メディアグランプリ

10024運動と歯の正しい位置について


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田みのり(ライティング・ゼミNEO)
 
 
私は、今ある歯を死ぬまで一本も失いたくない、今ある本数を死守したいという目標にむかって、日々、歯磨きとフロスで歯間を磨くことに一生懸命取り組んでいる。
そう思うようになった理由は、母が大金をかけて保険のきかない矯正治療を受けさせてくれたから、その長きに渡る治療が辛かったから、またその治療のために一般的な人より歯が4本少なくなってしまったからだ。
小学校5年生から始まった矯正治療は、二十歳頃まで約十年間も続いた。
健康な歯を4本も抜歯することから始まり、その抜歯は今でもたまに悪夢(小学生の私が「4本では足りない! もっと歯を抜くよ!」と大きなペンチを持った先生に迫られるという夢)にうなされるほど大変だった。思春期の中学校時代に矯正器具を付けていることはとてつもなく恥ずかしかったし、それに恥ずかしいだけではなく、ワイヤーでぐいぐい引っぱられて寝ても覚めても痛いし、噛むことも苦痛で食事もままならない時期もあった。
しかし、そんな苦痛を乗り越え、母のおかげで、私はいつでも大口を開けて歯を見せて笑える、整った歯並びを手に入れることができた。
 
しかし、大学を卒業し社会に出ると、そんな母への感謝や歯の大切さなんてすっかり忘れ去って、忙しさにかまけて歯医者にちっとも通わなくなった。
30代になり、介護業界へ転職したのだが、様々な研修を受ける中で、口腔ケアに関する研修も多々あった。歯周病がもたらす病気、心筋梗塞や誤嚥性肺炎、糖尿病や骨粗しょう症とも深い関わりがある等を学ぶ中で、「8020運動(ハチマルニイマルウンドウ)」というものを知った。それは「80歳で20本の歯が残っている状態を目指しましょう」という、平成元年から厚労省と日本歯科医師会が推進しているものだった。
特養で働き始めてまだ数年というところだったが、私の体感としては、80歳で20本もの歯が残っている方なんて、ほぼ出会ったことがなかった。しかし、時代背景の違いもある。恵まれた時代に生まれた私は、十分に治療を受けることだってできるし、自分の取り組み次第で歯を守ることは可能なのだ。
そして、思った。
80歳で20本!
私はすでに4本の歯を失っており、現在24本の歯しかない。
あと、四本しか失うことができない。
いや、一本も失いたくない。
そう思い、また真面目に歯医者に通うことを決意した。
そして、30代半ばから現在まで約10年間、3か月に1回の定期検診に欠かさず通っている。
20代は歯医者へ通わなかったものの、矯正治療を受けていたときに指導されて身につけた歯磨きの技術のおかげで、30代半ばで久々に歯医者へ行ったときも、虫歯はなかったし、歯周病も心配ないとのことだった。
現在もその状態を維持できている。
 
そうやって、自分の歯と歯茎、歯磨きの技術に絶対の自信を持っている私だったが、数年前に、なにげなく見ていたテレビ番組で、「歯の正しい位置」というものを知った。
歯の正しい位置とは、口を閉じたときに、上の歯と下の歯は離れていてどこも触れ合っていない状態が正しい位置、とのことだった。
その説明を聞いて、私は衝撃を受けた。
私の口の中ではいつも、上の歯と下の歯はくっついている。
長年通った歯医者でも、現在10年近く通っている歯医者でも、「上の歯と下の歯は、離れているのが普通なんですよ」なんて教えてくれなかった。
思い返してみると、子どもの頃から私はいつも歯をかみしめていたのではないか。それが良くない癖だなんて知らなかったから、「口を閉じる=歯も上下が合わさって閉じている」のが普通だと思っていた。
歯をいつもかみしめているデメリットとして、顎関節症になる、唾液の流れが滞り虫歯や歯周病になりやすくなる、肩こりや頭痛の原因になる、などと説明されていた。
肩こり、頭痛は学生時代からの悩みだった。顎関節症は今のところ心配ないようだが、この先はわからない。
肩こりと頭痛の原因のひとつが、歯にあったなんて!
番組に登場していた歯科医師だったか歯科衛生士だったかは覚えていないが、「とにかく『歯を離す』と意識することです。家中の目につく所に、『歯を離せ』とはり紙を貼っておけばすぐ直りますよ」と真面目な顔で言っていた。
家中にそんなはり紙をするなんて。そう思った私はそれを実行しなかった。
専門家の言うことをきかなかったせいで、その癖は直すことができず現在に至る。
気がつくと、上の歯と下の歯はくっついている。緊張していたりストレスを感じているときは、やはり力が入ってかみしめてしまっている。
そして、意識して離そうとすると、舌の位置をどうしたらいいのか、上の歯と下の歯の間にどのくらい隙間を開ければいいのかわからなくなり、歯や舌をもごもごと動かして落ち着きがなくなってしまう。
ネットで調べてみたところ、歯が正しい位置にない日本人は6割ほどいる、という情報も出てきた。
思ったより、多かった。私が数年前にその番組を見てから周りに聞いてみたところ、5~6人くらいにしか聞かなかったが、私の妹以外は皆、歯はくっついていないとのことだった。
顔も体格も性格も何もかも似ていない妹と、そんなところだけ似てしまった、と二人で笑い合った。
 
今も、ふと気づくと、やはり上下の歯はくっついている。
以前よりは意識できるようになり、歯を離していられる時間は増えた。
しかし、この癖が、いつか私の歯や歯茎を蝕む日がくるかもしれない。
人生100年時代、今ある24本の歯を死守するということは、私にとっては「8020運動」ではなくて、「10024運動」ということだ。
そのためにも、「歯の正しい位置」を身につけなくてはならないと思う。
数年前、家中にはり紙はしなかったが、たしか冷蔵庫に『歯』という付箋は貼っていたはずだ。そして、それなりの効果があったはずだ。
いつの間にかどこかへ行ってしまった、『歯』という付箋を、もう一度冷蔵庫に貼ることから始めて、引き続き歯磨きとフロスで歯と歯茎の健康を守っていこうと思う。
 
みなさんの歯は、正しい位置にありますか?
 
 
 
 
***
 
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2022-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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