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ドラマティックじゃないコロナとコロナスティグマ


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記事:あきやましずえ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
2022年2月、久しぶりに出会っただれかに
「実はコロナにかかってしまって」
と言われても、私はまったく驚かなくなった。
 
 
2022年に年号がかわったころは、
まだコロナにかかったという人は身近にいなかった。
 
前年の春からほとんどリモート業務になっていた会社員のむすめが、
お正月明けに久しぶりに出社した。
そのむすめが濃厚接触者になるという事件があった。
職場の隣の席の人と年始のあいさつをかわした。
その隣の席の人が3日後にコロナ発症〜入院されたらしい。
会社からむすめが「濃厚接触者」にあたるこという連絡があり、
即日PCR検査を受けるようにと。
 
その頃の私には「濃厚接触者」という言葉がずいぶん重く感じられた。
検査結果はさいわい陰性だったが、結果が出るまで相当ヤキモキした。
 
 
ところが今や、どうだろう?
自分のコロナに対する感じ方の急変はどうしたことか。
 
 
実は
「私、コロナにかかってしまって」側にいってきたから。
 
 
それは、1月後半の日曜日の朝。
私はやけに頭が重く熱っぽいのを発見する。
午後から熱がどんどん上がって38度をかるくこえた。
そんな高熱はほとんど経験がない。
その日は、就寝前に解熱剤をのみ大いに汗をかき、翌朝は少しマシな気分で目覚める。
熱も36度台に落ち着いた。
 
これで良くなっていくのがいつもの風邪引きのパターンなので、
お気楽にしていたところ、なんと午後になってまた熱が上がってきた。
 
また、38度台?おっかしいなぁ。熱、ツライやん。
そう思う端からノドがイガイガ、その上セキが出始めたのである。
なにこれ?も〜しんどい。ベッドから起き上がりたくない。
「でも、ノドにきてからのセキって??」
それから1、2時間、私は
「もしかしたら、コロナ!? いや、そりゃないよ」
と根拠のない問答を心の中でくりかえした。
そして、
「このまま放っておくより、検査を受けてちゃんと『コロナ陰性』と証明してもらおう」
と決心した。
 
すぐに、最寄りのコロナ対策病院に電話をすると、抗原検査はいつでもできるらしい。
電話で言われたとおり、裏口に駐車したまま待機していると、
使い捨て装束に身を固めた女性がやってきた。
私が開けた車の窓から彼女は小さなビニールブクロを差し出して、
「事務の者です。ここに健康保険証をいれてください」
ときたものだ。
おー、コロナ対策、コロナ対策、と感動する自分。
 
そのあと、これまたもっと重装備な使い捨て装束の看護師さんが現れ、私の鼻に……。
 
「結果が出るまでしばらくお待ちくださいね」
と言われて数分。さきほどの看護師さんが再登場。
ふたたび窓を開けた私に看護師さんがおっしゃった。
 
 
「プラスです。」
 
 
「はい? (え? なんですと!?←心の声)」
 
私が内心うろたえているのに比べ看護師さんの冷静なことよ。
「このままご自宅に帰っていただいて、保健所からの連絡を待ってくださいね」
と優しく言われ、熱っぽい頭でさらに呆然として家に直帰した。
 
 
年末年始には、町に大量に人が出ていた。
そして1月の中旬、連休あたりからコロナ感染者が一気に増えた。
当たり前だ、あんなにたくさんの人が町にいたのだから。
そして娘の「濃厚接触者」騒ぎがあった。
 
確実に身近に忍び寄っていたコロナ。
こんなに身近にならなくても良かったのに。
どんなに「コロナ患者激増!」と報道されていても、
全く自分ごとになっていなかったのを罹患してようやく実感した。
 
どこの保健所もコロナ患者の急増で対応におおわらわだった時期である。
担当保健所からの電話は、その夜7時をすぎてからようやくかかってきた。
電話の声は、もうなんだか疲れ切った感じの男性だった。
だんだんと申し訳ない気分になっていく自分。
 
スピード違反でキップをきられたむすめを慰めていたら、すいていた高速道路を飛ばしすぎて一発免停くらった気分である。
 
「コロナにかかる」というのは、こんな感じでけっこうな罪悪感がついてくるのだな。
 
 
その後は、「厚生労働省」から体温体調をリポートするためのSNSが毎日携帯に届く。
「陽性者との接触結果」アプリにも登録。
こういうこと、高齢者の独り住まいだとたいへんだろうな。
スマホじゃない人にはひとりずつ電話するのかな、保健所はたいへんだ。
 
聞けば、自宅療養者には無料で1週間分の救援物資(食料+生活必需品)または昼夜のお弁当宅配をお願いできるのだそうだ。
それをお願いしたら、このなんとなくの罪悪感がさらにレベルアップしそうで、
申し訳なくて頼めなかった。
 
物資はギリギリ夫が調達してきてくれた。
 
当然の成り行きながら、同居の夫は私の症状に遅れること3日できっちりコロナ発症。
これまた、私はとても申し訳ない気分にさせられた。
「感染してつらかったカワイソウなわたし」
などという感覚では全くなく、
「コロナに感染してしもた」
「(夫に)うつしてもた」
という負の感情が先行していた。
 
病状は、最初の2日ほど呼吸困難になりそうな咳がでた。
熱は3日目には下がっていき、4、5日目から全身状態が楽になっていった。
10日間は家から全く出ず、私は自宅療養を終えた。
 
 
それから3ヶ月経ち、遅めの3回目のワクチン接種を終えた。
 
いまだに私は、家族以外にコロナ感染したことを話せないでいる。
どのような反応が返ってくるかが、ちょっと怖いのである。
 
この程度のスティグマ(stigma:罪悪感)であればまだよい。
極端にネガティブなイメージを持たれることを恐れるあまり、
検査をうけずに重症化する、
批判をおそれて必要以上に自分を隔離してしまい、孤独になってしまう、
というような状況をつくりだしてしまうと大変である。
 
コロナとの共存も長丁場だ。
 
「コロナ感染はあなたのせいではない」
「私たちはみんなでコロナが存在する世界に生きている」
そこを忘れずに、一人で後ろ向きになって暗くならないで。
なるべくストレスをふやさないように暮らしていこうではないか。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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