メディアグランプリ

おばバカ歴11年。聴く、受け入れる、味わう、そして話す。大切なことは子供が教えてくれる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:道上 香織(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
頼もしいバディの誕生
 
「新しいバスケットボールシューズを買いたいから、一緒に行って」
 
わたしには11歳の甥っ子がいる、妹の子だ。
生まれた時から、パパ、ママの次に一緒の時間を過ごしていると思う。
自称おばバカ日本代表。可愛くて仕方ない。なんでも許しちゃう。もしオバばか世界選手権なるものがあったら、金メダルを取れる自信がある。
よく懐いてくれていて、小さい時から身体を動かすときはトレーナーであるわたしと一緒にやるって言って、運動会の前はかけっこの、縄跳びのテストに向けての練習もした。体操教室やスイミングの検定の時は見学に来てねって言ってくれるから、行かせてもらい可愛く頑張る姿を見守っていた。
その甥っ子が4年生からバスケットボールを始めた。
自分で選んで決めてきた。
妹も小学生の時はミニバスをやっていたし、パパの友達のカッコいいアーティストのお兄さんたちがバスケットボールをやっていて、影響されたかもしれない。
今までは親のすすめでやっていたお稽古事、今回は自分でやると決めてきた。
 
そして一年経ち、5年生の夏。
少しわたしの話になるが、8月最後の週にフィットネスのオンラインライブをやる事になった。
大手媒体主催のイベントで、1レッスンを受け持つことになった。
ライブ配信にあたり、設備の整った事務局が用意している場所を使う選択肢があったが、場所は渋谷。
当時は緊急事態宣言下で都内に出向くことがなかったので、地元から配信する事にした。
しかし、一人でオンライン配信を行うには、トラブルが起きた場合のリスクが高いため、妹と甥っ子が裏方として手伝いに来てくれた。
以前インスタライブ や動画編集を手伝ってくれたこともあり、機械系は案外こちらよりも詳しかったりする。
と、言うものの、今回はいつも以上に真剣なライブ。画面の向こうには最大100名の方が待っている。
物音をたてたりせずに1時間我慢できるかと心配したが、「大丈夫。絶対喋らないし、与えられた仕事をしっかりやり遂げる」と、きっぱりと宣言した彼を信じライブに臨んだ。
結果は、大成功。
カメラの設置、ライティング、マイクのテスト、ライブ中はカンペを出してくれたり、タイムキーパーもしてくれたり、心強く頼もしい助っ人だった。
いや、助っ人となどと言ってはいけない、バディだ。
バディは夕方の5時の設営からから夜9時にライブが終わるまで4時間も働いてくれた。わたしは雇い側としてその労力に対して、しっかりとアルバイト代を支払った。
 

聴く、受け入れる、味わう、そして話す
 
そして9月のとある日、夏のアルバイト代と自分のお小遣いを握りしめて、新しいバスケットボールシューズを買いに行った。
予算に限りがあることと、チームメイトとは被りたくないと言う条件から自分が納得するものを選ぶ真剣勝負が始まった。
 
甥っ子が一番はじめに手に取ったのは、有名なバスケットボールプレイヤーのシグネーチャーモデルで、それは大人用。
機能的にも優れた商品で、デザインもかっこいい。
履いた感じも良いらしい。
でも、わたしが良いなと思ったのは、ヤングアスリート向けで、現在の彼に適したシューズ。
今までだったら、説き伏せてこちらの推しを買うパターンだったが、今回は自分で決めるがテーマ。
彼の推しの言い分を聴いて、受け入れて、自分も同じ体験をしてみた。
そうしたら、「ヤングアスリートのシューズは甲の部分があたって痛いんだ」って問題が見えてきた。なので、そこからはその問題を解決する方法を一緒に考えることにした。
時に少し離れたところから見たりして、俯瞰てやつ。
 
お店の方はそのやりとりを温かく見守ってくれていて、何人かが声をかけてくれる。
一人のお客様として、対応してくれている。
背の高いお兄さんは、身体を屈めて、「自分もバスケットボールをしていたんだよ、こういうやり方もあるよ」って対応してくれている。
そこにいるみんなが彼の悩みを味わって、体験して解決しようとしている。
なんとも初めて味わう感覚で時間が進んでいく。
ふいに、わたしの母性がぶわーっと崩壊した。胸が熱くなる。なんなら泣きそう。
今まで可愛いと思っていた甥っ子が、ライブで成長している姿がそこにある。
真剣な横顔に小さい時の面影が重なる、また泣きそう。
はじめてのおつかいのエンディングテーマが頭の中を流れてきた。
 
1時間後の彼が選んだのは、ヤングアスリート向けのシューズだった。
気になっていた甲の問題を解決してくれる策が納得できたから。
わたしも納得、周りで見守ってくれたみなさんも納得。
ものすごく満足気にレジに向かう姿がとっても眩しかった。
 
それから、半年後。
その時に買ったシューズはまだ大切に履いている。6年生になって背番号7を付けた先日の試合では見事な3ポイントシュートを決めていた。
そして、おばはまたいつの日か訪れる一緒に問題を味わって解決できる日を心待ちにしている。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-04 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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