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ドライマンゴーをしまいっぱなしにしている人が知らない おいしい食べ方


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記事:飯塚 真由美(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
お土産でもらったドライマンゴー、どこかにしまったままにしていないだろうか?
 
薄いパックに入ったドライマンゴー。
「セブ島に行って来ました」なんて、東南アジアの旅のお土産にもらったことがあるであろう、アレ。
 
お土産を買う側からすると、都合の良いお土産。
かさばらなくて軽い。バラマキ土産にしてはちょっと高いけど。
自分も食べた事が無い、やたらと甘そうな現地のお菓子をお土産にして失敗するのは避けたい。
その点ドライマンゴーは、留学先で出会った日本人みたいな存在だ。マンゴーの味を知っているので、安心感がある。
 
ドライマンゴーをドライのまま食べるのはあまり好きではない。
残業が続いていた時、お土産でもらったドライマンゴーを引き出しから取り出して食べてみた。
甘い物でも食べて頑張ろうという気持ちだったのだ。
凝縮された甘さはこちらの要求レベルをはるかに超えていて、少しかじって食べるのを止めた。
 
こうしてお土産にドライマンゴーをもらうたびに、未開封のままキッチンの棚に押し込み、あることも忘れてしまっていた。
出番の無いドライマンゴーは、年末の大掃除のたびに「発掘」された。
そこそこ高い物をもらった事も知っているので、捨てるのも勿体ない。
見て見ぬふりをしてそっと元の場所に戻す。なぜか、組織ぐるみで隠ぺい工作を図っている一員になったような罪悪感が漂う。取っておいても恐らくこの先も食べることは無いからだ。
 
電話の向こうの母が、ヨーグルトにドライマンゴーを浸けて柔らかくして食べるとおいしい、と力説した。そうか、柔らかいっていいな。
ドライマンゴーを消費するチャンスと、がさがさと棚を探し、晴れやかな気分で袋を引っ張り出す。隠ぺい工作からは足を洗ったのだ。朝日もまぶしく感じた。
 
しかし、大いなる期待に反して結果はいまひとつ。
楽しみに食べた1口目は、パスタを茹でる時に良しとされる「アルデンテ」だった。
アルデンテはイタリア語でal dente。Denteは歯だ。つまり「歯ごたえが残る位に」茹でましょうという目安なのだが、マンゴーがアルデンテなのは嬉しくない。
私はヨーグルトが好きで、結構なペースで食べてしまう。マンゴーに対してヨーグルトの量が足りなかったせいか、ヨーグルトの水分を長時間含ませてもマンゴーはちょっと硬かった。
こうして再び、我が家のドライマンゴーは主役を夢見る大部屋俳優のような日々に戻ってしまった。
 
ある日、煮物を作るために干し椎茸を出そうとキッチンの棚を開けた。
干し椎茸の隣にたまたま見えたのがドライマンゴーだった。
黒くて地味な椎茸に対して、真夏の太陽みたいなドライマンゴーのパッケージは目を引いた。
ふとひらめいた。
 
干し椎茸みたいに、マンゴーも水にひたして戻してみたらいいんじゃない?
 
早速試してみることにした。
ヨーグルト作戦の時にマンゴーがアルデンテだった経験から、水は多めに、ひたひたよりプラス1cmまで入れた。私だって過去から学ぶのだ。
冷蔵庫に入れて一晩置くことにする。朝が待ち遠しい。アラームを午前3時にかけて途中経過を見たいくらいだった。
 
朝になり、ドキドキしながら冷蔵庫の扉を開ける。うやうやしくマンゴーの入ったお皿を取り出し、慎重にラップを外す。
 
おおっ!!
 
たっぷり水分を含み、つやつやしたオレンジ色になったマンゴーが顔を出した。
小学生の時の友達のお姉さんに数年ぶりに会って、大人っぽくなって驚くようなものだ。しばらく見ない間に大きくなって、キレイになっちゃって。
 
さすがに生マンゴーと同じジューシーさにはならないが、もうこれ以上水分は含めません、というぷるぷるさだった。もちろん芯まで柔らかい。
ドライマンゴー特有の濃厚な甘さの中に、マンゴーが「生だった頃に持っていたかすかな酸味をそういえば思い出しました」と言っているかのような味が口の中に広がる。
 
一気に食べきった。それ位おいしかった。また明日も作ろうと決める。
ドライマンゴーをつけていた水は、おいしいシロップになっていた。ヨーグルトに混ぜて食べてみる。うん、おいしい。
 
水で戻したマンゴーをヨーグルトにかけようと思っていたが、そんな心の余裕は無くマンゴーを完食してしまった。
その後もマンゴーだけを食べきって、シロップだけが残ったお皿を見てハッとすることが続いた。魔性の女みたいな食べ物だ。
 
少しずつアレンジをしながら、連日水戻しマンゴーを作り続けた。
おすすめしたいのは、水にひたす前にドライマンゴーを一口大に切っておくこと。切ることで断面積が増え、より水分が入りやすくなる。キッチン鋏でバチバチ切ろう。食べる時もスプーンですくえて食べやすくなる。
 
見て見ぬふりまでしていたドライマンゴーをついに食べつくす日が来た。在庫ゼロだ。
ブームも終焉かと思いきや、私はドライマンゴーを探して売り場にいた。
全部のパッケージを見比べて、一番沢山入っているものを選ぶために。
 
コロナ禍が終わって自由に海外に行ける日が来たら、タイやフィリピンのスーパーでドライマンゴーを買いたい。それもお徳用パックでどっさり。
 
 
うちのドライマンゴー、どこにしまってあったっけ?
そう思って試していただけたらとても嬉しいです。
 
 
 
 
***
 
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2022-02-24 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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