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励ますチカラ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉村 香織(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「大丈夫だよ」
何度となくこの言葉を使ってきた。それも無意識に。
コーチになるまでは。
この言葉自体が悪いと言うつもりは全くない。
よく考えていないのにも関わらず、
口からさらさらと出て行ってしまうことに危機感を覚えている。
振り返ってみると、「大丈夫だよ」なんてよく言えたなぁと思う場面でも
無意識に言ってきてしまった気がしてならない。
「大丈夫かどうかなんてあなたにわかんないじゃん。
どうして無責任にそんなこと言えるの?」
こんな鋭い矢が、びゅんと飛んできて刺さってもおかしくなかった場面は、
気づいていないものも含めたらきっと数えられないはずだ。
とにかく、やすやすと放つ安易な「大丈夫だよ」の効用のなさといったらない。
 
コーチングを学んだ直後、
それまでに自分が安易に発してきた言葉の数々を思うと
言葉を発することがとても怖くなった時期があった。
一番怖さを感じたのが励ます場面だった。
かといって、自分のコミュニケーションの現在地に落胆して歩みを止めてしまうよりは、
未来に向けて言葉のチカラをあげていくほうにエネルギーを注ぎたい。
どうにかこうにかこんなふうに捉えて、その怖さに立ち向かってきた。
今だって毎日がトレーニングだ。
 
言葉で励まされ、力が湧くこともある。
言葉に傷つき、時には憤慨することもある。
励ますチカラとは?
励ますチカラをあげるためには何が必要?
このテーマ、いつか深掘りしようと思いながらここまできたけれど、
今のわたしで向き合ってみるのが大切なんじゃないかと思いたち
今回筆をとってみた。
 
そもそもひとはなぜ励ますのか?
 
「大丈夫だよ」
無意識だろうがなんだろうが、
相手を励ましたいというきもちがあるから世に放ってきた言葉ではある。
そこには嘘偽りはなかった。
励ましたい気持ちにも色んなパターンがありそうだ。
・相手に安心してもらいたい
・落ち着いてもらいたい
・頑張ってもらいたい
・応援したい
・(落ち込んでたら) 元気だしてねと伝えたい etc
こんなにも励ましたい理由があるのに、
もし相手に伝えてきた言葉が「大丈夫だよ」の1種類だったとしたら
なんだかとても勿体ない気がしてくる。
ほんとうに、わたしの気持ち伝わってたのかな。
正直「大丈夫だよ」は使い勝手がいい。
だから、考えなくても多用してきてしまったのかもしれない。
そうしていつの間にか口癖になって、思考がSTOPしていても
簡単に口から出ていってしまうようになってしまったのかも。
じゃあ「大丈夫」を使用停止にしたらいいか?というと
そういう簡単な話ではなさそうだ。
「安心して」とか「元気だして」と、そのまま言葉で伝えたら相手に伝わるのか?
ほんとうに相手が安心できたり元気だせたりするのだろうか?
きっといつもそうとは言えない気がする。
もちろん言葉にしないよりはきっとマシだろう。
でも、言葉にして伝えたからといって、相手がその状態になれるなんて保証はない。
 
自分の弱さが露呈した苦い思い出
励ますチカラを考えるときに、チクっとした痛みを伴って思い出す出来事がある。
とあるトレーニングで落ち込んだ様子の仲間を励ましたいと思った時のことだ。
「大丈夫だよ、わたしなんてこうだったよ。あなたのほうができてたよ」
 
咄嗟に出たこの言葉は、空間にすぅっと吸収されただけで、音もなく消えていった。
この瞬間、自分の至らなさを痛烈に感じた。しまった……と思った。
それ言ってわたしはどうしたかったんだろう。
彼女はこんな気休めみたいな言葉、求めてなかっただろう。
しかも、自分を簡単におとしめてまで。
誰にもいいことがなかった関わり方だった。
そもそも彼女は励まされたいと思っていたんだろうか。
口ではすこし愚痴っぽくなってはいたけれど、それが彼女の本心だったのか。
いいや、違うような気がする。
「わたしよりあなたのほうができていた」
なんて言葉で励まされたかったわけではきっとなかったはずだ。
1oo歩譲って、彼女の方がわたしよりベターだったとしても
それは彼女のベストではなかったはずなのだ。
そうか。
彼女は自身のベストが出したかったはず。
でも、それがうまくいかなくて苦しんだ。
彼女が発した言葉そのものではなく、ここを理解して関わることができていたら、
どうなっていただろうと想像する。
 
それに、自分を比較対象として持ち出してきて
自分を相手よりも下に置くという簡易的な方法で相手を押し上げたわけだけれど、
この対応に満足するひともいれば逆に感じるひともいるだろう。
この時の励ましの言葉は、
まわりまわってわたし自身のためだったんじゃないかと
後々思うようになった。
もちろん彼女を応援していたのでそれを伝えたかったのは本当だった。
でも、自分が彼女に嫌われないために、彼女に好かれるために。
そのために、自分にベクトルが向いていたのではないか。
 
思考STOP状態で、安易に「大丈夫」と発してしまうときには
自分に向かったエネルギーがうまれている気がしてならない。
場の空気を言葉で埋めたくて(耐えられなくて)とか
相手に嫌われたくなくてとか。
そう思うと、なかなか相手には届かないはずだし、
相手もそんな変化球受け止めづらいはずだ。
ひとを応援する仕事をライフワークに選んだわたしにとって、
折に触れて思い出す苦い記憶だ。
 
励ますチカラをあげるためには?
今のわたしが考える、励ますチカラをあげるために必要なことは
・表面的な言葉にとらわれない
・相手との関係性を良くしていく
・お互いの信頼度を高めていく
・ひとの前で自信がもてる自分になる
・相手を信じて見守ることができる自分になる
という日々の努力の積み重ねだろうと感じている。
なかでも、自分の土台から見直していくこと(自信を持つ)が
手っ取り早い一番の近道じゃないかと信じている。
誰かを本気で応援したいのなら
「いつの間にかひょっこり自分ベクトルが幅を利かせてた!」なんてことがないように、
自分の状態を冷静に俯瞰して、整え、高める努力をしていく。
励ますスキル。
励ますテクニック。
こう書くと、一度身につけたら一生使えるよと主張してるようで違和感がある。
やっぱり “励ますチカラ” と呼ぶのがふさわしい気がする。
自分の状態によって、日々弱くなったり強くなったりするものだろうから。
だから、終わりが無いのだ。
「あの苦い体験があったから今のわたしがある」と胸を張って言える日がくるよう、
親として、コーチとして、今日も言葉のトレーニングを淡々と積んでいくだけだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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