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メディアグランプリ

パパの育児はコントだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:長谷川 博紀(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
先日、長女が四歳になった。
 
三歳から四歳の一年間の彼女の成長は目覚ましく、できるようになったことを挙げると、
 
言葉を話して意思疎通が取れるようになった
トイレを一人でできるようになった
ご飯を自分で食べられるようになった
自分で服を脱いでお風呂に入れるようになった
自分で服を選んで着るようになった
文字や数字を理解するようになった
次女の面倒を見ながら一緒に遊ぶようになった
 
今思えば、認定こども園に入園したばかりの頃は周りの子供達についていけるか心配の毎日だった。しかし、そんな親の心配を吹き飛ばすかのように長女は大きく成長してくれた。同世代のお友達と様々な体験が出来た環境のお陰だと思い、改めて長女に「頑張ったね!」と思う。
 
その一方で、自分を振り返るとどうだろうか……。
 
父親になって三年目。この一年間は、任される仕事の質や量も上がっていき、自分で作っていく仕事も増えてきた。一見すると充実した一年だったように見えるかもしれないが、残業や家に持ち帰る仕事量の増加により、一日に占める家事や育児との時間のバランスが崩れてしまった。その結果、子供たちと過ごす時間にしわ寄せがきてしまった……。
 
限られた時間のなかで子供たちは私とコミュニケーションを取ろうとしてくる。しかし、精神的に余裕のない私にとっては、オモチャを片付けないことやダラダラと食事をすること、なかなかお風呂に入ろうとしないことといったネガティブな面ばかりが目につき、子供たちをつい叱ってしまう。そのたびに反省。
 
何をイラついているんだ……。
自分に構ってほしいというアピールだということくらい分かるだろう……。
 
子供たちに対する申し訳なさもあるし、何より育児を「仕事」のように考えだしている自分がイヤだった。だからと言って、仕事の量を下げるわけにはいかない。どのように、子供たちと接していけば良いのだろうか。
 
そのような自問自答を繰り返していると、ふとテレビのお笑い番組が目に留まった。あるコンビが学校を舞台にしたコントをやっていた。全力でボケて、ツッコみ、大きな声を出すし、ステージ上を走るし転げまわる。そのコントを何気なく見続けていると、ふいに「あっ、コレだ!」と思った。謎解きゲームの答えに気が付いた時のように心がざわついた。
 
コントには「設定」がある。例えば、学校の部活動の設定であれば先生と生徒、あるいは交番での取り調べの設定であれば警察官と泥棒のようなものである。コントを見ている観客は、「設定」を受け入れたうえで、ボケによる常識からズレた言動を楽しみ、ツッコミに自身の代弁をしてもらうことで共感し笑いを作っている。「設定」がなければ、ただふざけあっているだけで、共感が得られずに大きな笑いを生むことはできない。
 
私は、子供たちと接するときにはコントのように「設定」を作ってみよう。このように考えたのだ。
 
次の休日、私は親と子という立ち位置ではなく「子供たちのお友達」という設定で接してみることにした。思うだけではなく、しゃがんで子供たちと物理的に目線を合わせることもした上で一緒に遊んでみた。まずは、かくれんぼ。長女が鬼役となり、私と次女が部屋の中で隠れるのである。
 
「い~ち、に~、さ~ん、し~、ご~、ろ~く、し~ち、は~ち、きゅ~、じゅう! もういいかい?!」
 
長女の声に「もう、いいよ!」と答える。私は「子供たちのお友達」である。長女に見つからないように、体を目一杯小さくしてカーテンの後ろに隠れている。
 
「ここだ! ……あれ、いない」
 
長女はソファの後ろや机の下などを探している。次女はその時に見つかってしまっているので二人で私を探している。「パパ、どこ~?」部屋の中なので、それほど隠れるスペースはない。徐々に二人の手が近づいている……。
 
「ここだ! あっ、み~つけたっ!!」
「あ~、みつかっちゃった」
 
ここがポイントで、オーバーにリアクションは取らないといけない。私は「子供たちのお友達」である。次は役が入れ替わり、私が鬼で、長女と次女は隠れる役である。
 
「い~ち、に~、さ~ん、し~、ご~、ろ~く、し~ち、は~ち、きゅ~、じゅう! もういいかい?!」
「もう、いいよっ!」
 
長女の元気な声を合図に鬼である私が探し始めた。ここでもポイントがある。正直二人はすぐに見つけてしまっているが、ここは見て見ぬふり。ハズレのところを「ここだ! あれ、いないなぁ」と言いながら、少しずつ二人に迫っていくのである。
 
「ここだ! あっ、み~つけたっ!!」
「みつかっちゃったか~」
 
このような感じで三ターンくらい、かくれんぼで遊んだ。少し疲れてきたな、と思っているが子供たちの体力は無尽蔵、長女は「次は、鬼ごっこしようよ!」と言ってきた。「やろう、やろう!」と二つ返事で答え、三人で鬼ごっこがスタート。家じゅう走り回って楽しかったが、唯一の「大人」であるママから怒られるまで鬼ごっこは続いた。
 
この一日をきっかけに、子供たちとの接し方が少しずつ変わっていったように思う。「設定」を用いることで自分自身の気持ちを切り替えるスイッチとなり、メリハリをつけて過ごせるようになった。親だから、という変なレッテルを持つことなく、自然に子供たちに目線を合わせることができてきた。その結果、子供たちの表情にも笑顔が増えた。また、副次的なメリットとしては、子供たちと大声を出したり走ったりと全力で遊ぶことで仕事のストレス発散にも繋がっている。
 
父親になって三年目。長女に比べるとできるようになったことは少ないが、「設定」という学びを得たことは大きかった。上手く使いこなし、子供たちとの良い時間をもっと過ごしていきたいと思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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