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夜型人間は、こうして朝型になった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:赤嶺里美(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
遠くで目覚ましがなっているのが聞こえる。朝6時だ。
 
「ぬ……」
 
布団の中でもそもそと動くと、横になったまま、傍で爆睡する2匹の猫の横に、ずるずると移動する。猫の腹に顔を埋め、数分間、動きを止めた後、ゆっくりと起き上がった。
6時10分である。
これから、仕事を始めるまでの約4時間、素敵な朝の時間が始まるのだ。
昔は、早起きなんて考えられなかったなぁ、としみじみと呟く。
もともと、筋金入りの夜型だった。それが、試行錯誤を繰り返して、ついに朝型にシフトした結果、朝の黄金タイムを手に入れたのだった。
 
 
「鉄人」と言うのは、初めて就職した会社で、同期から名付けられた異名である。新人研修の最終日、皆で徹夜して課題を仕上げていた際、黙々とパソコンに向かう私は、同期曰く「夜中、いつ見ても、起きていた」らしく、「鉄人」の異名を賜った。
夜には強いし、徹夜はそれほど辛くない。一方で朝はめっぽう弱く、子供の頃から寝ぼすけだった。自分はまごうかたなき夜型で、朝早く起きるなど滅相もない、と30年以上、信じてきたのである。
 
 
きっかけは、柄にも合わず英語の勉強を始めたことだった。
久々に会った同期が、厳しい目の英語塾に入ったと聞いたのである。彼は外資系の会社に転職しており、いよいよ英語から逃げられなくなったらしい。
「その塾、良いの?」
「良いよ。大変だけど」
「え、私もやる……!」
自分はドメスティックな会社に転職しており、1ミリも英語を必要としない身だったが、新しいことを始めた友人につられ、なんだか勢いで申し込んでしまったのである。
 
当然の如く、始まってから慌てた。
かなりの宿題が出るのである。
土日だけでは当然間に合わず、平日に時間を取らなければこなせない。
 
仕方ない、と1日にやる範囲を決め、家に帰ってから机に向かうことにしたが、このやり方は1日で破綻した。
2秒でわかることだが、夜まで仕事をした段階で、脳みそはくたびれ果てているのだ。重い身体を引きずって帰宅した時には、心身ともに使い物にならず、できることは夕飯を食べることと、マンガを読むことくらいである。
 
やばい。朝だ。朝を使うしかない……。
 
こうして私は、生まれて初めて、朝の時間と向き合い始めたのだった。
 
 
翌日、目覚ましをしつこくセットして、なんとか起きる。実際は布団の中でのたうつ時間があり、6時の予定が既に6時半である。6時半でも、私にとっては快挙と言いたい。
服を着替え、支度をしてから、机に向かう。
が、このやり方もイマイチ効率が悪いことに気がついた。8時半に家を出るまで、1時間半は時間があるはずだが、後半は、そろそろ家を出なくては、と言うことがチラつき、集中できないのだ。
おまけに、6時半に起きているのに、結局、ラッシュアワーに電車に乗り、ギリギリに職場に滑り込むのだ。せっかく早起きしているのに、と、なんだか気分がよろしくない。
 
「先に家を出て、職場に行った方が精神的に良いな……」
 
私は7時に家を出て、早朝に職場に行くことにした。朝6時に出勤する人がいる、という話をたまに聞くことがあるが、まさか自分が、その類の行動をすることになるとは……。
 
しかし「早朝に職場に行く作戦」もうまくいかなかった。
職場に行くと、つい、仕事モードに入ってしまうのだ。うっかりメールなどを見始めたら、もうダメである。そのうち、早起きの同僚がチラホラ現れ始め、もはや英語どころではない。
 
職場は仕事をする所であり、英語をする所ではない。当たり前のことに反省し、次は会社の近くの、早朝から開いているカフェをあたった。
 
結果として、コレが一番効いたのである。
それも、カフェではなく、カフェの食べ物が効いたのだ。
選んだカフェは、コーヒーにモーニングをつけられるお店だった。意地汚い話だが、このモーニングの、バターののったトーストの美味しさに釣られたのである。
 
「あのトーストとコーヒーを味わうためならば……!」
 
私はトーストのために、どうにかこうにか早く起き、カフェでコーヒーとトーストをまったりと味わったあと、英語の勉強をすることにした。
 
「人間、ご褒美って必要なんだな……」
 
しみじみと、自分の食い意地を実感した瞬間であった。
 
 
こうして、トーストのために早起きしていた私だが、しばらくしてあることに気がついた。
何だか気分が良いのである。早起きに対して前向きと言っても良い。
少なくとも「トースト食いたい」だけでない何かが、朝、起きる動機になっている自分に気がついた。
早起きするようになってからの心情をゆっくり思い返す。
 
「……余裕? いや、余力かな?」
 
何だか、心に余力があるのだ。
 
それもそのはずだ。朝は、1ミリも脳が疲れていないのだ。おまけにトーストとコーヒーを貰って、脳も元気いっぱいである。このクリアな頭で、仕事が始まるまでの数時間を、自分の好きなことに使えるのである。
今は英語を勉強しているが、英語でなくったって良い。
重要なのは、朝の、最も元気で、最もやる気に溢れており、最もクリエイティブな時間を「自分のために」使えていると言う実感なのだ。
 
平日はどうしても仕事が忙しく、自分の時間は蔑ろになる。私も長らく、平日に自分の時間を持つことは諦めていた。
 
しかし、早起きすることで、朝という、最も元気で素敵な時間を、私のために使えているのである。
私は、平日の私を、仕事に全てあけ渡してはいない。
私の時間は、確かに、私のものなのだ。
 
「自分の時間をコントロールできている」と思うことが、これほど精神的にプラスになるとは、早起きをしてみなければわからなかっただろう。
 
自分の時間を取り戻したことで、仕事の方も調子が良い。
朝、仕事を始める時には、既に、やりたいことはすませているのである。「私の時間を奪っている」と、仕事を逆恨みすることもないのだ。あとは全力で仕事をして、エネルギーを使い切ってしまっても良いのだ……。
 
早起きがなぜ良いと言われているのか、ようやくわかった気がした。
 
 
 
早起きをすることで自分の時間を取り戻してから、しばらく経つ。
朝の時間にやることは様々だ。仕事がらみの勉強のこともあれば、完全な趣味のこともある。インプットでも良いし、アウトプットでも良い。やりたいことは、何でも良いのだ。
 
コロナ禍で在宅勤務となり、通勤時間がないのは良いが、件のカフェのトーストは味わえなくなった。とっておきのピーナツバターを塗ったトーストで脳をなだめながら、自宅でコーヒーを入れる。
 
「私、食いしん坊で良かったなー」
 
食い意地のおかげで、早起きが実現し、自分の時間を取り戻せたのである。
 
「さ、今日は何をしようかな」
 
傍の猫に話しかけながら、ゆっくりと、深呼吸をした。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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