に裸になった女たちの裸。報酬が発生する裸。光の加減や演出でステキに加工された裸。私たちの体型コンプレックスは、それらの「作品」と自分の裸を比較することで生まれてきてはいなかったか。
 
女湯は女体の見本市である。胸の形も尻の大きさも陰毛の濃さもひとりひとり違う。子どもからお年寄りまで、作り込まれていない自然な裸を目にすることができる。あちこちが垂れ、くすんだ肌が幾重ものひだを作っている年季の入った裸もあれば、健やかさがはち切れんばかりの裸もある。片方の胸がない人、大きな傷跡のある人、副乳があり合計4つの乳房を持つ人も見た。体にはその人の人生が刻まれている。
 
自分より太っている人も、痩せている人もいる。自分より胸が大きい人も、小さい人もいる。みんな違う。違うなりに、顔を上げ、裸で歩く女性たちの姿は、いずれも美しい。それぞれがその体でこれまでの人生を生きてきたのだ。
 
そう、私も。
 
■ 多様性の中で、比較を手放す
 
「多様性の尊重」は、「自分も多様な存在のひとつ」だと認識することから始まるのだろう。そして、頭で理解している「多様性」を実感し、自らをグラデーションの中に位置づけるには、一定数以上の経験値が必要だと感じる。
 
人は多様な存在だと思いながら、他人の裸が気になり、自分の裸がどう見られるかを気にするのは、「なんらかの基準」で人を評価し、評価されるものだと思っているからだ。
 
「なんや、みんな乳離れてるやん」
 
とホッとしたり、いずれ尻は垂れ、乳はしぼむという諸行無常に心が乱れるのは初めのうちだけ。どんな体型であれ堂々としている方がかっこいいと思えてくる。タオルなしで歩いてみると、他人はそれほど自分に注目していないことに気づく。多種多様な女たちの裸を見飽きた頃、自分の裸も「女の裸」のひとつになっている。体型コンプレックスが湯煙の中に消えていく。
 
コンプレックスは比較から生まれる。比較を手放すための第一歩は「ただ、ありのままに、ある」ことだ。裸の自分で立つことだ。
 
みんな違って、みんないい。もちろん、私も。
 
それを実感できる場所、銭湯にようこそ。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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