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困難を突破したい、あなたへ


202*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:北見 綾乃(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「ダメだ、アイディアが全然浮かばないっ!」
 
A4のコピー用紙に殴り書きをしていたペンを放り投げた。
ここ数日の私の頭は沈黙していた。
理由はわかっている。
 
 
困った問題の解決方法。
イベントの企画コンセプト。
要求を認めてもらうためのプレゼンの流れ。
さらには、エッセイに書く内容まで。
 
ウンウンと考えても、しっくりくるものが浮かばずに、困り果てることがある。そんなとき、いつもなら、現状を打破するひらめきが生まれるのはたいてい、同じ瞬間。
 
眠りから覚めたすぐ後だ。
 
眠っている間の脳は、頼れるアドバイザー。
私がそれを感じるようになったのは、ここ1年。睡眠改善に本格的に取り組んでからだ。
 
それまでの私は常に睡眠不足に悩まされていた。
早く寝た方がいい、と頭ではわかっている。しかし、つい夜更かししてしまう。昼間には、自分のための時間がほとんどとれない。仕事を終え、家族が寝た後で、ようやく好きなことができる。そのすべてから解放されたと思える時間を、なかなか終わりにできない。あとで後悔すると分かっていながら、ただダラダラと、味のなくなったガムをひたすら噛むように、続けてしまうのだ。
 
もちろん翌朝、当時高校生だった息子の弁当を作るのに、早く起きなければならない。結局朝になって「もっと早く寝ればよかった」という後悔の渦に巻き込まれながら無理やりに起きるのだ。
 
最近になり、この行動に名前が付いていることを知った。
その名も、“リベンジ夜更かし”。
 
昼間、自分で時間をコントロールができない状況が続くことで、夜、睡眠時間を削ってまで自由時間を確保しようと、意味もなく夜更かししてしまう自傷行為のことだそうだ。まさに、私の行動そのものではないか。同じことで悩んでいるの、私だけじゃなかったんだ……!
 
酷い時には、5時間という少ない睡眠時間をめいっぱいとるために、睡眠導入剤を半錠だが飲んで寝ていた。毎朝、息子の弁当のために「5時半には起きなければならない」ということは決まっている。夜更かしをやめ、布団に入ったとたん、その起床時間のプレッシャーが襲ってくるのだ。すぐ眠れなければ焦る。焦れば眠れない。そんな悪循環だった。
 
さらに睡眠不足だと、仕事にも家庭にも影響する。仕事中眠くてどうしようもなくなり、ミスも増える。家庭でもイライラしがちになる。自己肯定感はどんどん下がっていった。
 
 
そんな状況を変えるきっかけは、2020年の秋のことだった。
その年の夏、私の所属する部署に通常の3倍以上の業務量が集中していた。できる範囲の工夫はしたものの、結局休みも夜間も関係なく仕事をするはめになってしまった。やっと一息つけたのは10月になってから。そして気が抜けたとたん、具合が悪くなり、数日間寝込むことになった。
 
体に無理をさせすぎたんだ……。ボンヤリとした頭で猛烈に反省した。
「ごめんね」
自分の身体に心底謝り、これからはとにかくちゃんと寝よう、と心に決めた。
 
それからというもの、なるべく早めに布団に入るようにした。眠る時間が充分あると思えれば焦る必要もなく、睡眠導入剤に頼る頻度を少なくすることができた。途中で何度か目は覚ますが、その後眠れなくて困る頻度はあまりないので気にしないことにした。
 
そして、このように睡眠への意識が高まった私は、世の中には心拍数や体の動きなどで睡眠の状況を計測できる機器があるということも知った。
 
私が最初に手に取ったのは“XiaomiのMi Smart Band5”。5000円以下で購入可能という、コスパの良さに惹かれた。
ただ、精度に不満を感じることがあり、現在使っているのは“Oura Ring 3(オーラリング)”という指輪型のもの。金額は安くても$299(さらに輸入時の関税で3000円ほど徴収された!)と決して安くはないが、精度が非常に高いということがウリである。本気で睡眠改善を考えている方にはこちらをおすすめしたい。
 
どちらも心拍数等を常時モニターすることで、「深い睡眠」「浅い睡眠」「レム睡眠」の3パターンがいつ、どれくらいあったかを表示し、睡眠の状態を点数化してくれる。さらに、日中の活動状況も表示されるため、いつもより活動的に過ごそうという気にもなった。
 
これらの機器を使って客観的に睡眠の状態を見てみると、まず自分の「深い睡眠」の少なさに驚愕した。機器によって結果に差はあるがどちらにしても、あまり良い睡眠状態とは言えないらしい。
 
睡眠状態を改善するため、試行錯誤の日々が始まった。
まず効果が劇的だったのは、「耳栓」をすることだった。
その次は、家族と別に、一人で眠ること。
また、お酒を断つこと。お酒を飲むと睡眠は確実に浅くなった。
 
その他、何冊かの本を調べ、良いと書かれている行動は、可能な限り全て行った。
 
朝の散歩やマインドフルネス瞑想。
寝る90分前にぬるめのお風呂に入る。
21時過ぎはスマホを見ない。
寝る前のストレッチやマッサージ、などなど……。
 
その甲斐あって、深い睡眠、レム睡眠ともに大体1~2時間程度には増え、全体でも比較的安定した7時間睡眠を手に入れた。
 
すると心身ともに調子がよくなった上に、不思議と「困難に対する突破口が寝起きにふと浮かぶ」という経験が多くなったのだ。その啓示に何度助けられただろう!
 
状況によっては難しいが、もっと以前から睡眠の優先順位を上げていればよかったと後悔している。
 
 
そして、先週。
仕事が忙しく、さらに早朝の会議が多かったこともあり、睡眠が6時間程度の日々が続いてしまった。体を動かす時間も取れなかったため、睡眠の質も悪かった。
慌ただしく過ぎていく毎日に追われ、その時は気付かなかったが、ようやくたっぷりの睡眠をとれた週末、土曜の朝にハッと気づいた。睡眠不足の間、寝起きの思い付きに助けられることが、全くなかったのだ。
 
そういえば、以前読んだ「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」という本の中で、オードリー・タン氏も「私は寝る前に、仕事に必要な資料を全て読み込み(中略)『明日起きたらこの問題の回答を得なければならない』と思って眠りにつきます。すると、翌朝目が覚めたら頭の中に回答ができあがっています」と述べている。
 
読んだ当時は正直「そんなことってある!?」と疑ってかかったが、実際に睡眠を改善してみると凡人の私にも、(小さいけれども)同様の奇跡が起きていたのだ。よく眠っている頭の中では、自分が意識している以上の脳活動がされているのかもしれない!
 
長らく睡眠弱者だった私だからこそ、今その絶大な効果を実感している。
困難を突破したいなら、まずよく眠ってみて欲しい。健康と現状を打破するひらめきを手にしよう。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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