メディアグランプリ

私の趣味は火中の栗拾い「対立からはじまる最高のチームの創り方」

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記事:佐竹宏範(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
私は、火中の栗が大好きだ。
会社で働いていると、必ず対立がある。
営業部門とオペレーション部門、新規事業と既存事業、部門横断のプロジェクト、社外のプロジェクト……。
私はいろいろな会社で働いた経験があるが、このようなときに対立がないことはない。必ず対立していて、炎上している。そういったところに関わって行くのが大好きだ。
まさに、火中の栗を拾う。これが私の趣味だ。
 
ある、スタートアップ企業でのお話。
「またクレーム! 改善する気はあるんですか? もう、あなたが謝って来てください! そもそも、お客様からの要望が全然反映されていない。もうこんなサービスやってられない!」
カスタマーサービス部門の責任者が、突然叫び出した。物流部門の責任者を叱責しているようだ。
この会社は、オフィス向けに定期的に食品を届けるサービスを行っている。当時は、サービス開始から約2年が経ち、各種メディアにも取り上げられ、ようやくお客様も増えて来た頃だった。一方で、サービス提供の体制はまだまだ整っておらず、ミスが頻発して、お客様からおしかりを受けることも多い。クレーム対応はカスタマーサービス部門が行っている。カスタマーサービス部門は、顧客満足向上と継続率アップの責任を負っている。しかし、クレームが多いことから毎日はクレーム処理に追われている。また、サービスは不完全なので、お客様からの要望も多く、そのなかで解約につながるようなものもある。
そのようななか、またミスが起こり、お客様からのクレームが発生した。今週に入って4件目のクレームである。そこで、カスタマーサービス部門の責任者の堪忍袋の緒が切れた。
それに対して、物流部門の責任者は応戦した。
「それがあなたの仕事でしょ! お客様の言うことをすべてハイハイ聴いてくるのがカスタマーサービスの仕事ではない! いまできるなかでお客様に満足してもらうようにできないの? すべてやることはできないよ。優先順位をつけてやっているんだから!」
物流部門は、お客様先への配送を担当している。実際に配送は外部の協力会社に委託している。最近ようやく外部の協力会社を見つけることができ、それまでは自分たちでやっていた配送業務を、ようやく外部委託できるようになった。とはいえ、その業務構築はまだまだで、最近急にお客様が増えて来ているなかで、在庫管理から配送管理などに手が回らず業務は多忙を極めている。
「お前が悪い」と、言い争う2人。
さあ、どうしよう?
これが私の大好物。美味しそうな火中の栗だ。
もちろん、拾った。
 
ひとまず、お互いから話を聴いた。
双方とも、これまでたまっていた鬱憤を吐き出すかのように話してくれた。
とにかくわかったのは、双方とも一生懸命がんばっていること。
そして、このサービスが大好きで、とても可能性があるサービスだと思っていること。
 
そこで、まずはカスタマーサービス部門に「困っていることリスト100」を作ってもらった。これだけで、責任者は「私の話をこんなに聴いてもらえるの、初めてです」と泣いていた。そのリストを、物流部門とカスタマーサービス部門で毎週見ながら、なにからやるとよいか、どこまで進んだかを打ち合わせる会議を設定した。
それが進んできたら、次は配送会社との月次の打ち合わせにカスタマーサービス部門も同席してもらうようにした。実際に配送している方とカスタマーサービス部門の間で、「お客様はこんなことを望んでいます」「なるほど、だったら僕たちはこうするよ」とか「これ、こんな風にしているんだけど、ここが難しくて」「そこについては、そこまで気にしなくていいですよ」とか、お互いに何が大変で、どうすればよいかを話し合って解決していくようになった。
その後、「アジェンダなくだらだら話す会」という打ち合わせを、カスタマーサービスや物流部門だけでなく、他の部門も交えて週1回30分とるようにした。誰かが「こんな悩みがあるんです」から話はじめると、「だったら私こうできる」「こうしたらいいかも」といった話が、みんなから自然に出るようになった。
すると、大きな変化が起きた。
これまでは「カスタマーサービスとしては」「物流としては」といった話し方で、相手を攻撃するような話し合いだった。それが「このサービスとしてはこうあったほうがいい」「だったら私の部門はこんなことができる」といったセリフに変わった。これは大きな変化だ。
 
「相手の立場に立ってお互いのことを理解する」
口で言うのは簡単だが、実際にやるのはなかなか難しい。このようなプロセスを踏んで、私はこのチームの火消しをして、本当のチームにすることができた。
 
では、なぜ、この会社ではこのようにうまくいったのか?
それは、対立するくらいに真剣だったからだ。
みなさんは、健全な対立をしているだろうか?
ここまで真剣に対立することは、なかなかないのではないだろうか。
これが、私が火中の栗が大好きな理由である。
こんなに対立するくらい真剣なことは、実はとても幸せなことだ。
対立するくらい真剣であれば、お互いの言い分がある。お互いの言い分さえわかりあうことができれば、元々熱量のある人たちだ。最高のチームを創ることができ、仕事はとても楽しくなる。
 
最高のチームは、火中の栗のなかから生まれる。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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