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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:森野みどり(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「お散歩の時間だよ、ねえ、早く起きて」。毎朝わたしを起こしに来るのは、薄くブラウンがかったクリーム色の毛並みが美しいラブラドール・レトリバーである。
 
訳あって人から譲り受けたのは、彼女が5ヶ月のとき。幼犬とは言え、生後5ヶ月のレトリバーはすでに15キロほどの重さがあった。目があった瞬間、幼犬だけが持つ甘えたような瞳と見上げてくる眼差しの虜になった。
 
子どもの頃には雑種の犬を、結婚してからは小型犬を飼っていたが、大型犬とともに暮らすのは初めてのこと。しかもほとんどのスペースを人間と共有して、片時もそばを離れることがない。
 
朝起きるとまず、1時間の散歩である。寒くても雨が降っていても、きっちり1時間歩く。散歩コースはいくつかあって、その日の気分で歩き出す。雨の日にだけ着せる犬用レインコートとリード、わたしのレインコートは赤。お揃いが嬉しい雨の日だけの楽しみだ。
 
散歩の途中で会うわんちゃんたちと挨拶したり、遊んだりするのも楽しみのひとつ。飼い主同士もいつしか顔見知りになっていく。お互いの名前は知らなくても、愛犬の年齢や体調なんかは結構詳しく知っていて、愛犬のお父さん、お母さんと呼び合うのが可笑しい。犬を連れていないときに会っても〇〇君のお父さん、〇〇ちゃんのお母さんである。
 
ときどき歩道の向こうに、黄色いリボンをつけた中型犬を見かけることがある。黄色いリボンは、さまざまな事情を抱えた犬が、近づかないでそっとしておいてねと伝えるサインとのこと。ほかの犬を怖がったり、人が苦手だったり、大きな音に強く反応してしまうなど、抱える事情はさまざまなようだ。
 
たっぷりの散歩を終えたら足とお腹を拭いて、お待ちかねのごはんの時間だ。大型犬はたくさん食べるうえ、ラブラドールは食いしん坊だから、食べ過ぎには要注意。人間の食事の間はテーブルの下が定位置で、じっと見上げてくる視線を意識しながら食べるのが日常だ。
 
やわらかく煮た野菜や種を取り除いた果物なんかは、犬も一緒に楽しめるものもあるけれど、ぶどうやナッツ類は危険だからあげられない。ごめんね。大好きなチョコレートは、いつもこっそり食べることにしている。こっそりのつもりが、物音を聞きつけるのか必ず近づいてきて、結局は見守られながら食べることになるのだが。
 
一息ついたら、ブラッシングタイム。季節の変わり目には特に毛が抜けるし、ブラッシングはお互いに思う存分触れ合える時間である。同時に、身体全体を触って細かくチェックする意味もある。いつも触っていれば、ちょっとした体調の変化にも気がつきやすいのだとか。
 
寒い季節はいつも、日のあたる場所を探して日向ぼっこをするのが日課である。いつも上手に日のあたるスペースを見つけて横になっていて、家族が帰って来ると盛大にしっぽを振って出迎える。
 
全身が毛におおわれているため暑さには弱く、冷たい床や風の通り道を見つけるのが得意だ。氷をあげると大喜びで舐めている。
 
ラブラドールはもともと、漁師の手伝いをしていた犬種であるという。そのせいか暖かくなると、近くの海で遊ぶのを何よりも楽しみにしている。深いところでも楽しそうに泳ぐし、水から上がったあとの犬は本当に賢い。体をいくども震わせて、水滴を上手に弾き飛ばす。
 
存分に水遊びを楽しんだ犬との帰り道は至福である。こちらを気にしてしょっちゅう見上げてくる満ち足りた犬と一緒に、疲れてだるい足を引きずりながら帰る夏の夕暮れ。
 
いつか一緒に、雪の降る土地に行ってみたい。白くて冷たい雪を見たら、どんな反応をするだろう。はしゃいで雪の中を駆け回るだろうか。慣れない雪を嫌がって、早く帰ろうと促してくるだろうか。
 
犬は人の気持ちがわかると言う。わたしの犬もご多分にもれず、なんとなく落ち込んだ気持ちのときには、さりげなくそばに来て寄り添ってくれる。犬の身体は柔らかくて温かい。この身体を触っているだけで、小さな不安や悲しみはどこかに消え去ってしまう。
 
犬を見ていると散歩で出会う犬の、前に飼っていた犬の、いつか旅した町で出会った犬の、そして知らない国で暮らす犬たちのことをいつの間にかぼんやり考えている。
 
遠い昔からずっと人間のそばにいて、いつも助けてくれる犬たち。どんな犬も幸せに生まれて幸せに暮らし、幸せに生ききって欲しいと願っている。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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