個性派トイプードルのジョン君がやってきた! ゆる~い我が家で崩れ始めた理性
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:モトタケ(ライティング・ライブ東京会場)
『突然なんだけと、お願いがあるの』
友人夫婦に頼まれ数日間だけ飼い犬を預かることになった。
やって来たトイプードルを両手に抱えてみると想像以上に軽く、まん丸で黒目がちな目はオスなのに小西真奈美を連想させ、見つめられると思わずキュンとするほど可愛いかった。
以前天狼院のメディアグランプリの記事で、初めてトイプードルを飼い始めた方の苦労話を読んだことがあった。だから、吠えたり、粗相したりくらいは覚悟していたのだが、我が家に来た彼は成犬である上にしつけ訓練も定期的に受けていたので、全く困ることはなかった。
彼のプライバシーを尊重し、ここではジョン君(仮名)と呼ばせてもらう。
ジョン君はとにかくお行儀がいい子であった。散歩中に電柱の横を通ってもニオイは嗅ぐがマーキングはしないし、他の犬、メス犬を見ても知らんぷりなのである。激しく吠える事も無く、ドッグフードやおやつをもらう際もガツガツしなかった。きっと厳しくしつけられていたのだろう。
だが少しずつ慣れとともに、おやおや? こんな事は聞いてないぞ! と思う行動が目立ってきた。
夜、ペット用ベットから抜け出してきて私の布団に潜り込んでは、股の間やお尻に顔をピタリと付けて寝だしたのだ。この変態チックな体勢と、寝ている間に絞め殺してしまわないかという不安で、私は熟睡できない日々を送る事になった。
2日目の夜からは布団を敷く段階から大興奮であった。マットの上をブレイクダンスの様に転げまわり、顔を右に左に高速でこすりつける様子は『早く寝ようぜ! 早く! 早く!』とでも言っている様だった。
我が家で一番体の小さい小学生の息子には『異性』を感じたのか? ときめいたらしく、彼を見かける度に足にしがみついては腰をカクカク振り出した。まるで吉本新喜劇に登場するキャラクターの様にデレデレした様子は、トイプードルの持つ一般的なイメージとかけ離れていた。
ドッグフードやおやつが足りなかったのか? 何か気に入らない事があった時にはトイレシートからわずかに外してウンチをすることがあった。
きっとこれらは厳しく叱る場面かな? なんて思いながら抱きかかえると『ダメなのは、わかってるよ~』とても言いたげな目で私を見るのだった。
(普段は頑張っていい子に徹しているのね~)、(男の子への腰振りの件はもしかしてLGBTなのかな? 犬にだって守られるべきアイデンティティはあるよね)そう思うと許してしまうのであった。
初めて犬と一緒に暮らしてみて感じたのは、ジョン君とは言葉を超えて気持ちが通ずるような気がしてならないという事だった。
電柱のニオイに興味津々なのに通り過ぎてしまった時には、
私『オスなんだからさぁ、電柱にガバッ! と片足上げておしっこしなさいよ』
ジョン『できません、それは禁止されてます。帰ってから家でします』
理由もなくごほうびのエサをあげてみたら食べずに困惑してしまった。
私『いいから、食べなよ』
ジョン『えっ、何もしていないけど食べちゃっていいんですか? 本当にいいんですか?』
散歩中に他のトイプードルと行き会う機会は多かった。
私『ジョン君、お友達だよ。挨拶しなよ』
ジョン『挨拶はしません。僕は犬ではありません。関係ありませーん!』
しつけられた決まり事を守り、貫いているのだなと肌で感じた。
少々呆れるくらい真面目で優等生タイプのジョン君だったが、1つだけ『すごい! かっこいい!』と思える事があった。
『ガルルルルルッー!』と闘争本能丸出しで突然うなりだすのだ。
ニオイなのか? 音なのか? 誰かがうちの玄関に来ると呼び鈴が鳴るずいぶん前に反応し、牙をむきだしてうなりだすのであった。小さな体を震わせて一触即発! この時ばかりは勇ましさを感じた。飼い主の帰りを待ちわびているのかなぁ~、となんだか健気に思えた。
後日、友人夫婦に無事に引き渡すと、ホッとしたのと同時に少しお別れが寂しく思えた。
たった数日間であったが命を預かる責任を感じ、ずいぶん疲れた。この疲れはきっと自分の命を削った為だと思う。彼らペットにしてみれば、産まれてすぐに親もとから離され、見知らぬ飼い主に引き取られてゆくのだから、飼い主には自分の時間(命)と引き換えに幸せにしてあげなければならない筈だ。
人間の暮らし・都合に合わせて調教され、欲情することさえも抑えつけられている(確認してませんが)のだから。
私はジョン君に会えて今まで感じたことのない安らぎや、癒しの時間をもらった。
苦笑いの時間も……。ありがとう、ジョン君。また来てね!
***
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