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神社はアミューズメントパークなのかも

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:荒川京子(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
50代ごろまでは、神社へ行こうと思ったことはなかった。
初詣も、混んでいるところは嫌いなので寄り付かない。
 
特に20代の頃は、
科学がこれだけ発達している中でこれほど非科学的なものはないし
あんな迷信をなんで今だに信じているんだろうとも思った。
いやー、あの頃は本当に若気の至りでバカだった。
 
ところが今や毎月、氏神様に参拝し、自宅に神棚もしつらえてある。
そして各地の神社に機会があれば参拝するようになった。
 
いつから考えが変わってきたか。
はっきりとしたターニングポイントは思い出せないけれど
自然科学系の研究職として仕事をするようになって
科学でわかることは森羅万象のほんのわずかなことだと実感したのが一つ。
それで科学は万能だという思い込みはなくなった。
世の中は不思議に満ちているという考えにあまり違和感がなくなった。
 
もう一つは、世界史年表などを見て
2000年も同じ国家が続いているのは日本だけだと改めて気づき、
その理由を考えて天皇を中心とした神道があったからではと思った時。
21世紀になったあたりから様々な関連本が出てきて、
徐々に「そうかも」と思うようになった。
 
さらには日本の神社の数の多さ。
コンビニの数より多いというのはよく聞く話だが
全国で8万8千社以上あり、人気のない山中のお社も誰かしらが手入れしている。
自然を敬う意識が国中隅々まで行き渡っている。
人の意識の持つパワーは深層心理学の世界ではよく知られていることだが
この意識の集積が、2000年も一つの国が続いてきた原動力ではないか。
自分も参拝することによって、そのつながりに加われたらとも思った。
 
でもそれはあくまで理屈であって、
実際に各地の神社に参拝するようになったのは
あるセミナーで、のちに神社関連の書籍を色々出すようになった
Sさんとの出会いからだった。
 
彼女は1冊目の神社関連の本を出した後
各地の神社巡りのツアーを企画して、今も多くのファンがついている。
 
私が初めて彼女のツアーに参加したのは茨城の筑波山神社の時だった。
現地で集合した時に彼女が
基本時な参拝のお作法、神社の成り立ち、主祭神のことなど
様々なことを説明してくれるのを聞いて
ほんとに自分は何も知らないということを痛感した。
 
「まずは鳥居をくぐる前に手前で脱帽して一礼してください」
そんなことしてなかった。
鳥居の前で話を聞いている間にも、
一礼せずに続々と人が鳥居を通り抜けていく。
私も昨日まではこうだったんだ。
 
「参道の真ん中は神様の通り道ですから、真ん中は避けて歩きましょう」
そうなんだ……
 
手水舎での作法はイラストが提示してあるところが多いので知ってた。
 
そして、参拝の前に、彼女が参加者の顔を見渡して
「はい、ここの神社の御祭神様はどなたでしょう」
と聞くと、誰も答えられなかった。
もちろん私も知らなかった。
 
「では神話に出てくる最初の神様はどなたでしょう」
この質問にもそんなこと聞かれたって、という顔で
みんな黙って顔を見合わせた。
 
「みなさん、こうしてわざわざお参りに来るんですから
御祭神がどなたかくらいは調べてきましょう。
誰かのお家を訪問するときに
名前も、どんな方かも知らずに行くことはないですよね?」
と言われ、確かにそうだわと思った。
 
まだまだあった。
 
「神様の御利益ってみなさん言いますけど、違います!
御利益はもともと仏教用語で
神様のお恵みは、御神徳なんです!」
そうなんだ。
 
というふうに色々学ばせていただき
今ではだいぶ身についてきたと思う。
 
で、初参加の筑波山神社参拝ツアーは実に楽しかった。
山頂が二つあり、それぞれの山頂に奥宮があって
ケーブルカーで上がた後は、山を縦走して両方の奥宮を参拝できる。
奥宮はこじんまりしたお堂で脇には社務所もあり
御朱印をその場で書いていただけた。
ちょっと傾斜の急なところもあったけれどハイキング気分でいける。
ほぼ1日がかりの参拝の旅だった。
 
その数年後には、2泊3日の伊勢神宮ツアーに参加した。
伊勢には150社以上の神社があってそれぞれがかなり離れているので
車でないと効率的に回れないしどの神社を参拝するか選択も迷う。
でも、Sさんのツアーではおさえるべきお宮をチャーターバスで回るので
その点は全てクリアできる。
そして、バスでの移動時も次に訪問するお宮について分かりやすく説明してくれる。
 
これでずいぶんそれぞれの神社について詳しく知ることができた。
 
その後は一人で初めての神社を参拝する際も、
御祭神や縁起などを調べるようになった。
 
バス会社企画の神社巡りツアーも色々あり、
コロナ禍になる直前には
バス会社のツアーで鹿島神宮等三社巡りにも行った。
 
 
生きている人が気持ちを向けることこそがその場所に力が宿る源になる
これまで絶やさず祈り続けてきた先祖たちへのお礼にもなる
そんな思いが私の神社参拝の動機になっている。
 
でも勿体ぶるのはやめよう。
やはり、参拝の動機として心知体の全てで楽しめるというのは大きい。
 
 
参拝が楽しみな神社の一つとして
自宅からも近く1日で色々な神社を巡ることができるお気に入りの場所がある。
神奈川の江ノ島神社だ。
 
ここは、三姉妹の海の神様が祀られていて
私も三姉妹の長女なのでそんな意味でも親近感を感じている。
 
島全体が神社の境内のような感じで
島の入り口には飲食店やお土産屋が立ち並び
そこを抜けると参道の階段が続く。
 
参道は幾重にも折れ曲がっていて先が見通せないのも
何度来ても飽きない理由かもしれない。
 
三姉妹の三女の辺津宮から参拝して
次女の中津宮、そして長女の奥津宮へと進むが
その道中も江ノ島大師や江ノ島展望灯台など様々な見所がある。
道中にはカフェや食事処もたくさんあって海を眺めながら休憩したりする。
 
階段が続くけど、有料のエスカレーターもあるので
階段が辛い人にも優しい。
 
奥宮を参拝した後さらに島の突端まで行くと
急な階段を下って岩場が続く海岸に出る。
 
そこには江ノ島岩屋と呼ばれる
海に侵食された150m以上続く洞窟があり
洞窟の突き当たりには龍神が祀られている。
 
帰りは岩場の突端に遊覧船の乗船場があるので
その船に乗れば、帰り道の急な階段を登らずに済むし
約10分で島の入り口まで帰ることができる。
 
つい先日も春の陽気に誘われて、楽しんで……じゃなかった
参拝してきたところだ。
 
これまでのところコロナ禍もなんとか無事に過ごせた。
世界はこれからどのように変わるか不透明だけれど
皆がこれからも平安に過ごせるよう
また各地の神社を参拝しようと思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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