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ブリが一匹あったなら


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:工藤洋子(ライティングゼミ2月コース)
 
 
博多の正月は寒ブリがないと始まらない。
年の瀬になると毎年、柳橋連合市場に買い物へ出かけるのが我が家の習慣だった。父の会社の同僚に自分で魚も釣るし、捌いて調理するのも得意な方がいてその方の目利きでいつも一緒に買い物をして一匹の見事なブリを半分に分けていた。
 
冬の寒い海で適度に脂肪を蓄えた寒ブリは、それはもうご馳走としか言いようがない絶品で、毎年刺身を堪能しながら食い意地の張った私はいつも思っていたものだった。
 
「ブリが丸一匹あったら、もっと刺身が食べられるのになぁ」
 
一人っ子のくせにそんなことを考えていたなんて、強突く張りもいいところだ。今思い返すと恥ずかしくなる。祖母を入れてもたった四人家族なのだから、大きめの立派なブリならば半身で上等ではないか。
 
そして時は流れて、今は自分が台所を預かる身である。憧れのブリ丸ごと一匹、買えちゃうのだ。市場で年の瀬に出回るような立派なブリではないにしても、ハマチとは違うのだよ、ハマチとは!
 
端的に言うとハマチのデカいのがブリ、とされている。魚の名称は日本全国地方によって呼び名に大きな差があるので、呼び方が異なっていてもそこはご容赦いただきたい。
 
ブリ一匹を買ってくるのはまさにエンターテイメント!
マグロの解体ショーは個人では到底できっこないが、ブリの解体ショーなら十分可能な範囲だ。しかもどの部位を何に使おうかと思うだけでヨダレが……もとい想像力が爆発する。
 
道具としては小出刃では心許ないが、家庭用サイズの出刃包丁が一本あれば十分捌ける。そもそもサバを捌くことができればたいていの魚は捌いてしまえるものだ。ヒラメなどの平たい魚や海の底に住んでいるタイプの魚だと少し捌き方が異なるかもしれないが、基本は一緒。エイヤッと捌いて骨に身がたっぷり残ってもそこはご愛敬、家庭向けなのだからまったく問題はない。
 
捌くとこからやるのはちょっと……という人でも鮮魚店が入っているスーパーなら解体してくれるので頼んでみるといい。その時は是非「アラもください」と言ってね。
 
さて、ブリを一匹買ってきたら、何かいいことあるの?? と疑問に思っているアナタ! 魚は丸ごと買うのが一番いいんですよ。
 
まず、何と言っても安い。
この記事の写真を見て欲しい。丸ごとのブリの価格は2680円。その手前にある刺身用のパックは大きく見積もってもせいぜいブリの半身の下半分のまた半分、つまり1/8ぐらいのサイズで562円。562円を8倍するとなんと4496円にもなる。一匹買った方がかなりお得でしょう?
 
そして次に鮮度の問題がある。
魚は残念ながら肉より傷むのが早い。鮮度のいい一匹でも捌くとそこから鮮度はどんどん落ちていく。パックにしていても空気に触れてどんどん鮮度が落ちていくのだ。捌いてから食べるまでの時間は刺身で食すなら特に重要になる。
 
でもでも。いくらお得でもこんなにたくさん食べられないよ、と思う方もいるだろう。傷むのが早い魚でも工夫をすれば保存することができるので心配は要らない。
 
最初にオススメする保存方法は、「りゅうきゅう」という。
私は地元福岡を離れて今は大分に住んでいるのだが、「りゅうきゅう」とは、何のことはない、魚の醤油漬けのことだ。その調理法を伝えたのが沖縄の漁師だったからその名が付いた、などまことしやかに伝えられているが本当のところは定かでないようだ。
 
切り身の魚を適当な大きさに切り、醤油に味醂と料理酒を混ぜた調味液に付けておく。煎り胡麻と小ネギの小口切りをあしらい、上からぴったりとラップをする。ギリギリひたひたの調味液を入れるから上のもしっかりと味がしみるための落とし蓋みたいなものだ。ひと晩程度で十分に味が付くので、夜は刺身、翌日の朝はりゅうきゅうでお茶漬け、なんていうのはなかなか粋な食卓じゃないだろうか。
 
次にあげる調理法は竜田揚げだ。りゅうきゅうにするよりも大きめのしかも角切りで厚めに切ってしょうが醬油のタレに漬けておく。それだけでもりゅうきゅうと同じようにいくぶん日持ちがするし、取り出して片栗粉をつけて揚げるだけで簡単におかずが一品できてしまうのは素晴らしい。
 
しょうが醬油だと少し塩からく仕上がるため、私が普通使うのは甘酒と醤油で作った特製の万能ダレだ。これは料理研究家・白崎裕子氏のレシピで我が家では夏野菜の炒めものから竜田揚げまで幅広く活躍中の一品である。これまた目分量で生姜やニンニクのすりおろしを混ぜているのでこれに切ったブリを漬けておくだけで竜田揚げの下ごしらえは終了、おまけに麹の酵素のおかげで肉質は柔らかく旨味も増している。脂があまり乗っていない季節のブリでもとても美味しく食べることができる。
 
なぜこんなにブリ推しなのか?
肉でいいやん、肉で。子どもは肉が好きなんだから、と思われただろうか?
 
もちろん、お肉も美味しい。タンパク質も豊富で身体を作る元になるだろう。だけど、魚の方がより健康的な食材なのだ。肉の脂肪は分解が大変だけど、魚の脂肪はオメガ3といって身体の炎症を防ぎ、頭の回転もよくしてくれるスーパー食材だ、ということはご存じだろうか?
 
健康番組などでも取り上げられているから、オメガ3と言えば聞いたことがあるかもしれない。特にブリも含めて青魚には多く含まれている成分だ。ほら、魚を食べるとよいこと、たくさんあるでしょう?
 
今、魚離れが進む日本の食卓に是非魚を食べる文化を取り戻したい……そんなことを夢想しながら、隙あらばブリを一匹買ってきたいと思う、大人になっても食い意地の張った自分であった。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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