人前で話す時、聞き手を満足させる三つのコツ
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記事:木田 和廣(ライティングゼミ・4月コース)
仕事柄、人前で話すことが多い。
ここ10年で多分150回くらい。最近増えている印象があるので、正確な数を数えてみたら2021年4月からの1年でちょうど30回、人前で話していた。といっても、このコロナ禍なのでZoomなどのオンラインで、だけれど。どんな登壇機会かといえば自社の集客ためのウェビナーや、企業向けのトレーニングの講師、比較的大規模なマーケティング系イベントなど。聞き手の数は企業向けトレーニングなどの小規模だと10人程度から、大規模イベントだと300人を超える。無料なことも多いが、聞き手がお金を払って聞いてくれることもある。
こうして書いてみると、「仕事柄、人前で話すことが多い」というのは正確じゃないな、人前で話すことが仕事、だな。話のプロ。
話す内容はマーケティング系ITツールの活用方法についてだ。例えば、「TableauでGA4を可視化すると起きる素敵なこと」、「SQLが広げる世界」、「GA4が実現するユーザー軸分析とは」など。世の中のほとんどの人にとっては全く知る必要がないけれど、特定の職種の人はどうしても学びたい。というテーマだと思う。
多くの場合、話したことの評価はアンケートという形でフィードバックされる。アンケート結果、なかでも満足度は必ずチェックしている。「とても満足した」、「満足した」という回答の割合が80%を下回ることはまずない。できの良い時は90%くらいになることもある。
今でこそ、安定して高い満足度を得られるようになったけれど、昔はそうではなかった。10年ずっと試行錯誤してここまでたどり着いたと言って良いと思う。人前で話すのは事前の準備に時間がかかったり、人によっては当日話す時に緊張したり、登壇後辛口のフィードバックを貰ったりして大変なことも多い。でも、やってきて良かったと思う。なので、わたしなりに、人前で話すってこういうことだよ、話す時のコツってこの辺かもよ。ということを伝えたい。
最初に認識しておいたほうが良いと思うのは、人前で話す機会は、良かれ悪しかれ、評判の増幅機。ということだ。評判の悪い話をしてしまえばそれが、良い話をすればそれが拡大する。OIL IS MONEY(石油が通貨)、DATA IS MONEY(データが通貨)という文脈で言えば、SNS全盛の今、REPUTATION IS MONEY(評判こそが通貨)なのだ。登壇機会はその評判をプラス方向にもマイナス方向にも増幅する。
なので、イベントなどの主催者から声が掛かった場合、自分は準備ができてないなとおもったらお断りするのも一つの価値ある判断だとは思う。しくじって、悪い評判を拡大しないためだ。けれど、主催者はあなたなら話せると判断して声を掛けてきているので、全く話せないことはないと思う。だったら、覚悟を決めて引き受けたほうがいい。そしてしっかり準備して、全力で取り組めばいい。お断りするのは、時間的、体力的、心理的にどうしても準備に全力を尽くせないとき、その時だけだと思う。ちなみにわたしは登壇機会を断ったことは10年で数回しかない。
登壇を引き受けたら準備だ。いきなりパワポを開いてはいけない。まずはテキストエディタやワードにアウトラインを書き出す。その時に気をつけることが3つある。この準備で評判の良い話ができる確率は格段に高まる。
一つめは聞き手に伝えたいことを一つに絞る。ということ。自分はたくさんのことを知っているという誇示、サービス精神の発露、あるいは、話に深みがないことを自覚して、なのか例えば45分の登壇機会にいくつものテーマを盛り込んでしまう人がいる。すると、聞き手からは、まず間違いなく「何を言いたいか分からなかった」という評価をもらうことになる。
二つめは伝えたいたった一つのことを話の冒頭で「今日お話すること」、や「今日のゴール」として宣言すること。旅行で言えば目的地、登山で言えば登る山を最初に示すということだ。話の途中に伏線を張り、最後にそれらを全部回収して結論に導けば素晴らしいけれど、我々は宮部みゆきではないし、宮部みゆきであることを期待されてもいない。それに最初にゴールを示せば、聞き手の期待値の調整になる。異なる期待値を持つ聞き手はその段階で去ることができて、時間を無駄にしない。アンケートで「聞きたい話と違った」と言われるリスクも下げることができる。
三つめはその伝えたいことをストーリーとして構成する。ということ。これはなかなか難しいけれど、型を使うことでなんとかなるかもしれない。その型の一つで、一番使いやすいのは、現状→課題→解決→やり方だ。
「今、こうですよね(現状)」
「なので、こんなことに困ってますよね(課題)」
「この方法でその困りごとが解消できます(解決)」
「実現方法はこうです(やり方)」
どうでしょう、次に登壇機会が巡ってきたら、是非、トライしてみて下さい。その際、上記の三つの点に気をつけて準備してみてください。準備がしっかりしていれば、きっと聞き手の満足度の高い話ができますよ。あなたのその道のプロとしての評判もきっと高めることができますよ。
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