避けていたチーズ本を買ってしまった男の末路
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記事:村人F(ライティング・ゼミNEO)
ずっと避けていた本がある。
『図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業』だ。
本作はワインに合うチーズを紹介してくれる初心者向けの解説本である。
「ハード」や「白カビ」などの言葉の意味から「濃いめの赤ワインにはエポワス」といった具合にオススメの組み合わせを教えてくれる。
ただのチーズ本なのに、何を恐れているのかと思われたかもしれない。
しかし、私には前科があった。
本シリーズの前作『図解 ワイン一年生』でワインを紹介されたときは、グラス1杯4000円の代物に手を出すほどハマってしまった。
そのせいで貯金のほとんどを溶かしたほどだった。
ならば通勤圏内に本格的なチーズ専門店がある今この本に手を出したらどうなるか?
火を見るより明らかだった。
だから読まないようにしていたのである。
だが、つい気の迷いから購入し職場にて3周目の読了をしてしまった。
この末路が帰宅時のエコバッグに入っていた。
「ボフォールAOCエテ」
「タレッジョDOP BRUSATI」
「オールドローラ」
「コンテAOCエクストラ」
やはり聞き馴染みのない単語だらけになってしまった。
値段は4種で合計500g程度しか買っていないのに樋口さん超えだ。
普段のベビーチーズとは桁が違う。
やはり本書に手を出すべきではなかった。
しかし買ってしまったものは仕方がない。
美味しくいただくべきである。
だから昨日から飲んでいた京都の白ワインと合わせることにした。
選んだチーズは「オールドローラ」。
店によると日本初上陸の一品らしい。
確かに検索しても出てこなかった。
羊乳から作ったオランダ産のハードチーズとのことで、確かに結構な硬さである。
包丁で切ったときの感触はノコギリでギコギコやっているようだったから。
とりあえず10円玉サイズで何切れか削り出した。
そして実食してみる。
瞬間、羊が口の中でタックルしてきた。
濃厚なのである。
ほんのちょっとしかないのに、旨味がいっぱい広がってきた。
その強さは裂いて食べるチーズを裂かずに噛じりついたときを超えていた。
実際「オールドローラ」を食べた後に試してみたら、全然味を感じなかったから間違いない。
それくらいの濃さだったのである。
そしてチーズとワインを合わせてみる。
ワイン単独で飲んだときは一晩経っていたせいか酸味が強くなっていた。
しかしチーズの旨味が残っている段階で飲んでみると、なんということだろう。
昨日飲んだとき以上に京都らしさを感じるおしとやかな味に変貌していた。
まさかワインもチーズで機嫌がよくなったのかと思うほどだった。
ああ、これがマリアージュ。
食べ物との組み合わせによりワイン自体の味が変わる、ビールと唐揚げとは別次元の化学反応。
高級チーズのおかげで、久々にこの体験を味わうことができた。
もう高金を払った後悔など微塵もない。
本当に買ってよかった。
こうして本書のせいで案の定ハマったわけだが、改めて考えるとチーズほどコスパのよい高級食品はないかもしれない。
なんせ身体が量を求めないのだ。
旨味が強いから、大体30g食べた頃には「今日もありがとうございました」という流れになる。
だから1食あたりの計算をすると、だいぶお手軽なのである。
100g1000円のチーズならば300円程度だ。
牛丼より安い!
ワイン1杯4000円と比べたら、ずいぶんリーズナブルである。
しかも保存が効く。
流石に鮮度命のモッツァレラは無理だが、それ以外のチーズは開封から2週間は持つ。
だから長い間、楽しみ続けることができるのである。
その上カルシウムいっぱいの乳製品だから健康にもいい!
なんということだろう!
世の美味しいものが身体に負担をかけるものばかりだというのに!
もう食うべきご馳走はステーキではない! チーズだ!
このように買ってからまだ2週間も経っていないが、すっかり虜になってしまった。
ひょっとしたら高級食品が持つ力はこれなのかもしれない。
たった一切れ口にしただけで人生観をひっくり返す。
これほどの旨味を有しているから世界中で求められる存在になったのである。
そしてチーズはその最も手軽な代表例だ。
調理はほぼ必要ない。
切るだけで幸せが待っている。
こんな素敵な食べ物が他にあるだろうか!
ぜひ皆様にもこの世界を体感してもらいたい。
そして、案内役として『図解 ワイン一年生 2時間目 チーズの授業』は最高だ。
本書が導いたチーズに囲まれた末路は「生きていてよかった」と心の底から思わせてくれることだろう。
***
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