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仕事で見える景色

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:bajio(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「仕事のやり方は君に任せるよ。やりたいことを思いっきりやっていいからね」
 
わたしが1人の部下へ言ったセリフ。いや、言ってしまったという方が正しいかもしれない。
 
そして、これからこの言葉に縛られることになるとは、この時は思いもしなかった。
 
それはわたしが今の営業所に着任した時のことだ。肩書きは課長。いわゆる中間管理職。
これまでの小さな営業所から移り、10人の部下を担わせてもらうことになり、緊張しながらも、意気揚々としていた。
 
前任からの引継も終わり、少し落ち着いた頃、部下の一人一人と面談をした。
その人のやっている仕事、困っていることはないか。次はどんな仕事をしたいかなどを話し合う。
 
そして、先程の言葉は、その面談でつい言ってしまった言葉だ。
 
その部下をAくんとしよう。
Aくんはわたしとそう歳は変わらない。少し年下の後輩。次は自分のような課長を目指していきたいという想いも聞き、だったら、その気持ちで思う存分やってみろと、鼓舞したつもりだった。
 
なぜなら、私自身が、Aくんの立場だったとき、その時の上司から、そう言ってもらえたから。わたしがそれを意気に感じて、仕事ができたこと。そのことで自分自身の成長に繋がった、という思いがあったから。Aくんと、その時の自分を重ね合わせたのだ。
 
「仕事のやり方は君に任せるよ。やりたいことを思いっきりやっていいからね」
 
「あ、はい、分かりました」
 
と気のない返事をするAくん。違和感を感じながらも「まあ、初めての面談だし、こんなものか」と思っていた。
 
そして、彼と付き合ううちにその違和感が何かを気づくようになる。
 
ことあるごとにAくんが私と対立するようになったのだ。
 
例えば、営業所としての方針が出る。わたしが上司からその方針を受け、それを部下に伝える。みんなを集めて、「今年度は~~~に力を入れてやっていこう」と話をすると、少し間の空いた後に「そんなことやってられないですよ」とAくんの声。
場が凍る。
それでもお構いなし。「わたしは自分でやりたいようにやりますよ」
会議がどっちらけになってしまう。
 
そんなことが度々あった。なにかと、上からの方針や営業所としてやっていこうとすることを全体に伝えるたびに、反対してくるのだ。
 
国会中継で大臣が答弁するときの野次、とまでは言わないけど、発言者としてはいつも気が気じゃない。
 
会議が終わると、Aくんと2人で話し合う。
Aくんとしては、「上から決められたことでも、やりたくないことはやりたくない」というのだ。
「確かにその気持ちは分かる。ただ、組織として決まったことはやらないと。後輩を引っ張る立場のAくんがそんなこと言ってたら身もふたもないぜ」といういかにも中間管理職らしいわたしの意見にも聞く耳は持たない。
最後には「任せると言ってくれましたよね。やりたいようにやらせてもらいます」となってしまうのだ。
 
だからと言って、Aくんは仕事をしてないのか、というとそうでもない。これまでの経験をいかし、ちゃんと数字を上げているのだ。
 
なので、わたしもAくんには強く言うことも出来ずにモヤモヤしていた。
 
そんなこんなで1年が終わる。着任して初めて終える年度は成績が良いとは言えない結果だった。
 
そして、迎える次の年度。
Aくんは個人としての活動は認められ、次のステップとして、営業所のなかで、営業担当の立場で横断的にメンバーをまとめるリーダー役に抜擢された。これまでは1人の営業担当だったのが、みんなをまとめる立場になったのだ。
 
すると、Aくんにだんだんと変化がでてきた。
これまでのようなある意味ひとりよがりの意見ではなく、みんなをどう同じ方向に導いていくか、という考えに変わってきたのだ。
 
Aくんに、最近考え方が変わってきているということについて、それとなく聞いてみた。
 
すると、これまでは営業担当の一人一人がやりたいようにやればいいと思っていたがそうではなかった。いざ自分がチームをまとめる立場になった時にその大変さが分かった、ということだった。
 
それからはチームをまとめる為にどうしたらいいかを、組織をまとめる観点で話し合えるようになったのだ。
 
そして、これまで対立していた私たち二人が同じ方向を見て仕事ができるようになると、課の中の雰囲気を良くなる。全員でやるべきことをやろうという発言が出るようになってきたのだ。結果、その年度は目標を大幅超過達成することが出来たのだ。
 
Aくんからも、「自分がチームをまとめる立場になったことで、その大変さが分かりました」とのこと。
 
『立場が人を作る』
 
よく聞く言葉だが、その立場にならないと見えてこない景色がある。
見えている景色を共有しながらみんなで仕事をしていく。そんなふうにこれからもチームで仕事をしていきたい。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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