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赤ちゃんの寝かしつけは、背中スイッチの発動を阻止せよ


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記事:久田 一彰(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「だめだ、何やってもなかなか寝ないよ」
泣き喚く息子を置いたまま、そっと部屋を出てきた。
 
寝かせる時間になったのに、息子は近所に聞こえてしまうんじゃないかと思うほど、大きな声で泣き続け一向に寝る気配はない。私は焦る一方で、むしろこっちの方が泣きたいくらいだ。
 
さっきから寝かせるための方法を色々試してみた。
 
トントンと体を優しく撫でる。
YouTubeで「子ども 寝かしつけ」と検索し、ホワイトノイズと呼ばれるものを流す。
これはTVの砂嵐みたいな画面が出てくる時の音だ。
友人に教えてもらった、ティッシュで顔をなでるのもやってみた。
反町 隆の『ポイズン』がいいというのも聞いたから流してみる。
少しの間泣き止んだので、「さすがは都市伝説。すげー」と思ったのも束の間で、またすぐに泣き出してしまったのだ。
 
あやすために抱っこして、「お〜よしよし」と部屋をゆっくり歩きながら回ってみる。だんだん寝てくれるが、ベッドにそっと置いた瞬間、背中の「泣きますよスイッチ」が押されたみたいに、またまた泣いてしまう。
 
もうこうなったらお手上げだ。まるで、RPGのラスボスと戦っていて、コチラの攻撃がことごとく無効化されている様なものだった。
 
とうとうたまらずに、妻に「代わってよ」とバトンタッチした。
 
するとどうだろう。数分もしないうちに静かになってきた。
ふすまがスッと開いて、「寝たよ」と部屋から妻が出てきた。
 
あれだけ私がやってもダメだったのに、この差はなんだ?
私も寝かしつけをするために苦労したのに。
やはり母親という存在は、子供にとって特別なものだろうか。
 
妻は日頃からTwitter等で子育てに関する色々な情報を収集している。
離乳食のこと、ふれあい方、接し方、子どもに関する全てのことを知っている様だ。
いや、知識とするために情報を集め続けているのだ。
 
一方私はどうだろうか?
仕事があるからと、帰ってきてからお風呂に息子と一緒に入り、寝かしつけ、休日のお散歩はしているものの、情報をあまり手に入れてはいない。
「イクメン パパ」になるためのブログ記事をいくつか読む程度で終わってしまっていた。
 
そんな時、妻が1冊の本を差し出してくれた。
それが『医者が教える赤ちゃん快眠メソッド』(森田 麻里子著 ダイヤモンド社)だ。
 
これによると寝かしつけに大事なことは、「ねんトレ」つまり寝んねのトレーニングで、中でも重要なことは、「ルーティン」なのだ。
そうか、ラグビーの五郎丸選手みたいになることなのか! となりきる事にした。
 
この日から妻と一緒に寝かしつけにチャレンジした。
 
妻があらかじめ寝るための環境を整えてくれており、買ってきた遮光カーテンを取り付ける。昼もシャッターを閉めて暗くする。ドアの隙間や窓枠の辺りから光が入ってこない様、アルミホイルで遮断する。これでお昼寝の時も明るさがかなり夜の様に演出できる。
 
何だか密室現場を作っている様だが、これがポイントなのだ。
 
部屋の室温も暑ければ冷房を入れるし、寒ければ暖房やスリーパーという着るタイプの毛布を着せる。
 
寝るまでのルーティンは、落ち着かせること。
「さあ、今からみんなで寝ますよ〜」という雰囲気を作る。
BGMはオルゴールでゆったり気分。
部屋の明かりも薄暗くして、話す声もトーンを落とす。
お気に入りの人形を手渡し、他の人形にも「おやすみなさい」と挨拶をする。
 
薄暗い部屋に入ると絵本の読み聞かせをする。
家に沢山絵本を揃えたが、今のお気に入りは4冊ある。
『もいもい どこどこ?』(いちはら じゅん ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『ノンタンボールまてまてまて』(キヨノ サチコ 偕成社)
『くっついた』(三浦 太郎 こぐま社)
『だるまさんが』(かがくい ひろし ブロンズ社)
 
これが、現在の我が家の息子を寝かしつける絵本四天王だ。
 
ただ読むだけでなく、時には息子の体に触れてあげたり、絵本の内容に沿って倒れてみたり、表情を真似したりする。
これはもう、俳優として絵本のキャラクターになりきり、演じている様なものだ。
 
絵本を読み終わると、もう1回読んで、とリクエストがあるので、アンコールに応えるべくもう一度読む。
 
いや、日によっては2回3回リクエストをもらうこともあるのだ。
長くなりすぎると気分が上がって、寝なくなってしまうので、そこそこで切り上げて仕上げに入る。
 
最終段階は、「振り返り」だ。
今日はどんなことが楽しかった? 今日何した? と話しかける。
まだ息子は2歳だから会話にはならないが、「まま~」とか「あか」とか単語は発する。
「そっか〜よかったね〜、また明日遊ぼうね」と言って部屋を出る。
 
「て」と去り際に言うので、手でちょっと触れてあげて出ていき、部屋のドアを閉める。
 
たまに泣き出すこともあるが、ここはグッと我慢だ。
後ろ髪引かれて、戻りたくなるけど、ここで入ってしまうと、今までの苦労が水の泡だ。
 
部屋に設置しているモニターカメラを通じて見守る。
しばらくコロコロ転がっているが、そのうち電池が切れた様に眠りにつく。
 
妻とダイニングで
「寝た?」
「寝たね」
とモニター越しに確認する。
 
ここまでくるともう一安心だ。
あとは息子が遊んだおもちゃを片付けて、洗濯物をまとめたり、床を拭き上げてゴミをまとめる。
 
一通り終わったら、妻に「おやすみ」と挨拶して部屋に戻る。
息子は隣の部屋で寝ている。
もう一度「おやすみ」と言う。
こうしてパパの一日が終わった。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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