メディアグランプリ

命、輝くとき


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:菅沼 日菜子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
突然だが、あなたの命は今、輝いているだろうか?
 
「命が輝く? 突然何を言い出すんだ」
まるで、そんな声が画面越しから聞こえてきそうだ。
きっと、わけのわからないことを言っていると思う人もいるだろう。それもそうだ。
 
「命」というものは、この世に生まれた時から備わっている、一種の概念。
「輝く」という動詞は、たとえば電球や星など、自ら光を発しているものに対して使う言葉。
「命」という目に見えない概念に対して、「輝く」という動詞はあまりにも不自然だ。
 
しかし、私ははっきりと断言したい。
「命を輝かせて生きること」
これこそが、人生の醍醐味である。
 
言葉というのは、音楽や絵画と違い、受け取り手の捉え方に大きな差が生じない表現方法だ。それゆえ、言葉でなにか物事を断定するということはリスクを侵すことでもある。
たとえばその答えが間違っていた時、読み手から反論の嵐を浴びるというリスクだ。
そのため、物事を断定する時は慎重にならねばならないし、そのテーマについては、何を言われても弁明できるほどの知識を、あらかじめ用意しておかねばならないと思う。
 
だが、「人生」というテーマについてはどうだろうか。
私は、これほどまでに「正解のないテーマ」はないと思う。それゆえ、たとえ読み手のあなたの答えと異なっていたとしても、おそらく反論の嵐を浴びることはないのだと思う。
この記事では、そんな「正解のないテーマ」を扱わせていただくことに甘えさせてもらい、あえてはっきりと断言したい。
 
「命を輝かせて生きること」
これこそが、人生の醍醐味である。
 
なぜそこまではっきりと断言できるのか?それは、私の体験からくる「確信」があるからだ。
ここからは私個人の話で大変恐縮だが、私の体験をお話させていただきたい。
きっと読み手のあなたにも同じような経験があるのではと思うし、共感してくれるものと信じている。少し、お付き合いいただければ幸いだ。
 
23歳の私は、モヤモヤの中にいた。
家からドアtoドアで20分という好立地、残業0、土日休み、有給もしっかり取れる。そんな超ホワイト企業に勤めていた私は、それはもう幸せに働いていた。
人間関係も良好で、会社の事業内容も心から素晴らしいものだった。そんな大好きな会社に対して、「貢献したい」と思う気持ちが芽生えてくるのは自然なことだった。
 
自然な貢献の気持ちで働いていた中、ひとつだけ疑問に思っていたことがある。
それは、一緒に働いている同僚の疲れた顔がきっかけだった。
「同じ仕事をしているはずなのに、なぜみんなは私と同じような幸せを感じていないんだろう?」
そんな疑問が湧いてきたのだった。
 
それから、私の「答えのない答え探し」が始まった。
「私の感じている幸せと、みんなの感じる幸せは違うみたいだ」
「人は、どうしたら幸せになるんだろう?」
そんな究極の問いに向き合わされた23歳の私は、考えれば考えるほど迷宮入りしてしまい、行き着いた答えは、「今の私には、誰かを幸せにする力が足りていない」という無力感だった。
 
「今のままではダメだ」
そんな不安ともいえる焦燥感にかき立てられた私は、先立つものもないまま会社を辞めた。まるで、木製のオールだけを携えた小舟に乗り、大海に乗り出したような気持ちだった。
 
その後、すぐに転職する気にもなれなかった私が向かった先は、東南アジアの国、タイだった。アユタヤという世界遺産にもなっている遺跡都市に位置する孤児院併設の学校でボランティアをしていた私は、強烈な原体験を得ることとなった。
太陽とともに起きる朝、水しか出ないシャワー、純粋でしかない子どもたちの笑顔。
そんな「純粋さ」だけに囲まれた空間で、「人間としての幸せ」を体感したのだ。
この時の体感は、今でも忘れられない。
「この感覚で生きたいんだ!」
私の命が輝いた瞬間だった。
 
帰国後、私は大手営業会社で働いていた。
タイでの暮らしから一転、日本に帰ってきた私を襲ったのは、「社会の波」だった。
東京という流れの早い街で暮らしていた私は、いつの間にか、以前の私に戻っていた。
営業会社でそこそこやりがいを感じつつも、なんだか満たされない日々を送っていたのだ。
それは、まるで自分が鎧を被って生きているような、重たい膜に包まれて生きているかのような日々だった。
 
「私はなんのために生きているんだろう」
生きる意味を見失いかけたその時、私の心を思い起こさせてくれたのは、あのタイでの体感だった。
 
「私がやりたいことは、売上をあげることでも、目標を達成することでもない。人が本当に幸せを感じること。『生きててよかった』と実感すること。命が輝くことをやりたいんだ」
 
自分にとっての原点を思い出した私は、大手営業会社の看板を降ろし、また大海へと船出した。今度の船は、以前のようなオールだけではない。風に向かうように、ピンと帆が張られているのだ。
 
その後も紆余曲折を経て、私は今、「人の人生を輝かせるサポート」を仕事にしている。
23歳の私が探していた答えに辿り着く道のりの、第一歩を踏み出した。
 
私の命は、今、輝き始めた。
あなたの命は今、輝いているだろうか?
 
 
 
 
***
 
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2022-05-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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